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【書き起こし】孫正義VS池田信夫「光の道」対談(夏野剛司会)Part1

孫正義vs池田信夫対談(夏野剛司会)「光の道」対談の書き起こしです。

USTREAM動画
「光の道」2 part1
(最初から58分あたりまで)

資料
孫正義資料(PDF)
池田信夫資料(PDF)

聞き間違い、わからなかったところ等ありますがご容赦ください。

夏野:
あっ、始めていいの?
それでは。すいません、雑談しておりました。
Ustreamとニコニコ生放送をご覧の皆さん、こんばんは。慶應の夏野でございます。慶應以外でもいっぱいやっておりますけれども今日は慶應です。
今日はですね、ソフトバンクの孫正義社長と、経済学者の池田信夫さんの光の道対談の司会を務めさせていただくことになりました。大役でノーギャラで大変ですがよろしくお願いします。対談していただくのはソフトバンクの孫社長です、皆さんよくご存じだと。カメラこちらです。

孫:
はい、よろしくお願いします。

夏野:
そしてお相手は経済学者の池田信夫先生です。こちらのカメラかな?

池田:
よろしくお願いします。

夏野:
この対談はですね、5月13日に孫さんとジャーナリストの佐々木俊尚さんとの間で行われた光の道対談の第二弾にあたります。今回はそんなに長時間にならないように私が指名されたみたいです。光の道というのは、日本国内の全家庭に光ファイバーの回線を引いて、一気に進めようっていう構想で。これはもともと原口さんが言いだした。

孫:
そうですね、はい。

夏野:
孫さんが仕掛けたわけじゃない。

孫:
いやいや私も前から言ってはいましたけどね。

夏野:
ああ、前から。

孫:
基本的なビジョンは原口さん。

夏野:
この光の道構想に対して孫さんは全面支持の姿勢を打ち出されております。で、5月を振り返ると、佐々木さんがおっしゃったことは、インフラの整備の問題っていうのはすごい大事な問題だけども、それよりさらにコンテンツの利活用っていうのが重要なんじゃないかっていう形で、まあ異論っていいますか一つの新しい論点を出されたということと理解しております。で、そこで徹底的に語り合いましょうと孫さんがツイッターで佐々木さんが言われて対談が行われたと。ここで行われたんですよね?

孫:
そうそうそう。

夏野:
で、光の道構想に、そんな簡単じゃないんじゃないの、ってお話をいろんな方がされてるんですが、それが佐々木さんだけじゃなくて、インターネットで皆さんご存じ池田先生もその一人です。で、今日はですね、その池田さんのコメントに対してツイッターで、「やーもう語り合いましょう」と、僕も孫さんフォローしてますけども、それに池田さんが「わかりました!」が来たっていう、そういう形で私がなぜか司会をやってお二人の対談という形になっております。
予定としてはですね、予定ですけども、2時間くらいかけて孫さんと池田さんに徹底的に議論していただいて、夜10時からなんか原口さんの記者会見がネットであるそうなんで、みんなで見て、そこからさらにまた盛り上がっちゃうと今日中に帰れないかもしれないですが、繰り返し言いますけどもノーギャラです。今日はまだメシも食ってません。

孫:
食べてない?

夏野:
ああ、さっきパン1個。本当はあそこの吉野家行きたかったんですけどね。

孫:
あー。あとで持ってきてあげて。

夏野:
まずですね、じゃあ孫さんの方から、光の道がなぜ必要なのかということについてプレゼンをしていただきたいと思うんですが、130枚もあるそうで……

孫:
そうそう。

夏野:
それから、多分ニコ生もUst見てらっしゃる方も、1回佐々木さんのやつも見てる可能性もある。うまくこう、短めに是非よろしくお願いします。

孫:
見ておられる方と見てない方がいるので、重複する所はなるべく短めに、だけど知らない人も始めて見る人も、要領よくまとめていきたいと思います。

夏野:
はい。

孫:
それではちょっと資料を。

(孫資料P.1)

 

何をやりたいのかということですけども、光の道って何ですかというと、6200万回線、今固定回線があります。これを全部メタル回線をなくして光回線に切り替えましょうと。
しかも税金を1円も使わずにやりましょうと。そして民間の企業のまま実現しましょうと。で、料金は物理的な回線はメタル回線が1400円です。それと同じ1400円で光回線の物理的な回線を提供しようと。これが光の道でやりたいことであります。

(孫資料P.2)

 

やりたいことその2という部分は、物理線の値段じゃなくてその上にあるブロードバンドサービスですね、光のブロードバンドサービス。この情報サービス通信サービスを含めてADSL以下の価格で提供するようにしましょう。
しかも、ひとりも取り残さない形で、離島も含めて、希望者全員にこれを行き渡るようにしたい。しかもその利活用としてこれはもう佐々木俊尚さんとこの間5時間かけてバトルしましたが、利活用がないわけじゃなくて利活用の代表的な一つとして、電子教科書・電子カルテ、こういう物を無料でその端末を配りましょう。
端末代も、ハードだけじゃなくて、ソフト、通信代も込みで、無料で配りましょう。
で、黒電話しかいらない、という田舎の方には、あるいは都会の方でも、黒電話しかいらない、従来の電話だけで良いんだという方は、従来のハードウェアそのまんま、従来の値段でやれるようにしましょう。

(孫資料P.3)

 

そもそもなぜその「光の道」をやるのか、ということですけれども。

(孫資料P.4)

 

成長戦略。日本の成長戦略の鍵は情報通信にあるという風に思っています。来月参院選がありますけれども、国民の関心事の中でも、日本の成長戦略をもう一度描くということに大変関心が集まっていますが、色んな産業ありますけれども、結局、過去15年くらいですか? 見てみても、伸びてる産業はこのグラフにありますように、情報通信は伸びていますが、他の産業って、ほとんどあんまり伸びてないと。
伸びてないところを、も一回伸ばすって、なかなか難しいですね。伸びてるところを、もっと伸ばしましょう。その伸びてる情報通信関連を伸ばすのに、インフラごと、税金1円もつかわずに更にレベルアップ出来るのであれば、日本国内の成長エンジンに成り得るんではないか。

(孫資料P.5)

 

ちなみに日本はもうブロードバンド十分だという説もありますが、一時日本は「世界一安い」「世界一速い」しかも普及率も、場合によっては世界一かもしれないっていう時期を迎えましたが、一瞬気を抜いた瞬間に、日本はもう16位に転落しました。
ですから日本がブロードバンド普及率世界1位2位を争っているって言うのは、人々の誤解で、もう16位にまで転落してしまっている。これは巻き返さなきゃいけない、ということであります。

(孫資料P.6)

 

それから光が、よくNTTさんが「光はもう90%のところまで行ってますよ」という話をされることがありますが、現実には、33%の世帯でしか、回線でしか、光が使われてない。まだ近所までは来ているけれども、家の中までは引き込まれていない。引き込まれて始めて通信できるわけですから、現実的には、普及率はまだ非常に、低い。これを、メタル線を100%なくして、光線(ひかりせん)100%に切り替えましょう、というのが、今回の「光の道」の肝、ということであります。

(孫資料P.7)

 

ちなみに他の、諸外国はどうかというと、シンガポールも韓国もオーストラリアも、スウェーデン、アメリカ、各国が今、100%あるいは、それに近い普及率を目指しております。日本が33%位の普及率で、安穏として良い状況では、全く無い。各国も競って、これを今、光の普及率を上げようとしてる。利用率ですね。あげようとしてる。

(孫資料P.8)

 

つまり光で成長を加速する事は、日本の天下国家のインフラ、教育、仕事、余暇、健康、あらゆる産業に役立つ。

(孫資料P.9)

 

つまり私は、情報産業だけが成長すれば良いというのでは無くて、例えば農業ですら、ITを活用した農業。漁業も、流通業も、製造業も、金融業も、ありとあらゆる産業が、IT化をして、従来型の産業構造から21世紀型の産業構造に変えなきゃいけない。
つまりひとつの情報通信産業だけをレベルアップしようというのではなくて、全ての国民が、全ての産業が、新しいパラダイムとして、そういうインフラを利活用できるという風にもっていく事が大変重要なんじゃないか。と思う訳です。

(孫資料P.10)

 

で、今日まとめて参りました、池田さんからの、私の「光の道」の案に対する様々なご指摘と、更にNTTさんからも「そんなもの出来っこない」というご指摘を色々頂いておりますので、まとめてみました。
「無線は光に比べて安いぞ」と、いう話。
それから「技術革新で無線と光の速度は同等になるんじゃないか」という話。
それから「都心でつながりにくいという状態は、光では解決できない」。
「無線帯域の拡張の限界による光敷設はですね、間違いだ」と、いう風に池田さん、おっしゃってます。
「無線帯域不足なら電波解放を求めるのが筋だ」と、これもまた池田さんおっしゃってまして、それから、光を引くのは不要で、DSL、ADSLですね、それからフェムト、あるいはVDSLとフェムト、等で良いんではないかという話。
それから、「欧米では光ファイバーの整備はもう終わったんだ」という話。
「普通のサービスであれば、数メガで十分だ」、「光への強制切り替えは財産権の侵害である」と。
それから、さらに、光未対応機器の発生。これはNTTさんもおっしゃってますね。それから、30年後を見越したインフラ整備というのはそもそも不可能じゃないか。メタル撤去による交換、うんぬんかんぬん。

こういう風にたくさん、池田さんからもブログだとか、あるいはツイッターでのご意見、あるいはさらに次のページですね。

(孫資料P.12)

 

NTTさんからも、民業圧迫じゃないかとか、独占がイノベーションを阻害するとか、あるいは池田さんから保全費3.9兆円と回線維持費7,600億円のどちらが正しいのか、このへん全部これから説明します。この全部説明するのをどのページに書いてあるかちゅうのを右側のほうにちゃんと論点を整理して、準備万端整えてあります。

池田:
すごいなあ。

(孫資料P.13)

 

孫:
さらに、ほかにいろんな質問が出ております。バランスシートの提示がないじゃないか。つまり、いままで頂いたご質問には満額回答。すべての質問に今日は答えます。だから2時間では終わりっこない! という風に私はハナから思っております。

(孫資料P.14)

 

納得行くまでやろうじゃないか、ということですが、まず最初に、なぜ光が必要なのか、ということを申し上げます。

(孫資料P.15)

 

これは当社の実績です。夏野さんもNTTドコモさんにおられたので、どれくらいデータが伸びているかというのを肌で覚えておられると思いますが、これは当社の実績です。過去5年間でデータトラフィック、70倍に伸びました。70倍。
5年前は900ギガですんでいました。いま62テラ。たった5年間で70倍になった。しかもこのグラフを見ていただくと、二次曲線で急激にその角度がさらに伸びている。指数倍的に伸びている、というのがお分かりいただけると思います。これが実績です。

(孫資料P.16)

 

さらに同じ曲線をこれからたどるというふうに私は思っております。というのは5年間で70倍。これを低めに見て、仮に半分くらいの33倍だ、という風に見ても、5年で33倍、10年立つと33倍掛ける33倍、つまり1000倍だ。
いまの過去の成長率の半分と見ても、10年で1000倍。20年経つと、1000倍掛ける1000倍で100万倍になる。これは本当に100万倍いくのかという議論は今日さほどしなくてもいいと思いますが、少なくとも千倍万倍には10年20年でいくんではないかと思うわけです。
これをグラフに起こすと、さきほどの二次曲線とまったく似たような相似形である。これだけ伸びるトラフィックを無線だけで収容するのは、もうまったく不可能だ。光アクセスが不可欠だということを、今日、私は申し上げたい。

(孫資料P.17)

 

なんでそんなに、もう人数の携帯電話の数は国民の人口にほぼサチる(飽和する)くらいの台数、契約数になっていますよ。これ以上なんでそんなに伸びるんですか、ということですけど、人も端末も情報量も増える、ということです。
まだ日本は100%いってませんけど、他の国では100%超えるとこもある。つまりひとり2台、3台もっている国があるということですけども、日本はまだそこまでいってません。

(孫資料P.18)

 

つまり一人当たり、2台、3台、あるいは情報量、人間もこれからさらに僕は少し増えると思いますけども。

(孫資料P.19)

 

さらに端末の数が増える。今日来ている3人ともiPadを持っておられます。私も持っていますけども、3人ともiPadを持ってますが、1人1台たとえばiPhone、もう1台iPad、さらにさまざまな機器に通信が繋がる時代がやってくるでしょう。

(孫資料P.20)

 

さらに、その次に1台あたりの情報量が飛躍的伸びる。今日もニコニコ動画とUstreamでやっておりますけど、こういう動画のもの、さらに今度のiPhone4はハイビジョンクオリティの動画が映るとということになりますけども、1台あたりの情報量はもう飛躍的に伸びる。

(孫資料P.21)

 

したがって、池田さんがおっしゃているホワイトスペースとか、あるいは無線の帯域がまだ使われていないところがあるので、1.7倍のまだ帯域が増やせるんじゃないか。仮に1.7倍じゃなくて、3倍くらい、いまの携帯で使われている周波数を増やせたとしても、さらにLTEのような技術進展があって、周波数効率が、仮に3倍あがったとしても、つまり周波数の割り当て帯域が3倍増えて、技術進歩だって3倍あって、仮に10倍伸びたとしても、先ほどの1000倍、1万倍伸びていく、場合によっては、100万倍伸びていく。というようなトラフィックを受け入れる周波数帯域が「ない」、ということであります。

(孫資料P.22)

 

つまり、いま総務省が議論している拡張見通し、池田さんもおっしゃってる700MHz帯だとか、あるいは2.6GHz、3.4GHz、こういうようなところを、今、総務省検討中の新たな周波数の携帯への割り当て、こういうものを足してもですね、今現在1.7倍くらいしか、見込まれてない。
もし、仮にこれが、その他のホワイトスペースなどが利用できたとして、3倍になったとしても、先ほどの前のページに戻りますが、仮に無線の周波数帯が3倍になった、技術進展が3倍あって、10倍になったとしても、その前のほうのページにありました、この千倍、万倍、というふうに伸びていくデータのトラフィックを収容出来ない。

(孫資料P.23)

 

だから無線が流行らないのではなくて、無線の端末を使わないのではなくて、無線の端末が増えすぎる。それを受け入れる無線の帯域が少なすぎる、ということを申し上げているわけですね。
私は無線の会社を経営しているぐらいですから、しかも、iPadだiPhoneを売っているぐらいですから、無線の端末大好きですし、無線の端末はこれからどんどん主流になっていくと思います。
ただし、それを受け入れる周波数の幅が少なすぎる、ということで。もうひとつはこれもわが社の実績ですけども、たとえばiPhoneにしろiPadにしろ、あるいは携帯電話、普通の携帯電話でも、無線の利用の中心は実は屋内にいるときに発生している。
自分の自宅だとか、会社、学校。あるいは、駅の構内というようなところも屋内とみなすのであれば、そういうところで使われているのが87%です。本当に街の道端で使っている、駐車場で使っている、というのは、13%しかない。

(孫資料P.24)

 

だから、この13%のところに、従来型のマクロ局、無線のマクロ局を使う、あるいはマイクロ局を使う、屋内にいるときには、先ほどの87%、屋内にいるときには、できるだけ屋内は、光を使って、バイパスさせなきゃいけない。無線のデータ、トラフィックをバイパスさせないと、マクロ局、あるいはマイクロ局で受けようとしても、とてもじゃないけど無線の端末が受発信するデータトラフィックを収容出来ない。ということを私は申し上げたいわけですね。

(孫資料P.25)

 

ということで、光で、建物の中まで持ち込むと。そして、無線の、データトラフィックを、建物の中では、WiFiだとか、あるいはフェムトだとか、そういうものを使って、無線の端末を使えばいいわけですけども、これを、トラフィックとして、バックボーンとしては光でオフロードさせるべきだと。

(孫資料P.26)

 

「日本以外で、そんな光なんて議論している国はあまりない」と池田さんのブログの説にありましたが、実はアメリカもオーストラリアもニュージーランドもシンガポールも韓国も、みんないま光を真剣に、まさに検討をはじめている、あるいは具体的な議論をしている。

(孫資料P.27)

 

iPadを3人ともお使いですからよくご存知のとおり、高解像度のディスプレイですし、しかもYouTubeだとかいろんなビデオだとかiBooksだとか、いろんなものがあると。

(iPadによるデモ)

ちなみに、ちょっと1分だけ、デモを、お見せします。我々、発表して、ビューンというものを……

夏野:
池田:
(笑い)

夏野:
それ、つながらない!

孫:
ビューン、とつながらなくて。

夏野:
なんにもなんなくて、困ってるんだから!(笑い)

孫:
ビューン!と、つながらなくてね。(笑い)
圧倒的にお客さんいっぱい来ちゃって、一瞬でパンクしちゃって、あの今、一生懸命、頑張って、直し中です。これはテスト用に実はだいぶ準備が進みまして……
(iPadをカメラに向けて)
えー、はい、カメラこちらですね……。

(ビューン実演中)

 

いうことで「プレジデント」の記事がどんどんこうやって読める、ということであります。えー、こうやって(画面をはじいて)、矢沢永吉さんだとか、こうやって(拡大して)どんどんみれる。
それから、他の雑誌、女性誌だとですね、たとえば「CanCam(キャンキャン)」。

(ビューン実演中)

 

こうやって(ページをはじいて)「CanCam」のものがサクサクとこうやって見れる。ぐうーっとこうやってびゃーっと(操作して)(モデルさんの)顔を大きくして見れる。えー、こうやって、見れるわけです。
こういうように、雑誌だとか動画だとか、色んなものが、iPadやiPhone4で使われると無線のトラフィックがうなぎ登りで留まるところを知らないと。

(孫資料P.29)

 

色んなものが、iPadやiPhone4で使われると無線のトラフィックがさきほどの話のようにうなぎ登りで留まるところを知らない。

iPhone4をひとこと宣伝しておきます。

一昨日、予約を開始しました。一瞬で倒れてですね。皆さんに怒られるし、この場を借りてお詫び申し上げます。予約がパンクしてしまいまして。
実はですね、去年の実績の10倍以上の予約を受けられる枠のキャパを用意してたんですけども、日本だけでなくアメリカもヨーロッパも各国で予約が去年のiPhone 3GSに比べて10倍以上みんなきちゃったんです。
日本は10倍をはるかに超える予約がガーッと来てですね。我々はその受けるサーバーのキャパを10数倍用意してたんですけども、一瞬で超えてパンクしちゃった。
で、もうあわててサーバーを東京と大阪のデータセンターにですね、夜中、高速道路トラックでビューっと運びに行って、緊急でキャパを増大して。100倍の、去年の予約の規模の100倍来ても大丈夫なようにトラフィックキャパを用意しました。もう大変でしたね。

それぐらい世界中で波が来てる。従来の携帯電話でやってるようなトラフィックじゃとてもじゃないけど済まない、という状況であります。

さきほどの図に戻るんですけども、iPhone4は何が怖いかと言うとハードウェアの大きさ、画面の大きさはiPhone 3GSと大して変わらないんですけども、画面のディスプレイのドットピッチがリゾリューションが縦に2倍、横に2倍。つまり4倍の情報量が、一画面でドットが来る。ということはそれだけでネットワークがワーッとまたトラフィックがそれだけでいっぱいになる。
さらにここに書いてあるような動画だなんだというものがものすごく強化されている。これはもうトラフィックの嵐になる。

(孫資料P.30)

 

で、ちなみにさっき話したように、日本だけじゃなく、各国10倍以上来て、各国全部サーバーダウンした。予約の注文を受けるサーバーが全滅して。ちなみに日本でも僕らもお客様から大変お叱りの声をいただいて猛反省したんですが、実は同じ日に予約を受けたアメリカのアップルのサーバーも落ちて。AT&Tのサーバーも落ちて。ドイツもほぼ落ちて。各国みんな全滅した。
日本だけが生き残った、とお褒めの言葉をいただいた。我々もへろへろで、ほとんど倒れたんですが、実際に何時間かはダウンと同じ状況になっていたんですけども。そのぐらい世界中がこういう状況になってるということであります。

第一部で私が申し上げたかったのは、無線の端末がどんどん普及するというのはまったく同感で、固定のPCが使われるというよりは無線のiPhoneだとかiPadだとか、あるいはAndroidのこれから出てくるPadだとか、Androidフォンだとか、つまり無線の端末がどんどん使われて固定型のものよりも増えるわけですが、その無線のキャパを受け入れるだけの周波数帯の幅が残っていないという。だから無線が嫌いだから光だと僕は申し上げているのではなくて、無線端末のトラフィックを受け入れる為に、光ファイバーを屋内に全部引かなきゃいけない、というのが私が一番申し上げたいということであります。

夏野:
一回切って。

孫:
はい。

夏野:
孫さんありがとうございます。
池田さん。

池田:
その孫さんのおっしゃった、技術的に無線の周波数のキャパが非常にきびしくなるというのは、僕も後ほど申し上げるように、これはきわめてピンチだと思ってまして。
日本の無線の周波数割り当ては絶対に足りない。これはもうアグリー(同意)ですね。

孫:
はい。そうです。

池田:
ですから今の無線の周波数を今の何倍、さっき言ったように下手すると何百倍にも増やさないといけない、帯域の場合にはほぼ物理的に不可能ですが。基地局を増やすなり最大限帯域は増やしていかないといけない。それは仰るとおり。
僕は技術的にそれが必要だと言うところとNTTの経営問題とむすびつけるところは問題があるかなという所が。まず1点。

それからもう一つは、実はそのソフトバンクがお手上げになっているのは二つの要素があるという風に思っているんですね。
一つは、今のその電話網ベースのメタルでありかつ電話網、加入電話網ですよね、それがその非常に効率が悪い。コストがかかる。
これを光にすると同時に、当然全部IPにするということでいらっしゃいますよね?
ですから僕はIPにするってことはもう、賛成ですし、僕だけではなくてこれはまあNTTがこないだ総務省のヒアリングで言っていましたよね?
今年の秋から、電話の交換機を全部取っ払って全部IPにする計画を出してきた。
おそらくここはもう本当に日本の通信業者も総務省もみんな賛成なさるとこだと思うんですね。その全部IPにして、交換機やめちゃいましょうと。
で、まあおそらく一番問題なのはその先の、アクセス系を全部、全世帯にね、その6200万世帯に光を引くというところについては、僕がいろんな通信事業者の方とお話を聴いた感じでは、あまり賛成する人はいない。

もう問題はそこだけだと思うんですよ。さっきおっしゃった孫さんの基本的な技術認識も賛成だし、それからそのために電波が絶対的に足りないというところも賛成なんだけど、それをNTTの経営問題と結び付けるとこだけが、かなり論争的な問題だというふうに思うんですね。

で、じゃあちょっと僕の、電波のほうの話に行かせていただいてよろしいですか?

夏野:
はい、いいですよ。

池田:
はい。じゃあ今のお話のいわば続きみたいなもんなんですけど……

夏野:
じゃあ、電波の話になったので、池田さんのプレゼンを出していただけるでしょうか?

夏野:
で、ちょっとつなぎの間に、少しわたくしが解説をさせていただきたいんですけども、孫さんの言ってらっしゃる論点で僕、非常にあの重要なことだなあと思っていることを要約しますんで、もし間違っていたら訂正を…

孫:
はい。

夏野:
一つはやっぱりあの、非常に安い価格で光をもっと普及させないと、もう限界に来ているということですね?

孫:
そうですそうです。

夏野:
普及率が今、正式な数字で言うと、敷設ベースで言うと90%って言ってますけども、加入者ベースで言うと33%でしかない。

孫:
近所まで来てるのが9割だけれど、家までつながって実際利用されているのが3割。

夏野:
ですね、で、これをもっと上げないと、おそらく近所まで来ているレベルでは世界ナンバーワンのはずなのに、ちゃんとつないでいる人が33%しかいない。これ非常にもったいないことだっていうこと、ですね。
それから、それによって、電子教科書とか、医療カルテとかこういういうものができる可能性があるので、これ非常に大事な話だよと、っていうお話。
それから、やっぱり成長戦略としてもIT産業っていうのは、これはあとで池田さんのほうからもご指摘あると思うんですけれども、これはもう僕も大賛成なんですが、やっぱり日本の成長戦略の中でITほどですね、投資の乗数効果が高い産業はないっていうんですね。
ですから孫さんが仰ったように、すべての産業に向かってITを整備することが効果をもたらすということは、非常に正しいことだと思ってて、なかなか政権でそういうことが語られないのが残念だと思っているんですけども。というお話があります。
で、あとはですね、トラフィックがもうコントロールができないっていうこと、ですよね?

孫:
そうです。

夏野:
私もドコモにおりましたんで、実はドコモの場合はですね、パケホーダイのユーザーさんは、別制御しているんですよ。
つまり使い放題はできるかわりに、定額制のかわりに、定額制じゃない人のほうがちゃんと優先されると。混んできたら。
でもそんな仕組みをいれてるキャリアなんて世界でもたぶん一社しかない。

孫:
わははは。

夏野:
普通はやっぱねえ、そんなことできないんですね。お金もたくさんかかるし。
なのでキャリア側がもうトラフィックをコントロールできない時代になってくると、十分な帯域を用意するしかもう手が無い。っていうこともおっしゃっていると思いますね。

孫:
そうですね。

夏野:
というようなところ。iPhoneとかiPadとか新しい端末が出てくるんで、そういうことであると思うですけども。
池田さんのプレゼンは大丈夫ですか?

池田:
大丈夫ですか? はい。じゃあお願いします。

(池田資料 電波ビッグバンの提案)

 

(池田資料P.2)

 

池田:
僕は「電波ビッグバン」というふうに名づけているんですけども、最初のスライドはさっき孫さんがおっしゃっていたのと同じことを僕も言ってまして、今度、菅政権でも成長戦略ということをおっしゃっているんだけど、どうも環境とか健康とかっていうお話が出てるんですが、これを別の観点から、日本の生産性の上昇率を見てみると、黄色い部分がIT部門で、青い部分がその他の部門なんですけども、ここ10年くらいを見ると、なんと日本の生産性上昇の8割は、実はIT部門だけがら出ている。つまり、IT部門が経済成長の最大のエンジンなんですよ。

これは、以後も変わっていない。逆に言うと、ITを利用する他の部門があまりにも効率が悪い。昔ながらの産業構造が、正にさっき孫さんがおっしゃったように、情報革命に産業構造が適用できていない。インフラの方はかなり進んでいるのに、他の部分が付いていってない。ということが実は日本の経済成長が落ち込んだ一つの原因であると言うことですね。

(池田資料P.3)

 

それから、これもさっき孫さんがおっしゃったことと同じですけども、無線のトラフィックが物凄く伸びてきている。それから、加入電話がどんどん落ちてきている。

(池田資料P.4)

 

それで、今日僕が申し上げたいのは、とにかく周波数の割り当てが非常に不合理になっている。
3GHz以下の周波数帯を実測してみると分かるんですけども、例えば渋谷の駅前みたいな一番使われているはずの帯域でも、3GHzから下の帯域で「時間」「空間」で積分すると、90%以上空いてるという恐るべき状態。もうガラガラなんですよ日本の電波は。東京の都心でさえ。

それからもう一つは、電波をどこの社に割り当てるかという、電波行政の言葉で言うと「アロットメント」と言うんですけど、実は一番大きな問題で言えば「アロケーション」と言われる、何処の周波数帯にどういう用途を割り当てるかということが、非常に恣意的に決まっていて、後ほど申し上げるように、何でこんなところに割り当てられるんだということが一杯あるということですね。

具体的に言いますと、業務用無線、それからテレビ、これが非常に無駄に使っている。それから、2011年7月にアナログが停波して、何だかんだで300MHz空く。恐らくもうこれだけの電波が空くチャンスは、二度とないだろう。これも何とかして、電波ビッグバンのチャンスとしたいということであります。

それから、特に500MHzから800MHzというのが、UHF帯のいわゆるプラチナバンドと呼ばれる非常に使いやすいバンド。これはソフトバンクが兼ねてから欲しいとおっしゃっている、とにかく皆さんが喉から手が出るほど欲しい周波数帯が、実はテレビに占拠されたままほとんど使われていない。

それから、アメリカが今年の3月に出した「全米ブロードバンドプラン」という計画では、向こう10年で500MHzを空ける。それに対して通信業者は足りないと800MHzを空けろと抗議しているくらいです。

とにかく、非常に足りない。これは何度でも言いますけど絶対的に足りない。足りなくても皆がしっかり効率的に使ってるんだったらいいんだけど、使ってないところが一杯いるということですよ。

何でそんなことになっているのかというと、先進国では日本だけが、総務省の官僚の人々が、何かしらないけど、彼らの基準で割り当てて、いわゆる美人投票と称するやりかたで電波を配給する。という社会主義的なやり方で配給していることが非常に問題であると。

(池田資料P.5)

 

ちょっと具体的に細かい話を少しさせて頂きますけども、VHF帯の来年7月にアナログ放送が止まるとすれば、そこが空くわけですけども、実は皆さんご覧になっているNHKは1から3は特殊欄になってるんですけども、4~12ってのは民放の周波数帯ですね。実はそのうち10~12のところは、今かなり煮詰まっていまして、来月に2グループのうちどっちか一つが決まるという形勢になっているんですが、これが非常に不透明な定義で、どうもNTTドコモとフジテレビの日の丸連合に決まることが内定しているというお話になっているんですね。

更に問題なのは、4~11チャンネルのところが一体何に割り当てるのかも決まっていない。一旦割り当てたのに誰もやる人がいなくて辞退しちゃって大混乱になっていて、何に割り当てるか来年7月に空く周波数帯が、あと一年と迫ってもまだ決まっていない。

何故こういうことになるのか。大体その4~9が公共無線とか何とかで、10から12がマルチメディア放送って誰がそういう用途を決めたんですかと、非常に不透明な手続きで決まっている。

(池田資料P.6)

 

それから、一番問題のUHF帯。これちょっと図が細かくて見にくくて申し訳ないんですけども、上の方が470から806まで。これが緑色の部分をテレビが全部使ってるんですけども、2012年7月からは、470から710までをテレビが使って、710から上を他の用途が使うということになってるんでが、皆さんご存知のように、テレビっていうのは、東京でも7チャンネルから10チャンネルですよね。つまり6MHzで1チャンネルですから、“6×7=42”MHzあれば十分テレビの放送できるのに、何故240MHzも取ってるんですか。ということが後ほど説明するようにかなり大きな問題であると。

(池田資料P.7)

 

それから、これは非常に差し迫った問題なんですけども、総務省の情報通信審議会の周波数委員会で700MHzの割り当てが一旦決まりかけたんですけども、ツイッター上で孫さんを含めて、ちょっとおかしいんじゃないのという話で、いまもういっぺん差し戻しになって、原口総務相の直属のタスクフォースで再検討すると、異例の手続きがとられて、今度パブリックコメントをもういっぺん募集するという手続きになっておりますが、なぜこれを僕らが問題にするかというと、いま日本は700MHz帯に上り40MHz下り35MHz、合計75MHzをとることになっているんですが、実は700MHzと900MHzをご覧のようにバラバラにとるんですね。ところが、下にあるのはアジアの周波数フォーラムでほぼ決まった標準周波数で、これは700MHzから800MHzで上り下り両方とるんですね。で、これはもう、アジアもヨーロッパも、おそらくアメリカもこの周波数になりますので、世界中がおそらくこの割当てになる。

そうすると次世代のLTEといわれる技術を使ったiPadもiPhoneもこの周波数帯で出てくる。そうすると、初代のiPhoneが日本で使えませんでしたよね。あれと同じことが起こる。つまり、アメリカでもヨーロッパでも中国もインドでも、国際周波数でiPadが使えるのに、日本だけ使えないということが起こる。これはもうソフトバンクにとってもたいへんな商売に差し障りがあるでしょうし、ユーザーにとっても非常に困ったことが起こる、ということであります。

(池田資料P.8)

 

それから、いま申し上げた通り、もう少し細かい話をして申し訳ないんですけども、710~730MHzのところにITSという謎の周波数がありましてですね、これは車と車がぶつからないようするという技術として本来始まったんですが、いま北海道でちょっとやっているだけでいつ商用化するかがまったく目処が立たない。で、まだ仮に割り当てただけで、最終的な割り当ても行われていない。

それから、730から770はさっき申し上げた通り、携帯というか移動通信に割り当てられるんですが、それから770~806、これが最大の問題なんですね。これがFPUという、実は総務省の方もあまりご存じなくてですね、総務省の電波分波表にPFUと書いてあったんですが、それは間違いでありまして、フィルダピックアップといって。実は僕はこのFPUを仕事でずっと使っていた。これはなにかというテレビの中継の周波数。

むかしはね、田舎のお寺から中継するときに、中継車から上から電波飛ばしてってやっていたんですけども、いまそんなところ飛ぶところないわけだから、使ってないんですよ。みんな通信衛星でやってるんですね、中継は。だからUHF帯のFPUなんて使ってないし、世界的にこんなところにFPUを割り当ててる国ももうないんですよ。利用実績も調べてみると、実はラジオマイク連盟というのが日誌をつけているので見せてもらったら、月に数十時間、首都圏だと3日に1回くらい。何に使うかというとマラソン中継に使っているという。36MHz、ソフトバンクに持っていらっしゃるまるまるくらいの周波数を遊ばせているという、とんでもない使い方をされているわけですね。

それからもう一つ、これは夏野さんの方が詳しいと思いますが、850から上のところにMCA(※)という謎の周波数がありまして、これは特殊法人がなぜかやっている。なぜ商業的に儲かる周波数で特殊法人がやらなきゃいけないんだ。それで名簿を見てみると、理事長以下、専任の理事のうち5人中3人が総務省の天下りというわけなんですねなんでこれが事業仕分けにならないのか不思議なんですよね。

MCA財団法人移動無線センター

孫:
しかも理事長も天下りなんですよね。

池田:
天下りのために作ってるというしか思えないような組織なんですよね。
利用している人が30万人もいない。ほぼ同じ帯域でソフトバンクも、NTTドコモも何千万という人が使っているのに、その100分の1も使っていない特殊法人がまだこんなところに生きのびていると。

それからあと細かい話は、色々あるんですけど、夏野さんの方がお詳しいでしょうけど、たとえば901MHzでいえば、地域防災とかですね。パーソナル無線とか誰も使ってない。

地域防災ってのは、みなさん、近所の有線放送みたいので、5時にピンポーンってなるのがあるでしょ。あれが実は地域防災なんですね。地域防災無線ってのは何も使ってなくて、何年かにいっぺんに災害のときのためなんだけど、そのときに使えるかどうかテストするために、毎日5時に、「みんなのみなさんなんとか」とかいうのもあるし、あるいは音楽流すものあるし。あれは1日1回、音楽流すために周波数を取っている。しかも、国と県と市町村で三重にとっていると。とでもない。無駄遣いをしているわけです。

夏野:
ちなみに一言、これを付け加えさせていただくと。850から950あたりの900MHz周辺って周波数は、ヨーロッパで3Gでも携帯電話に使われている周波数でして、ここが携帯電話に割り変えられると海外の端末を日本に持ってくるのがすごく簡単になるんです。僕が言うのもなんなんですけど、すごく簡単になる。
よくiモードがガラパゴス携帯と言われますけど、電波がガラパゴスなんです。

(池田資料P.6)

 

池田:
それで、さっきの図に戻りますけど下のほうが900MHz帯と赤いのがMCAですね。

(池田資料P.9)

 

ちょっと難しい話になるんですが、710MHzから下のところ、470MHzから710MHzの240Hzはテレビが使っている周波数帯なんですね。これは茨城県のチャンネル割り当てを拾ってみたんですが、色がついてる所が、テレビ局が使っている周波数帯。ごらんのように真っ白。これ40チャンネルとっているけど、実際には茨城県には7チャンネルしかないからあとの33チャンネルが真っ白。
ここにテレビ局もあと33チャンネルも入る。それこそソフトバンクがそこで営業することが十分できる周波数帯なのに、なぜかテレビ局が占拠しちゃってる。これをホワイトスペースといいまして、これはちょっと無駄なんじゃないのと言うことで、僕とかいろんな人が言ったら、最近は原口さんもホワイトスペースだということを仰るようになって、総務省もホワイトスペースはかなり前向きに検討するという方向です。
アメリカではFCCが免許不要帯として無線LANに割り当てると言っています。

(池田資料P.10)

 

それで来年の7月にアナログ放送が終了する予定なんですけども、ここで300MHzこんないい周波数がも空くことはもう二度と無いので、ここでとにかくふんばって一挙に空けましょうと言うのが私の提案であります。VHF帯に二つの業者でずっと競り合ってるんだけども、はっきり言ってその業者のどっちかはやる気はないけど総務省に頼まれてやってる業者もいると仄聞しておりますけども、そういう業者が本当にやる気があるかどうかは、オークションに出してみたらわかるんですよ。その会社は儲かると思ってないからね、高い値段をつけないで彼らはあんまり顔つぶさないで対決できるから、僕はその方がフェアだと思うんですけどね。
これは今から来月の7月オークションするというのは時間的不可能なんですけどね。
それから470MHzから710MHzはさっき申し上げたホワイトスペースですので、やればいいです。
それから700MHz帯と言うのはFPUなんかをどければ690MHz。710MHzまでだけだと国際周波数法に引っかかっちゃうんで、本当に一番いいのは698MHzから下にテレビを寄せちゃって。698MHzから806MHzを全部空ければ5スロットぐらい周波数が取れるだろうと。これもオークションでできればいいんですけどね。
たくさんあるんですけど他に例を挙げると、夏野さんがかねてから仰ってる800MHzと900MHz帯の国際周波数のところですね。
それから1.7GHzの所でソフトバンクがいったん取られだけど、返却された周波数が空いたまま。

孫:
戻せっていわれたんです。

池田:
あれはもったいない、ずーっと空いたままでしょ?
あれがまた非常にいい周波数で、世界のGSMが使ってる国際周波数なんですね、これは初代iPhoneが使ってた周波数。これを空いたままほったらかしてる。

(池田資料P.11)

 

まとめますと、今のような細かい話はややこしいと思いますが、今の電波行政の何がいけないかというと、用途を総務省の電波部の皆さんが勝手に決めちゃって固有の用途に固有の変調方式で、お互いまったく互換性のないインフラで割り当てられてるから、まったく使わない周波数が他の人が使えない。
それじゃ勿体無いので全部一番下のレイヤーの物理層は汎用の無線にしちゃって、そこにIPを乗せて後はアプリケーションとしてモバイルでもテレビでもWEBでもやればいいんじゃないですかと? いうのが私の提案です。以上です。

夏野:
ありがとうございました。今の池田さんの話をまとめさせて頂くと。
孫さんのプレゼンに対する質問は後にさせて頂きます。
電波が足りないのに、足りないところをさらに効率悪く使っていると。で割り当てがあまりに適当。これは適切じゃないと言う意味で。
だからテレビの問題とか業務用無線とか、これ、電波の話と言うのは過去、40年、50年にわたってですね、徐々に拡張を割り当てられてきた経緯があるので、まあ、最初から計画されてなかったのは事実だと思いますし。特に、こんなにインターネットっていうものがでてきたころからまだ15年~20年の世界なので、ここに対応できてないっていうことが、まあ、出てるんだと思うんですが、あの、ちなみに(池田さんに対して)ユーザーのほうからは「それを孫さんに言っても仕方がないだろう」と……

一同:
(笑い)

池田:
いやいやいや、そこんところはむしろ我々(池田さん、孫さん)が、揃って政府に言いたいことなんです。

夏野:
わかってますわかってます。
2番目にもうひとつ大きな論点として、国際周波数のハーモナイゼーション、つまり周波数を海外と合わせないと機器が使えないじゃないか、というお話も指摘されています。それと同時に日本の割り当てがいかに合ってないかという話と、変なところでいい帯域が割り当てているっていうのを説明していただきました。
最後に、電波行政がそもそもなんで、昔のまんまやってるのかと。新しい時代に合ってないんじゃないかというプレゼンをいただいたんですが、まあ、これはもう孫さんとしては100%(同意)……?

孫:
そうそうそう。基本的に、電波の周波数が、十分に活用されていない、有効利用されていない。で、僕はもう、言いたいことは山ほどある。
だいたいそもそもiPhoneが、「少し都心から離れたところで繋がらない!」と、もう毎日のようにお叱りを受けているんですが、我々が建てている電波の基地局の数は少なくともauさんよりも倍ぐらいあるんですね。ドコモさんとあまり変わらないぐらいの基地局の数を持っているんですけども、結局、我々だけが800MHz帯の周波数を割り当てられてない。2GHz帯の、非常に不利なところに。

夏野:
これちょっと、解説します。いちおう専門家として。
いま孫さんのおっしゃっていることを、ユーザーさんに非常に分かりやすく解説すると、実はこれ(携帯電話を取り出して)、たとえばドコモの携帯電話なんですけども、これは2つの周波数、厳密には3つなんですが、わかりやすく言って2つの周波数を使ってます。ひとつは、国際的に3Gという方式で認められている2GHz帯っていうものですね、こちらの電波が、受かります。
もうひとつですね、実は、第二世代(2G)用に使っていた800MHz帯という電波を、もともとPDCという方式で、初期のiモードとかそうなんですけれども、昔、ごーまるいくつとかいう携帯電話が出てたんですが、あれ。あれに使っていた800MHz帯っていうのを、例えばドコモの場合は、もう3Gにも転用しているので、この携帯電話は2つの周波数を使っています。まあ、厳密に言うと3つなんですけど、まあ、2つ。
実はこれ、2GHzと800MHzというのは、実は800MHzのが、遠くに届くんです。で、2GHzっていうのは周波数は高い周波数なんで、直進性が高くて、スピードも早いんですけども、そのぶん反射しにくいので、たとえば屋内に入るとつながりにくい。

孫:
建物の中では、非常に弱いんですよね。

夏野:
「減衰」っていうんですけどね。反射したときに、衰えるんですね、電波の力が。そういうことで、屋内でつながりにくいのと、それから、同じ野原に2つの電波を出すとですね、800MHzのほうが、遠くに届く。

孫:
そうそうそうそう。それから夏になるとソフトバンクの電波って通りにくくなる。

夏野:
あれは木がね。

孫:
木の葉っぱがね。

夏野:
葉っぱがダメなんですよね。

孫:
葉っぱにね。

夏野:
だから軽井沢とかダメ。

孫:
もう、だからねえ、我々はねえ、もう泣きたいぐらいねえ、800MHz帯を、イコールフッティングで(割り当てて欲しい)。ドコモさんもauさんも、800MHzを好きなだけエンジョイして使っておられる。我々は2GHz帯だけでやらなきゃいけないので。本当に苦しいんですよね。

夏野:
ちなみに言うと、auさんも状況は(ドコモと)同じで、800MHzと2GHz帯を両方使っていらっしゃいます。これ、これなんでこういう経緯が起こったかと言うと、僕はちょっとこれ昔いた会社の技術屋さんに聞いたことあるんですけれども、あんまりここまでひどいと、減衰がひどいっていう話を、あんまりそういう話を深刻に認識していなかったきらいがあって。

孫:
僕は認識してるから、800MHz帯を我々にも寄越せというって、総務省を訴訟までしたの。6年前に。

夏野:
(笑い)

孫:
それでしばらく出入り禁止に、ということになって……はいれなくなった。

夏野:
ただそれはね、あんまり(総務省を)責められないのは、みんな含めて、海外も含めてですね、3Gは2GHzって最初決めたんですね。いまヨーロッパも850MHzとか、900MHz帯を中心としたGSMの、第二世代っていわれるGSMの方式のところを3Gにと、ようやく認めたところで、実は世界的にみんな、通信業界が2GHzでいけると思ってたきらいはあるので、ちょっとそこまで責められないかなと。

孫:
だいたい、だいたいね。面積に直すと、だいたい4倍とどきます。面積になおすと4倍電波が飛ぶ。ということで、本当に我々800MHzをまだ割り当てられてないと、イコールフッティングでない、ということに対しては我々、言いたいことが山ほど、あるんです。ふふふ。

夏野:
ただしこの800MHzの問題に関してはちょっと複雑でですね、例えばあの、そういう事例があるがためにですね、たとえば、iPhoneがドコモにくるとつながるんじゃないかとおっしゃっている方もいるんですけれども、厳密には、そんなに簡単には行かないんですね。っていうのは周波数の違いがあるので。ですから、実は池田さんがおっしゃったように、800MHz周辺を使うにしても、国際的に合わせていかないと、そのまま実は繋がらないという現実もあります。

孫:
だから、そういう意味では、国際標準にあったところの800、あるいは今回の700というようなところが、あるいは900、800の前後のところですよね。

夏野:
900前後のところですね。

孫:
そうそう、900前後。それから今度700前後のところもLTE。その両方のところについては、国際バンドの標準に合うので、さっき池田さんもおっしゃってたように、iPhoneあるいはiPadの次の世代、あるいはその次の世代、LTEとかなってきたときに国際標準のものを使えないと、日本だけが本当に電波ガラパゴスになる、これは深刻な問題なんですね。それはもう僕は100%池田さんがおっしゃっている周波数帯を国際標準に合う形で、しかも、タクシー無線だとか、MCA、なんか中継無線だとか、パーソナル無線。
パーソナル無線というのはだいだい長距離トラックの方が、2万台くらいで使っている。トラック2万台のために2000万人の人が不自由すると。だったら、トラック2万台の運転手さんに携帯電話、僕らタダで提供しますよ。2万台くらい携帯電話無償で提供するから、せめて2000万人のために、その周波数ちょっとどいてくれませんか、という国民の一番の願いだと思うんですよね。

夏野:
ただですね、この話だとふたりは意見が合ってしまうので、面白くない。司会としてはですね、ちょっと池田さんにご質問をしたいんですけども、いま池田さんのお話は、孫さんも指摘されてた電波が足りないということなんですけど、孫さんがおっしゃっているのは、その電波を解決してもなお、まったく足りない。こちらの意見はどうでしょうか。

池田:
もちろん孫さんがさっきおっしゃっていた何百倍っていう可能性があるわけだから、それに対していま周波数をそれを2倍とか3倍にしてもとても足りない。それは、あとは基地局を多重化していくしかないですね。それをインフラとして、光とかそういうものは必要だというのはおっしゃるとおり。
僕は今日おかしいと申し上げてるのは、そっから先の、つまりNTTを構造分離して、政府がですね法律で決めるというところは、かなりリスクが大きい話になっちゃうじゃないかということですね。

夏野:
じゃあ、まずはこの点で行きます。全体論として、電波の需要が爆発してくるというのは間違いないと。これはお二人に共通しているし、それをなんらかの手を打たなくてはいけない。とくに池田さんがおっしゃっているのは、電波の割り振りを思っいっきり変えなくてはいけない。そのタイミングが来年に来るので、来年、地デジでアナログが停波になるので、史上最高のタイミングであることは……

孫:
しかも、その来年からの割り振りは今年決まる。来月からどんどん決まって行く。

夏野:
これは喫緊の課題だということもお二人は……

池田:
緊急の問題です。

夏野:
お二人は合意されているので、それでじゃ討論にならないので、いまちょっと一番僕があんまり参加したくない議題が出ました。NTTの経営問題っていうのがありましたが、なぜNTTの経営問題とこの「光の道」が絡むのかっていうのをちょっと孫さんのほうから。

孫:
はい、じゃあ第二部をプレゼンを準備していますから、ちょうど導入ポイントになっている。

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