【書き起こし】ニコニコ生激論『民主主義2.1(夏)~代議制の拡張可能性について~』その3

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【書き起こし】ニコニコ生激論『民主主義2.1(夏)~代議制の拡張可能性について~』その3

カテゴリー: ニコニコ生放送

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朝までニコニコ生激論「民主主義2.1(夏)~代議制の拡張可能性について~」の書き起こしその3です。

●動画はこちら
朝までニコニコ生激論 「民主主義 2.1 (夏)」 3/4

●目次
【書き起こし】ニコニコ生激論『民主主義2.1(夏)~代議制の拡張可能性について~』その1

聞き間違い、わからなかったところ等ありますがご容赦ください。

(その2の動画の最後の部分から)

東:
あと司会としてひとつ、さっきの鈴寛さんの話と、最初の鈴健さんの発表をつなぐパスを出しておくと、結局その調整役としての政治家というのは民意の反映なんだけども、反映の仕方にさまざまな仕方があって、ということだと思うんですよね。さっきのインターネット民主党の話っていうのは、ある意味それ自体は政策を持たないで、それ自体は人々の投票を反映するだけの装置でしかないんだけど、その反映の仕方、人々の投票をどういう風にして議員数に反映するか、もしくは党の政策に反映するかっていう、そこの政策の透明度で競うってのは、僕あると思うんですよね。
で、今回の二大政党制の問題にしても、恐らく自民党と民主党にかけられたのは本当はその問題で、自民党の政策と民主党の政策が選ばれたのではなくて、民主党の政策決定システムと自民党の政策決定システムの争いだったんですよ。

――:
そうそうそうそう。

東:
つまり政策は、大体誰でも決まってるんですよ。もう今の日本でやんなきゃいけないことは本当は決まってて、まあただ本当は決まってることもやってない問題っていうのはあるとは思いますが、本当は決まってる。ただそういう時に、反映するシステムをどれだけ透明化するかっていう形で政党が争うっていうのは、僕あると思うんですよね。

吉田:
だから、それを実践しようとしてるから、まあ他の要因もあるけども、ここまで支持率が今下がってるんですよ多分民主党は。何をやりたいか分からないとか…

猪瀬:
対比ができてないからそうなってる。

吉田:
みんな閣僚が勝手なこと言って、意思統一がない、っていうのも批判の一つにあるわけですよ。

堀江:
それはでもさ、鳩山さんが悪いんじゃないんですか。鳩山さんが悪いんじゃないの?

東:
民主党が透明な政策決定システムを実践してるから、むしろ支持率が下がってるってことをおっしゃってる?吉田さん。

吉田:
でもその上で調停も挑戦もない…

猪瀬:
そりゃ違うよ。民主党はやっぱり失敗してるのよ。自民党にアンチテーゼを出さなきゃいけないのに出し切れていないから、皆がっかりしてるわけだから…

堀江:
僕は鳩山さんだと思いますけど。鳩山さんだけだと思いますよ。普天間とか関係ないじゃん。普天間で叩かれてるわけじゃないですか、今。ほとんど。

――:
まあね。

堀江:
違います?

――:
その前からでも支持率急落してましたから…

堀江:
いやあ、でも普天間でかいと思いますよ。普天間と小沢さんでしょ? だって。支持率下がってるのは。

猪瀬:
僕から言えば、何で無料化なのとか、何で急に2000円なのとか、高速道路。あるわけで…

堀江:
そんなのでも、皆気にしてないですって。

猪瀬:
いや違うんだよ。そういうものの数が集まってきちゃってるってことなの。それは普天間に象徴されてる…

堀江:
いや僕は絶対小沢さんと普天間だけだと思いますよ。

吉田:
景気が悪いんですよ。

(以下数秒、皆同時に話し聞き取れず)

堀江:
いやだから、景気がだって、ずっと悪く…

東:
待って待って。民主党の支持率が何で下がってる…

猪瀬:
それは成長戦略ないから。それはね。

鈴木寛:
はいはい、はいはい(手を挙げながら)。今日はね、あんまりそういう話を僕は今日、しに来てなくて…

猪瀬:
別に民主党をいじめるつもりはないから、ここで。

鈴木寛:
熟議の話でね、ちょっと新しい話をしてほしいんですけども。熟議をやる中で、我々が期待しているのは何かっていうと、当事者が当事者コミュニティに関係する人たちが熟議をすると、何が起こるかっていうとですね、当事者による自発的コラボレーションが起こるんですよ。で、このことが問題解決にものすごく役立つわけなんですね。例えば、三鷹第四小学校とかは、1年間に7000人のボランティアがその学校教育をサポートしてるわけ。で、そうするとね、要するに、いま大きな政府・小さな政府論争で嵌まってるんだけれども、これは税金をかけずに教育力を上げるっていうことに圧倒的に資しているわけですよ。だから、そういう何て言うかな、いままでの政治の役割っていうのは、社会資源のアロケーションをどうするか…

東:
配分ですね、配分。

鈴木寛:
うん。配分っていうことが政治の意思決定だったんだけど、これから政治の役割はアロケーションと共に、そういうその、市民を含めた関係当事者のコミュニケーションを創発させるっていうことが非常に重要で、そのことによって市民の自発、もちろん皆が役割分担して、もちろん政治もね、政治を含めたあらゆる関係者、それから納税者も含めて、だから当然、黒ペンの中には納税者も入るんだけど、そういうコミュニケーションを…

猪瀬:
僕は言ってることは全部分かるけど、「市民」ってあんまり言わない方がいいよ。「市民」って僕よく分かんないから。やっぱりそれは、そこに関係する当事者、利害関係者、それから広い意味での国民、ってことだと思うよ。

鈴木寛:
だから利害関係者の中に納税者も入りますよ。

東:
あと、猪瀬さんは「消費者」ってのを結構強調されてるでしょ。

猪瀬:
そうそう、ユーザー。

東:
ユーザー。うん。僕もユーザーの方が何か使い勝手がいい。

堀江:
でも、そうやって民主党さんってね、結構いいことやってんのに…

猪瀬:
こういう人はいるんだけど、全体ではバラバラだろ。だから…

堀江:
そう、こういう人はいっぱいいるのに、だからリーダーがやっぱり、鳩山さんだから悪いんじゃないですかって話じゃない。

東:
もういいじゃん、鳩山さんの問題は。だから…

堀江:
いやいや良くないですよ! だってそれが一番大事なことじゃん、何で皆クーデターとか起こさないんですか。

猪瀬:
だから確かにさ、政党だから代表がちゃんとやんなきゃいけないですから。

吉田:
今度の党首選で落とせばいいんですよ。

堀江:
いや、党首選で落とせばいいんですよっつって、党首選に出てこないじゃないですか若手が。

猪瀬:
いやだからそれはね、鈴寛さん達のパワーが足りないんだ。

堀江:
ネイティブ民主党の人出てこないじゃないですか。何であれ出てこないんだ…

東:
まあただね、やっぱりだからちょっとこう話をね、もう少しまた抽象的なレベルにというか…

津田:
あ、ちょっと一個いいですか、その前に。

東:
はい。

津田:
いやなんか、せっかくユーザーの話が出たんで、僕あえてね、文部科学副大臣の鈴木寛さんに聞きたいっていうのが、僕2006年から、まさに自分のジャンルで言うと著作権で、ずっと2006年で文化審議会で3年議論したんですよ。で、僕はだからインターネットのダウンロードの違法化の問題があって、最終的には委員いろいろ変わったりしたんですけど18人の委員がいて、僕だけが「ダウンロード違法化なんて意味ないんだし、もう、そんなものやめたほうがいいですよ」って話をして、結局17対1で僕だけ反対して、結局できた。でも、最終的に…

堀江:
え、何できた?

津田:
17対1の、僕だけが反対して、結局可決されたんですよね。インターネットで、ダウンロードの違法化するってのが圧倒的に…

堀江:
ダウンロードの違法化って何ですか?

津田:
今年の1月から、違法な音楽と動画っていうものが、ダウンロードするのが違法になりました、っていう著作権法の改正があったんですけど。

堀江:
あー、はいはいはい。なるほどね。なるほどね。

津田:
それの議論を3年やって、僕は中でやってたんですけど、まあそんな中ではやっぱり基本的には利害関係者っていう中で、一応呼ばれてたのは、いわゆる消費者団体と、一応インターネットのユーザーの立場っていうので僕が呼ばれたって中で、でもやっぱり利害関係者っていう図でパブリックコメントも募集したんですね。募集して、8000通パブリックコメントが来て、6000通ぐらいは反対だっていう意見があって、2000通ぐらいは賛成だっていうのがあった中で、あの時に逆に、僕はだからそこでやっぱ当事者性ってのは全く感じられなかったんですよ、中で議論に参加している時に、まさに熟議の真逆で、官僚が基本的に書いたシナリオどおりに進んでいったっていう時に、あの場合で、じゃあどうすれば熟議っていうのを、またインターネットユーザーだとか情報通信政策っていうのを考えるときに、どういう熟議っていうのが考えられるのかなっていうのを、すごいだから何か、今日聞いていてね、その理想論っていうのと現実っていうのがってときに…

猪瀬:
津田さんも審議会で苦労してんだ…。

(笑い)

東:
急に何か、親近感が…(笑)

猪瀬:
だけどそれはな、そこの場で暴れて見せなきゃダメよ、それは。まずは。

津田:
まあ、暴…うーん。

猪瀬:
ね。そしたらマスコミ来い! とかね、俺はね、こうだぞ、とかね。自分でプレゼンテーションしない限りは勝てないですよ。1対他なのそんなのは。

(笑い)

津田:
あー。

堀江:
それは、だからそういう仕組みになってるからまずいんじゃないの?

猪瀬:
だからそうやってやって、やっと一つ作ったり、もうひとつ作ったりしたわけだから。例をね、サンプルを。

堀江:
はい。まあそりゃそうですけど、みんな猪瀬さんみたいだったらいいけど、そうじゃないってことですよね。

猪瀬:
いや違う違う。そりゃサンプルを作って…

津田:
でも随分暴れたつもりだったのでよく分からないですけど…

猪瀬:
暴れたつもり、だからそれでいいんだよ。だからそういうことが分かればね、いや分かんないんだって。だから鈴寛さんも熟議熟議って言ってるのは、そういう現実を一回経験してる人達ってのは、どういうやり方があるのかって必死で考えるわけですよ。

東:
さっき、猪瀬さんが「市民」って言葉はちょっと「?(ハテナ)」だっていうことは僕もすごくよく分かるところがあって、それはリベラリズムのさっきの考え方に対して僕がちょっと疑問を覚えるってことと同じなんですが、つまりそのステークホルダー(利害関係者)もしくはユーザーだけが集まって、それぞれイシューごとに公共圏ができる、っていう形しかこれからはないと思うんですよね。
つまり大きな公共圏が1個あって、そこに対してどういう参加資格があるかっていう形で考えるのではなくて、それぞれのイシューごとに公共圏が。で、だからイシューごとで弾かれる人はいるわけですよ、それにそもそも関心がない。まあ弾かれるって言っちゃアレだけど、そもそも参加しない。で、また情報がそもそも入ってこない。でもそれはイシューごとに無数の公共圏が立ち上がってるから、それ全体で良しとするっていう考え方しか僕はないと思うんです。

吉田:
いや、その利害関係者だけの島宇宙みたいなのが出来上がって、それは果たして公共圏と呼んでいいのかな?

東:
そういう形しかないんじゃないですか。だから…あらゆる問題で話題になる公共圏…

猪瀬:
でもな、はっきり言ってな、ちょっといい? ねえ。高速道路乗らない奴がね、何か言うんじゃねえよって思うんだよ。ね? 運転したことねえ奴が。そら当たり前なんだもの。分かってないで意見言われたって困るんだよ。どれだけ使い勝手がいいか…

吉田:
いや、分かります…

猪瀬:
いや僕はね、そういうのがいっぱいあったからもうね、あなた(=吉田氏)みたいな言い方はもうダメなの僕は。

堀江:
高速道路って、

猪瀬:
例えばの話よ。

堀江:
でも何であんな無料化とかってなっちゃったんですか。

猪瀬:
それもさあ、鈴寛さん何とかしてよ、本当に民主党はコロコロコロコロねえ…

堀江:
ねえねえ、あれ何で無料化になったの…

猪瀬:
話にならない。せっかくやったのに。

堀江:
ええ。そうですよね。

鈴木寛:
僕はだから東さんの意見でOKで、ただ、ステークホルダーのときに、今のそこに時間軸を入れるということを補完すれば、もう今のでOKだと。だけどそのときに、今現存してないステークホルダーの、そこの代弁とか、補完の仕組みを…

東:
いやそうです。あの…

津田:
何で僕が、要するにインターネットユーザー協会(MIAU)ってのを作ったのか、すごい叩かれながらもね。もうすごい苦労しかないですよ、苦労しかないけれどもとりあえず作ったっていうのは、それは官僚に言われたからですよ。何でインターネットユーザーの声を聞かないんですかって言った時に、いや、代表者がいないからですって言われたんで。で、団体作りました、って団体作って、こうやって。で、僕が最初に審議会に参加したのは個人で呼ばれたんですよ。個人で呼ばれて、こういう人達の意見をどんどん入れないと、って。いろんな多分、インターネットユーザーだって1個じゃないんだから、とにかく少なくとも3極ぐらいのいろんなインターネットユーザーの声を入れて、それをステークホルダーとしてちゃんと議論に参加させないとダメなんじゃないですか、何でそういう人達を呼ばないんですかって言ったら、団体がないから、誰を呼んでいいか分からないから、って言われたんでとりあえず一つ作ったわけですよ。でもそれで作った途端、全く呼ばれないですよ。せいぜい呼ばれてヒアリングですよ。

鈴木寛:
うん、だからそれがね、まさにこれまでの自民党政治というよりも官僚政治なんですよ。で結局、コーポラティズム(※)なわけ。代表民主主義なんていうのはね、要するにもう、日本でワークしたことがなくて、実は。で、それをワークさせた初めての時代がこの瞬間なんですけど、

※社会の諸階層・諸個人の利害を職業団体や企業、労働組合、さらにその連合体などによって集約・調整する政治経済体制のこと

猪瀬:
民主党だから良くなったわけじゃないよ。 

鈴木寛:
だから、それはコーポラティズムなんだけど、それはもう変えたいと。つまりはユーザーだけで話しててもしょうがなくて、まさにユーザーとその著作者と、編集者と…

猪瀬:
津田さんね、それね、その記録とか全部どうした?

津田:
ん?

猪瀬:
だから、その時の…僕なんか道路公団民営化の記録で、(手振りをしながら)こんなに机に山いっぱいあるのが全部ネットに入ってますよ。で官邸のホームページから、「終わった委員会」っていう項目のとこ行けば、そこでちゃんと全部見れますよ。

堀江:
それ見れてどうするんですか。

猪瀬:
それは過去にどういう議論があったかっていう積み重ねをやっていくという意味で、それからいろんな証拠とかデータとか出してあるわけで。そういう例えばその審議記録は、あなたの場合はそれはそこで公開させてあるの?

津田:
それは一応全部議事録としては残っていて、

猪瀬:
残ってる。うん。

津田:
で僕はとりあえず…

猪瀬:
じゃああなたの言ったことは全部残ってるの?

津田:
残っているし、とりあえずもう僕は納得行かなかったんで、その結論がね。ダウンロード違法化の結論が決まった日にもうムカついてムカついたんで、とりあえず2ちゃんねるのVIP(※ニュース速報VIP板)にスレッドを立てたんですよ。スレを立てて質問にすごい答えて、情報を拡散させるっていうね…

ダウンロード違法化がほぼ決まったけど何か質問ある?

鈴木寛:
だからそれはすごく分かるんだけど、要するに…

猪瀬:
ホリエモンそれはね、熟議ってのはそういうものがあって熟議になっていくわけで。

堀江:
なるほどね。

鈴木寛:
ただね、要するに、直さなきゃいけないのは、今までは現場でなくて、現場を取りまとめてる中間団体の代表が来てやってる、ってやっぱここも直さなきゃいけなくてね。だから実は本当に小さい小宇宙でいいから、著作権者およびその見習いみたいな、将来の著作者も含めて、そしてユーザーも含めて、どうしたら活用もうまくいきながら作る奴が作る気になるかっていうことを、本当にその関係者がちっちゃくてもいいから集まってそこで何かソリューションが出てくれば、そのことが実はものすごく大事なんですよ。

津田:
いや、でも今現実ではもうすごい著作権に関してはデッドロック(deadlock=行き詰まり、膠着状態)じゃないですか。

鈴木寛:
デッドロック。(頷きながら)

津田:
もう裁判まで起きちゃってるんでね…

鈴木寛:
いやだから、そのデッドロックを乗り越えるのはどうしたらいいかって言うと、要するに代理者というかね、要するに業界利益だけの激突のデッドロックにはこの先ないですよ。はっきり申し上げて。
で、それは、本当に現場で作ってるヤツと現場で使ってるヤツ、あるいはそれを現場でちゃんとうまくプロデュースしてるヤツとかエディットしてるヤツとか、そういうやつらがまさに熟議を開始して、俺たちはこういうルールで折り合ったよ、と。両方もwin-winだよと。まあ分からないけどここまでは進んだよみたいなことをやって…

吉田:
鈴寛さん仕分け…

東:
あ、ちょっと1個運営上の確認。休憩は皆さん必要ですか?

堀江:
僕は大丈夫ですよ。

東:
では、休憩はなしで。行きましょう。

(笑い)

東:
でも、あのー僕もちょっとトイレに行きたいなと思ってたんですが。

(笑い)

――:
5分休憩しましょうよ。

東:
適当に行ったり来たりしてもうやりましょう。その方がいいと思います。ユーザーにとっても、まさにいいと思うので。それで、恐らく今までの議論ずっと、どっちかって言うとオープンガバメントもしくはガバメント2.0、つまり政策決定のプロセスをいかに市民に開くかっていう話の方で来たと思うんですが。
もう1個、選挙をどうやって改革するかって話に、恐らく戻したいなとは思います。ただまあそれは(席を立った)鈴寛さんが戻ってから…

津田:
(鈴木健さんを指差しながら)準備もあるから、やっぱり5分休憩入れた方がいいんじゃないですか?

東:
いやいや、その5分の休憩の間にブツブツしゃべった方がいいですよ。もうこれは。

津田:
はい、分かりました。

堀江:
どうせしゃべってるじゃない。

東:
どうせしゃべってるから。どうせしゃべってるから。だから要は、休憩なんだけどしゃべってる、みたいな。

津田:
なるほどね。休憩モードだ。 あの、鈴健さんが画面を出したい…

東:
ただやっぱりその、僕は吉田さんのおっしゃってることはやっぱり分からない。分からないっていうか、大文字の市民っていうものを仮定してる感じがする。大文字の公共、大文字の市民。

堀江:
何ですか、大文字の市民て。

東:
つまり、市民っていうものがあって、その市民っていうのは様々な政策、様々な公共的な事柄に関心を持つ。だから、そういうのじゃなくて今ここで言って…だから例えば堀江さんだったら宇宙開発は関心あるけど、他にいっぱい関心ないことあるでしょ?

堀江:
うん。

東:
でも、近代の市民っていうものの理想像ってそうじゃないんですよ。つまり、この国にとって大事なことには全部関心を持たなきゃいけないんですよ。

吉田:
…なことに自分の意見を…(聞き取れず)

堀江:
ねえそれ、誰が理想像を作ったの。

東:
それは近代社会ですよ。誰が、じゃないです。

堀江:
いやいや、だ…えええ? 何それ。

吉田:
だって一人ひとりが主権者なんですよ。

堀江:
いやいや、じゃなくて、何でそんな理想を誰が作ったの? 誰が作って誰がオーソライズ(権威づけ)してんの…

吉田:
歴史が作ってきたんですよそれは。

(鈴木寛さん席へ戻る)

東:
分かんないんですか、ロックとかルソーとかそういう連中が…わらわら集まってなんかできちゃったんですよ。

(皆一斉に話し聞き取れず)

堀江:
はいはい、いいすか、いいすか。ここに…(手を挙げながら)

吉田:
フィクションなんですよ。

堀江:
ここにいる人たちはロックとかルソーとか何とかって知ってるかもしんないけど、ほとんど皆知らないっすよそんなもん。

東:
でも知らなくてもそういうその近代的な…

猪瀬:
それはね、簡単な話で、要するに税金がどこにあるかって話があって、王様が徴税権持ってたわけよ。

堀江:
そうですね。

東:
ごめん、ちょっと…(一時退室)

猪瀬:
で、王様が徴税権持ってるから、じゃあその徴税権を少しずつ奪っていく、というのがイギリスで、一気に首切って国民が奪っちゃったと。

堀江:
奪っちゃった。

猪瀬:
それでじゃあ我々払った税金、我々で分け前やりましょうと。その前に公平に分けましょうというから、議会ができた。

堀江:
はいはいはい。

猪瀬:
そういうことでしょ。それで公平に分けるけどじゃあどうしたらいいかっていうんで政党がいろいろあって。で、皆が意見入れた方がいいったら投票みんなした方がいいと。そういう形になってきて、だから日本は始めは納税者しか有権者じゃなかったんですよね。うんだから…

堀江:
まあそうですよね。で、いや要は…

猪瀬:
そりゃ良かったかどうかの問題はあるんですよそれはね。…的に良かったかっていうのはね。

堀江:
つまり何か、頭のいい人が理想をずっと語ってたってことですか?

猪瀬:
まあ制度としてそうなってきて…いや、効率的だったわけですよ、それが一番。

吉田:
いやいやつまり、全然自分と遠いあずかり知らぬ人間が、自分のことを勝手に決めて、どういうそんな道理がお前あるんだって話なんです。で、みんなそれは嫌だ!と。

堀江:
嫌だとは言ってるけど、

吉田:
嫌だから自分のことは自分で決めたい。

堀江:
そうそう。でも全部を決めるのが理想だってのは、確かにそれは理想かもしれないけどそんなこと無理だよね、って思いながらも理想を語ってたんですか? 皆。

猪瀬:
自分の商売に関わるところだったわけ皆。

吉田:
それが歴史をつくってきたわけですよ。

猪瀬:
だから、ワインの税金がどうだとか、自分の商売の上前はねられちゃ困るところがいっぱい皆それぞれあって、税金だって一般的な消費税のように関わってるわけじゃないから、

(東さん席へ戻る)

堀江:
まあまあそりゃそうなんですけど、そうじゃなくて何でそういう風な理想になったのかってすごい疑問があるわけですよ。

吉田:
他人に自分のことを決めてもらうのは嫌だからです。

堀江:
いや、嫌だからだけど、だって、実際じゃあ自分が幾らね、能力が高かろうが、俺は全然関係ねえやって思うところに興味関心なんか絶対持たないじゃないですか。持たないのに、理想はそうだ…

東:
あ、その話はまだ続いてるんですか。

――:
いやそれはね、ちょっと違う…

東:
でも近代国家はそうですよ? だって何のために近代の教育ってあったっつったら…

猪瀬:
利害とか当事者だっつってんじゃんさっきから。

東:
とにかく、ある種 国全体に関心を持って、一応大雑把ではあれ、国民として国全体に関心を持つっていうのが…

堀江:
建前。そりゃ建前があるってことでしょ。

東:
いや、その建前っていうか…

――:
それが近代なんですよ。

堀江:
それが近代なんですよって言ったって、

猪瀬:
国益ってのがあるわけ。だって…

鈴木寛:
だから国民っていう…の議論が成り立ったわけ、今までは。だけどね、例えば、足立五反野小学校の…

東:
いやだから、つまり堀江さんはね、ポスト近代に生きてるから。我々近代は終わったので。

猪瀬:
近代をやったわけよね。だって、植民地になっちゃ困るから、司馬遼太郎さんみたいな説明してるような物語が近代にあるわけでしょ?とりあえずは…

堀江:
ちょっとよく分かんないです、その司馬遼太郎さんちょっと置いといて下さい。

猪瀬:
要するにだって、近代っていうのがあって、国家っていうのを作らないと植民地にされそうだったわけでしょ、あの時日本が。

堀江:
それで?

猪瀬:
だから国家ってのを作ったら、そしたらその納税ってのがあるわけだから、ね? それで、それをフェアに公正に、

堀江:
いや僕が知りたいのは、要は、建前をみんなずーっと語って、近代ってのは建前なんですか。それは近代なんだ、とか…

猪瀬:
いや、非常に効率的だったってことでしょ、それが。

堀江:
要は、建前を語りながら、でも実際は違うよね、っていうのが効率的だったってことですか?

猪瀬:
いやそれは、今また大衆社会になってきたってこと。ポストモダンとかなってくると、少し変わってきたんで…

堀江:
ポストモダンになるとどう変わってきたんですか。

東:
だから、みんな社会の全体性が見えなくなってるってことですよ。

堀江:
よく分かんなくなってるってこと?

東:
そうです。だから一部しか皆分かんなくなってくる。で、その一部の断片性を調整することでしか社会を運営できなくなってくるわけですよ。で、あの…

堀江:
昔はじゃあ皆分かってた?

東:
いや、分かってたかどうかは関係ない、分かってたという前提でやってたと。

猪瀬:
三丁目の夕日の世界だったら何となく分かるじゃない。

堀江:
何となく分かってたんだ、昔は。

鈴木寛:
だから富国強兵で、経済大国だってそれが善だって…

東:
あと今僕ツイッターでね、さっきまで国語教育が大事だとか言ってたのに、今度大文字の公共圏がないとかって言うのはちょっとおかしいんじゃないかっていう質問があって、これ結構本質的な話だから一瞬だけ答えると、国語っていうのは道具だってのはそういうことなわけですよ。つまり皆が違うことに関心を持ってて、違う公共圏に生きてる、つまり一言で言うと、俺は普天間がすごい大事だとか、俺は宇宙開発がすごい大事だとか言う奴がいっぱいいるわけじゃないですか。

堀江:
そうですね。

東:
で、昔だと何となく皆全体的に、とりあえず何かこう、日本の国内ではこれが一番大事で、これは2番目で3番目かな、みたいなことを共有できた空気があったから、何とかなってた…

堀江:
昔は共有できてたんだ。

東:
できてたことにはなってた。

猪瀬:
だって三丁目の夕日の頃は皆同じ時にテレビ買ったんだから。分かりやすいんだよね。

堀江:
「ことには」ってことは、…じゃない?でも、どっちなんですか。それ、建前なの?それは本質なの?

東:
えっとね。堀江さんはさっきから建前か本質かみたいなことを分けようとしてるけど、みんなが信じてる建前は本質でしょ?

堀江:
いやそれは分かんないよ。

東:
だってみんなが信じてる建前なんだよ?

堀江:
みんなが信じてる建前は本質なんですか。

東:
そうですよ、もちろん。

堀江:
そういうものなんですか。

東:
だって実効的な機能を持つじゃん、だって。

鈴木寛:
国民と…幸せになる…

猪瀬:
いやそれはホリエモンさ、

東:
僕たちはみんなが建前信じてないから、建前ってのがなんかすごいダメなような感じがするけど、

猪瀬:
自分が思ってることを人が思ってるだろうみたいなことがあったわけ昔は。

堀江:
ああ、なるほどね。

東:
かなり…(笑)

猪瀬:
え?いや大雑把に言えばそういうことだ…

東:
いやそのとおり、そのとおりなんですけど。

猪瀬:
そういうことだよ。だが全然そうじゃなくなってきちゃったから言語技術が必要になってきた。

堀江:
じゃあ皆が要は、それは建前だったってことに気付き始めたってこと?

東:
そうですよ。

堀江:
そういうこと?

東:
そうですよ。

堀江:
そういうことでいいの?

東:
はい、そうですよ。

堀江:
なるほどなるほど。

東:
これは難しい言葉とかで言うと、それが再帰的近代とかポストモダンとか後期近代とかって言われてる問題なんです。皆が…

堀江:
そういう風に言うと、みんな分かんない。僕よく分かんないんです、そういう風に言われても。後期近代とか言われてもさっぱり何のことか分かんない。

猪瀬:
1億2000万…

東:
それはほら、堀江さんだったら投資の言葉とかはすごいいっぱい専門用語ご存じじゃないですか。

堀江:
うん。そうなんだけど、いや、見てる人は分かってないと思うわけ、僕は。

東:
もういいんですよ何だって。

猪瀬:
ちょっと待って。それでだから、大阪の万博に皆が7000万、6000万かな、行ったわけでしょ。てことは、みんな同じようなことを考えてたってことでしょ、それは。その辺までは大体近代なんじゃないの? だから。

吉田:
でも我々はこれ、皆大文字の市民なんじゃないですか?ここに集まってる…

猪瀬:
市民ってのが僕分かんないよ、何だい、あなた何とか市に住んでんの? 札幌市に住んでるとか…

吉田:
いや個人でも、言葉は何でもいいんですけども…

堀江:
分かんない人と分かる人がいるんだ、両方、結構。

吉田:
言葉は何でもいいんですけど、そういう議論がね、我々はしてるってことは、我々それは…

津田:
皆が信じるような建前っていうのは、また復活…

東:
いや、…かなり話食い違っているし、やっぱりその、

吉田:
いや、食い違っていいんですよ。

東:
政策を、イシューごとの関心みたいなものはやっぱ全然違うんだと思いますけどね。

猪瀬:
ただ、共有しようとしてるからここにいて、なるべくやっぱり一つひとつ認めながら展開してってるわけだから、それは。

東:
だからそういうその違う価値観を持ってる小さな公共がいっぱいあったときに、それをすり合わせていくときの最低限の条件として国語教育みたいな、つまりツールとしての言語能力ってのがこれから求められてくよね、って話ですよね。それはだから、皆が話通じてるから大きな公共が成立してるんじゃないですかってことには当然ならないし、そんなこと言ったら、ちゃんと皆でしゃべってる場があったらそれ自体が公共だってことになっちゃう。

猪瀬:
今ちょっとさ、吉田さんが市民って言うけど、そういう言葉なるべく使わない方が、

吉田:
言葉は何でもいいんです。

猪瀬:
何と言うかな、伝わりやすいというか。やっぱり外国の言葉だから、市民っていうのは。

堀江:
それで今議論してたことは、結局何なんですか?

東:
もともとの話? 小さな公共圏がどうの…

堀江:
そうそうそう。

東:
だから、結局つまり、宇宙開発にしか関心がない人が宇宙開発についての審議会入る、でもそれも公共でしょって考えるのか、それは単に宇宙開発オタクが宇宙開発の政策に文句付けてるだけだと考えるか、ってのは大きな違いなわけですよ。
で、その大きな違いによって制度設計って違ってくるはずで。例えばインターネットとかで、今まさに鈴寛さんがやってるような試みをやると、これがもし拡大してったとしたらね、政策ごとについて、その政策に詳しいオタクみたいな奴がわらわら寄ってきて、その政策を作り上げることになるはずなんですよ。

堀江:
うん、いいじゃん、それ。

東:
で、それをいいと考えるか悪いと考えるかです。

堀江:
あ、それはね、いいと考えるか…

東:
だから堀江さんは前提としてそれをいいと思ってるからさっきから話が食い違っていて、それを悪いと考える方がスタンダードです。何でかっていうと、そんなのだって、宇宙開発にしか関心がない奴が、適当にわらわら集まって自分たちの趣味を押しつけてるだけじゃんっていう…

堀江:
だってさ、今までもそうだったんじゃないの?

東:
だからそうなんですけど、そうじゃなくて堀江さんが今言ってるのは、結局今までも建前は公共とか言ってたけど本音はそうだったんだろう、みたいな話になっちゃってるんで、またちょっと議論が食い違っちゃってるんですよ。そうじゃなくて今必要なのは、その建前自体を変えちゃうってことなんですよね。

堀江:
でもさ、今まではだって、官僚が作ってたんじゃないの?

東:
だから官僚っていうのは、建前は。いいですか?

堀江:
はい。

東:
建前は、一応国家全体のことを考えて宇宙開発してたことになってたわけ。

堀江:
なるほどなるほど。

東:
でもこれからは建前がなくなるわけですよ。

堀江:
なるほど。

東:
建前があるのとないのとでは大きな違いですよね。

堀江:
そうすると?

東:
だから、そうした後の建前がない状態で、例えばさっきもう一回同じ話の繰り返しになりますけど、インターネット上で政策を皆で黒ペンで作るとなると、宇宙開発にしか関心がない奴がわらわらとユーザー登録して作ることになる。

堀江:
そりゃ当然そうだ。

東:
ね。こんなんでいいのか?って問題が起きるから、その話をしてたわけです。で、それに対して吉田さんとかはダメだ、って言った。まあすごい簡単に言うとね。

堀江:
で、そりゃダメだって吉田さんはダメだって言って…

吉田:
また。ダメだとは言ってない。

東:
すごい簡単に言うと、そういうのはやっぱり公共性とか市民とかっていうものの本義に反するのではないかというのが吉田さんの考え方で、今何か大雑把には、他の方々は何となくこう、別にいいんじゃない? それで、っていう感じになってるってこと…

吉田:
ソーシャルキャピタルもそうなんですけども、つまり何かと言うと他者への想像力なんですよ。つまり自分の利害関係がない人間に対してもどれだけ配慮できるか、これがうまくシステムが回る一つの前提になってるわけですよね。で、ごめんなさい、僕の理解が間違ってるのかもしれないですけど、そういう中にミニパブリックをボコボコッと作っていけばうまくいくんだ、っていうのは果たしてどうなんだろうというあれなんですよ。

東:
でも他者への想像力っていうのもかなり抽象的な言葉で、

吉田:
抽象的ですよ。

東:
でも結局じゃあ、宇宙開発にしか関心がない人が別に他者への想像力がないわけではなくて、ただ彼が能動的にアクティブに社会を変えたいと思うときがね、その宇宙開発の問題だっていうだけじゃないですか。

吉田:
でも、それについて意見を持てっていう場合が出てくる。例えば消費税にしたって、これは1億数千万の人間に関わることじゃないですか。

猪瀬:
いやそれはね、普天間なんかはやっぱり利害関係者だと、普天間の人と、名護の人と、徳之島の人とか、それだけで議論するとやっぱりまずいわけで。これは国益だから、それはやっぱり広い空間が必要になってきますよね。そこはちょっとやっぱり違うところもあるんだよ。

堀江:
さっきだから、でも僕ね、そうやって議論してたら、さっきの普天間の問題もそうだし、今日宝くじ(※)やってたじゃないですか。宝くじの問題とか僕全然問題意識持ったことなかったんですけど、あれ10何パーセント中抜きされてるわけじゃないですか。そりゃすげーやと思って、何か面白いなと思って見だして、ああこの中抜きは全部なくしたいよねという風に僕は思ったわけですよ。そしたらその議論には参加したいなと思うから、熟議がされてたら、それはある程度報道されることによって、結構みんな来るんじゃないですか?

(※この日、事業仕分けで宝くじが取り上げられた)

東:
僕はそれ、いいと思いますよ。

猪瀬:
だから、民主党の事業仕分けは突然やったりするから、ね。ちゃんとやってきてプロセスがあってそれをやると、ホリエモンもどっかで参加してたはずだよ。

堀江:
そうですよね。

猪瀬:
そういうこと。

東:
事業仕分けのときのツイッター上での議論とかポピュリズムだって言われてるけれども、あれは僕は結構いいと思っていて、やっぱりイシューごとに関心のある人がわらわら集まってきて、その場でとりあえず議論が沸騰し、それが政策に反映されるっていう形でしか…

猪瀬:
いやそうじゃなくてそれは、違うんです、言ってることは分かってんの。抜本的な見直しをするとか、廃止するとかってあそこで決めるでしょ。それだけじゃダメで、何月何日までにどうする、1000人いる人間を300人にする、あるいはじゃあこの運営方式を株式会社にするのか、どういう形にするのかっていうところまで提起しないと、多分あの日、今日何か決めたっていうのも本当に決まってるかどうか分かんない…

津田:
まあ、強制力もないですからね。

猪瀬:
うん、だから分からない。だから、ああいう1時間の、一つひとつのね、テーマでショーをやっててもダメなんで、つまり例えば道路公団だったら株式会社にしましたと。で、職員はクビにしませんでした。で、経営効率上がりましたっていう、例えばそういう具体的に何を。この間羽田空港の駐車場がね、国交省が天下りでやってんだけど、それをじゃあ抜本的見直し、とか言ってたら分かんないわけ。それをじゃあどれだけ全部移すのかとか、何人雇用減らすのかとか、具体的なところまでやっていくには、今言ったように、熟議みたいなもっとプロセスをずっと辿らないと、結論を出す…

堀江:
仕分けとかも熟議でやりゃいいじゃないですか。

猪瀬:
だから、突然やるから、プロセスがないからホリエモンが参加する場所なかったんで。

堀江:
そうそうそう。

猪瀬:
でもホリエモンがもしそこで参加したら、例えば1000人の国系の役所ってか事業だったら、それをじゃあいくらに減らしてくのかっていう計算まで全部手伝って、そして最後にあなたはあと何年、退職したら新しい人採りませんよとか、そうやって減らしてくプロレスもね、全部見せないと、やったことにならない。

堀江:
そうですよね。でもそれは、そういうの何でやらないんですか。

猪瀬:
だから、やんねえんだよ。ダメなんだ。

鈴木寛:
いやまさに、だからまさにね、仕分けとあれを一日で終えちゃダメなんですよ。

堀江:
そうですよね。

鈴木寛:
だから文部科学省はどうしたかっていうと、仕分けの次の日に、仕分けに対するパブリックコメントを文部科学省のサイドに求めたわけ。そしたら15万通来た。

東:
そんなに来たんだ。

鈴木寛:
うん、15万通来た。だからこれは少なくともインタラクティブになってるよね。

堀江:
15万通さばくの大変じゃないですか。

鈴木寛:
いや大変なんですよ、だから熟議ってのはそれぐらいエネルギーがいるわけ。

東:
でもそういうとこでこそ何かこう、テクノロジーとか、検索パワーみたいなものが…

猪瀬:
具体的な着地点を見せていかないとですね…

堀江:
あ、僕すいません、あんまりよく知らないんですけど、パブリックコメントっていつからやってるんですか、あれ。

猪瀬:
もう10年くらい前からやってる…

津田:
2003年ぐらいじゃなかった。

堀江:
あれ誰が始めたんですか。何であんな…

猪瀬:
アメリカの真似したんだよ。

堀江:
何で真似することになったんですか。

猪瀬:
アメリカも意見言いたいから。だから、パブリックコメントにアメリカ合衆国って意見もある。

堀江:
あ、アメリカが言いたかったんだ。あーそうなんだ、アメリカも意見言いたいからアメリカの…になったんですか。

猪瀬:
アメリカも一人の個人と同じように「アメリカ合衆国」って入れたりする。

津田:
行政改革の一環ですよね、一応ね。

猪瀬:
そうそう。つまり、それは官僚をどうやって、要するに今言ったいろんな人の意見をどうやって入れてくかっていう。

堀江:
橋本さんとかの時代にやったんですか。

吉田:
2003年は小泉(元首相)のときだよ。

堀江:
小泉さんのときにやったんだ。

猪瀬:
僕も書いたことあるよ、自分で。

吉田:
仕分けって民主党の政策の中で7割ぐらいの人が賛成してるまあ唯一成功した政策なんでしょうけど、でもここで今議論されてるようなことが認識されてるから皆支持してるとは到底思えない。

東:
いやいやだから、そのこと自体を、こう…

吉田:
いや、つまりでもそれは民主党のね、やろうとしてるその意図が間違って、ミスコミュニケートされて伝わってるんですよ。それは十分に伝わってない…

猪瀬:
それは稚拙なんだよ、単に。だからちゃんとやればいいのよ。やってること自体は悪くないんですよ、だから。

吉田:
政策としてうまくいってないってことですよ、それは。

堀江:
なんか、パブコメで政策が変わったことあるのかなんて…

鈴木寛:
例えばスパコンは…

堀江:
スパコンはそうなの?

東:
あと…いや、そんなことよりもテープの限界が来たから、物理的に休憩に入らなければいけないようです。

鈴木寛:
スパコンは廃止が出たんだけども、

堀江:
パブコメで変わったんだ。そうなんだ。

東:
では一瞬、5分ほど休憩に入らせていただきます。テープの限界が来ました。はい。

津田:
一旦CMだ。

鈴木寛:
それで…なんだ。

堀江:
へー、そうなんだ。

東:
はい、休憩でー。

鈴木寛:
今までスタンドアローン(コンピュータを他のコンピュータと接続せずに利用する形態)だった。

堀江:
ああ、要はだからベクター型だったのがスカラー型になったってことでしょ?

※ベクター型:ベクトル型プロセッサを搭載し、大量の配列処理を得意とするスパコン
※スカラー型:一般的な構造のマイクロプロセッサを大量に搭載したスパコン

鈴木寛:
そう、スカラー型だった。

堀江:
え、ベクター型じゃないですか。

鈴木寛:
ベクター型でスカラー型のプランニングになってて、それが仕分けでダメだった。

堀江:
そうそうそう。

鈴木寛:
それで…

(休憩、動画一旦カット)

東:
はい、休憩から復活しました。議論は様々な形で沸騰しているというか拡散しているわけですが、話の最初のところに戻すと、ここまでずっと政策をどうやってネットで作るかというみたいな話をしていたわけですが、もともとの今回の議論の出発点は、ネットによって代議制、選挙がどう変わるか、変えることが可能なのか、みたいな話だったんですね。それで、鈴木健さんにプレゼンテーションの後半というものを作っていただいているので、それを取りあえず見ていただいて、また少し議論をしていただきたいと思います。

鈴木健:
たぶん、今日の話はあまり政局の話をしてもしょうがないと思うんですよね。今日の趣旨としては、やっぱり十年後、二十年後とか。せっかくインターネットという技術があって、何百年ぶりかぐらいに画期的に革命的に社会システムが変わる可能性がある。それで、どういう可能性があるのかを追求するんであって。今、例えば民主党がどうなのかっていうのは、まあ、ほかの討論番組に任せておけばいいと思うんですよ。
僕が今日、ちょっと話したいのは…ちょっと出してほしいんですけど、プレゼンの資料を…。えっと、そういう技術っていうのがたくさん出始めていると、ネットの世界で。で、いくつか紹介して、自分のも紹介したいんですけど。
一つは、Shuugi.inというサイトで、これは要するに予測市場という方法を使って、選挙の結果を予測するっていう、そういうマーケットなんですね。つまり、民主党が何議席取るのか自民党が何議席取るのかとか、どの選挙区で誰が勝つのかというものをみんなが賭けるわけですね。それで、取引をする。その取引の結果っていうのが、集合知になって、実際に選挙の結果が当たるという予測方法なんですけども。

Shuugi.in
http://shuugi.in/

猪瀬:
賭け率みたいなやつ?

鈴木健:
賭け率とは違うんですけど、(銘柄の)価格で買ったり売ったりするんですね。

猪瀬:
排出量取引みたいな?

鈴木健:
まあ、そんな感じですね。で、実際にアメリカでは、前回オバマが当選した大統領選挙では、CNNとか見ると、普通のアンケート調査と同じようなプレゼンス(存在感)を持った選挙予測方法になってるんですね。
で、こういう方法とか、それから、東大の松尾豊先生がホットリンクという会社と一緒にやっている「クチコミ@総選挙」ってやつなんですけれども。これは、ブログの中の情報からクチコミ情報をデータマイニングで抽出して、選挙が始まる前から予測するんですわけですよ。どこの選挙区で何議席取れるか。これも朝日新聞とか読売新聞とかと同じくらいの精度で、実際に当たってます。
こういう風な抽出技術っていうのは、無意識の抽出ですよね。っていうのが、もうできるようになっている、と。
で、こういうものを受けて、その発展上で選挙のシステムを変えられないかと僕はずっと考えていて、そうして作ったのが、これから紹介するやつです。

これは、新しい民主主義を作ろうという新しい投票システムの提案です。ちょうど去年の4月に、facebook(フェイスブック)っていう、そのとき2億人のユーザーがいたソーシャルネットワークサービスがあるんですけれども、そこの2億人で実際に投票するという事件が起きたんですね。イベントがあったんです。これは要するにfacebookの利用規約をみんなで決めましょう、と。今は、facebook5億人いるんですけれども。

「クチコミ@総選挙」
http://senkyo.kakaricho.jp/

猪瀬:
2億人って?

鈴木健:
2億人のユーザーが一つのサービスに登録してるってことです。

津田:
アメリカだけじゃなくて全世界で。

鈴木健:
全世界です。

猪瀬:
英語で…

鈴木健:
日本人も百万人います。で、そのときにfacebookが2億人のうち6000万人、つまり30%を有効投票数としたんですね。実際に1週間の投票期間に投票した人というのは、わずか66万人、つまり0.3%だったわけです。
で、これは1000人のうち3人しか投票しなかったわけですね。これはどういうこと意味しているかというと、一つは2億人、3億人でネットで直接投票するなんてことは今現実に起きていて、10億人規模で投票するなんていうのは、もう時間の問題であると。
もう一つは、参加者の無知と無関心っていう、そもそも直接民主制に内在する問題によって、早くもネット直接民主制というのは挫折しているわけです、去年の4月の段階で。
そこであきらめるんじゃなくて、「じゃあ間接民主制に戻しましょう」じゃなくて、「新しい民主主義を発明しましょう」というのが、僕の提案なわです。
具体的には、現在の近代民主主義の問題っていうのは、直接民主制か間接民主制か、硬直した二つの制度しかないわけです。簡単に言えば、ギリシャかローマか。さっきの話ですよね。この二つしかないわけです。結局、有権者が代議士を選んで政策を決めるってなってるんだけれども、間には政党が入り、政党と有権者の間には利益団体が入り。でもしょうがないですよね、あまりにも二つとか三つとかの政党ではカバーしきれないから、そういう中間団体が入ってくるわけです。
で、ひとりひとりの思いが意志決定の結果に反映されないという、歴史的に政治システム自体が制度疲労を起こしているということなんですよ。これを、多層委任を認めて、ダイナミックに、誰が何に委任しているかのすべてを透明化する伝播委任投票システムを作ってしまおうということです。具体的には、(参考画像を指して)右側にあるような硬直化した有権者、利益団体、政党、代議員、政策っていうような投票システム、もしくは委任システムではなくて、ネットワーク型の委任システムを作ろうと。
で、ツイッターのようなゆるい片方向のリンクで委任をして、一つの票を分割して、例えばこの人は0.2票、この人は0.8票という風に投票できると。矛盾した政策に投票してもいいよ、と。で、いつでも投票を切りかえられるダイナミックさがあって、しかも委任が伝播する。だから、今は、例えば500人しか国会議員はいないんだけど、「オレは3万票突然委任されちゃったから政治家になる」ってことができるわけですよね。
だから、逆に言えば「世の中に10万人政治家がいる」みたいな世界になるわけですよ、委任されるわけだから。で、このシステムというのは、1人の人に全部の票が委任されちゃったら独裁制だし、後は、政策に直接投票すれば直接民主制まで含む、まあ、ありとあらゆる民主制度を含むわけです。これによって、利益団体とか政党というような中間団体を仮想化してしまおうということを考えているわけです。

具体的にはどういうものかというと、これがデモなんですけど、例えば、この人はいろんな人から委任されてるわけです。委任のパーセンテージというのはこうやって書いてあるんですね、委任の票数が。こういう風な分布になっているわけです。で、(図の)下側ではプランAに95票、プランBに4票という風になってるんですね。これが階層構造というかネットワーク構造になっている。それで、1票を分割して投票できる。
どういう風にこれを決めるかというと、ある瞬間にAという票が例えば50%を超えたら、そしてそれが3日間維持されたら、それは議決されたものと見なそうという風に、リアルタイムに議決することができるわけです。で、この人はいろんな人から委任されていて、今、6.49票が委任されているわけです。6.49票分の代議士なわけですね。そして、その票をほかの人に再委任しているわけです。ということがリアルタイムで切りかえられるような投票システムなわけです。
これをどうやって計算しているかというと、1人1票持っていて、それがこの人には何%、この人には何%というように委任しているネットワークがありますね、それに従って票をこうやってどんどん流し込んでいくわけです、水を流すように。それを繰り返していくと最終的にABC3つのプランに落ちていくんです。それを最終的な議決とする仕組みなんです。いつでもこの票の委任を切りかえることができるし、政策に対して直接投票することもできるわけです。
で、こういう風な投票システムを考えたわけですが、結局、一つはfacebookのようなSNSとかコミュニティーサイトとかの意志決定に使われることを最初は考えたんですけれども、自治会のような地域コミュニティーとか企業や組織の中でも使えるし、まあ、実際には国政でもおそらく使えるだろうと思っています。

で、この発展上に何があるかというと、主権のアドホック化(※限定目的の、暫定的な)ということなんですけど、今の近代国家、近代民主主義の問題というのは、国を超えたイシュー(論点、問題)に対して自分たちの意志決定が反映されないわけですよ。
結局、例えばどの正当化を選ぶかしたら、外務大臣とかが選ばれて、その人が代行するしかないわけですよね。でも、例えばアメリカの大統領というのは、世界中の人々の生活にものすごく影響を与えるわけです。僕なんか、アメリカの大統領選挙で投票したいですよ、ほんとに。アメリカ人じゃないけど。えっと、外山恒一、この人はアメリカの大統領選挙に立候補したんですね、この前の大統領選挙のときに、オバマが勝った。

堀江:
ああー、あの人だよね。あの変な人。

鈴木健:
そう。YouTubeで…

堀江:
YouTubeでおなじみの彼ですよね。

鈴木健:
そうそう。で、これはニコニコ動画からキャプチャー取ったんだけど…

堀江:
都知事選かなんかにも出た…

鈴木健:
出た出た。でもその前に、アメリカの大統領選挙に立候補したんですよ。で、これは東さんから教えてもらったんだけど、ある種の真実を含んでいて、要するに「なんで自分たちはアメリカの意志決定に参加できないのか」っていう問題があるわけですよ。逆にアメリカ人が参加してもいいわけですよ、まあ、最近の民主党の外国人参政権の問題もあるけれども。で、これは本質的で、だってアメリカの大統領が誰になるかによって僕らの生活って本当に変わるんですよ。

堀江:
なんか、外山恒一に昔会ったことがあるらしいんすよ、15年くらい前。「この人だよ」って言われて。

鈴木健:
で、この考え方を徹底すると、主権のアドホック化っていう風になるわけですよ。例えば、利益関係って濃度があって、一つの川があったときにその川って複数の国をまたがっているわけですよね、それを例えば、5個の国と26個の県で調整をするとかじゃなくて、それに関係する人たちがバーチャルに議会を作って、その場で投票して決めればいいわけですよ、熟議して。そういうようなことができるような投票システムです。

猪瀬:
国連みたいな話か、これは。

鈴木健:
いや、国連はグローバルなイシューしか考えないけれども、ものすごくローカルなイシューができるようなプラットフォームを作るんですよ。ある小さなエリアでもいいわけです。それはスケーラブル(※拡大縮小可能なということ)に、大きな問題から小さな問題まで話せばいいわけです。
で、実際にこれを使うと1票を分割するときに、このテーマ、イシューに関しては、例えば「オレは宇宙問題が大好きだから0.8票使うよ。教育問題はその次だから0.1票、福祉は0.1票くらいかな、後は全然興味ない」という人もいるだろうし、その0.8票を「僕の友達にすごく詳しい人がいるから委任するよ」という人もいるだろうし、例えば「福祉に関しては、オレ、誰よりも詳しいと思っているから、委任されよう」とか。

猪瀬:
国家間の壁ってそんなに簡単に越えられるもんじゃないよ。納税の問題もあるし。

鈴木健:
そうですね。そんなに簡単じゃないですよ。

猪瀬:
防衛の問題もあるし。

鈴木健:
もちろんそうです。で…

猪瀬:
あんまり軽々しく、そんなに簡単に言ってほしくないよ。面白いっていう意味ではいいけれども、そのへんの整理はどうなってるのかよく分からないし、政策の熟成度とか、あるいは理解度がどれくらいあるかっていうことがよく分からないし。

堀江:
いや、だって理解度って、分からなかったら人に任せちゃうっていうシステムなんじゃないの…

鈴木健:
そうです。分からないから人に任せるわけですよ。

堀江:
分からなくても人に任せられるシステムってことなんですよ。で、自分でやりたい人は自分でやればいいんですよね。自分でプロパガンダして「オレに票くれよ」って言えばくれるんですよね。

猪瀬:
だって、これ、拘束力がどれくらいあるのかも分からないし…

堀江:
えっ、拘束力ってなんですか。

猪瀬:
政策で決まったら、それ、税金を10%、20%にしますっていうような拘束力があるわけだから。

堀江:
そうですよ。それじゃなんかまずいんですか。

猪瀬:
え?

堀江:
いや、僕はこれ、結構面白い仕組みだなって思ったんですよ、この間聞いたときに。

猪瀬:
だってなんでよその国の人がわが国の納税を決められるの。

鈴木健:
だからそもそも…

猪瀬:
面白いということではいいんだけれども、アメリカの大統領まで出てきちゃうと、ちょっと違うなって…

鈴木健:
いいですか。軍事の問題とかね、税金の問題というのは非常に難しいんですけれども、例えば地方と国の問題でも同じじゃないですか。地方でどれだけ配分するのか、国の…

猪瀬:
じゃあ、分かったよ、アメリカの大統領の話の前で止まってくれれば、もうちょっと話になるけど、なんでアメリカの大統領がここに出てくる必要があるのか分からないだけよ。

鈴木健:
まあ、必要性は僕の中ではあるんですけども、ちょっと先に進めますね。

猪瀬:
うん。まあいいや。

鈴木健:
で、さらに…

猪瀬:
しぼって言った方がいいと思うんだよね。

鈴木健:
えっと。さらに、さまざまな、お金とか投票とか、所有という概念とかも、おそらく情報論的に融合されていくだろうというのが僕の意見で。お金で票が買えても、ある意味いいわけですよね。で、そういうものがフレキシブルになってくる世界が来るんじゃないかというのを考えていて、そうするとそのためには政策テーマごとの、例えば基礎票というのを自動化してあげるというのは必要なわけです。
おそらく、さっきのfacebookの話もあったんだけれども、すべてのイシューに、誰にどのイシューを委任するのかを決めるのは不可能なわけですよ。だから、誰にどれをどれくらい委任するかをある程度自動的に決めないといけない。そういう無意識の抽出みたいなものが必要なわけです。
さらに言えば、これはちょっとSFに聞こえるかもしれないけど、例えば、ツイッターのつぶやきっていうのがある種の直接民主主義的な意志を反映しているのであれば、例えば、胃にセンサーをつけてそのセンサーの情報から取ってきたものだって一種の集合知なんじゃないかと思うわけですよ。もしかしたら、戦争するかどうか決めるのは、脳に決めさせるよりも胃に決めさせる方がいいかもしれないんですよ。
で、そういう風な集合的無意識の民主主義みたいなものが、おそらくできるんじゃないかと思ってます。
根本的には、個人主義ってものが近代の基礎になっているわけです。で、僕にとっての必然性を話すと、近代の民主主義というものは、個人というものと国家というものがカップルとして成立しているわけですね。つまり、国家の構成員は個人であり、そこに厳格なメンバーシップがあると。逆に、個人は国家に対して奉仕をしなければならないという義務の関係があるということは、きれいな関係で包含関係になっていて、基本的には「多重国籍とかよくないよね」とかいう風な関係になっているわけです。

猪瀬:
日本はほとんど義務ないけどね。

鈴木健:
いや、そんなことはないですよ。

猪瀬:
例えばどんな義務があるの?

鈴木健:
それは、教育の義務もあるし、憲法が改正されれば僕らは兵隊として行かなきゃいけないわけです。

猪瀬:
だから、してないじゃん今は。

鈴木健:
いや、でもそれはいつ起こるか分からないです。

猪瀬:
義務はないんだよ、ほとんど。

堀江:
でも、それはいつ起こるか分からない。

鈴木健:
納税の義務はありますよ、それは。いつ起こるか分からないですよ。

堀江:
そうそう。

猪瀬:
納税の義務があるっていうのはそれは…

鈴木健:
例えば、30年以内に起きてもおかしくないと僕は思いますよ。

猪瀬:
だから、利害の関係がはっきりしない話、あまりに抽象的に飛んじゃうと分かりにくくなるんだけど。

鈴木健:
まあ、今日は抽象的な話をする場所なんで。
で、つまり…

堀江:
でもまあ、そういう場所ですよ。

鈴木健:
そういう場所ですから。で、矛盾を認めない、過度の人格の一貫性を求めるような社会制度というのがあると、人間の持っている多様性が失われると思うわけです。つまり、矛盾を認めるような民主主義を考えないといけない。1人の人間というのは、確かに論理的に話す能力も必要だけれども、悩みますよね。「Aかもしれない、Bかもしれない」って悩みます。で、悩んだんだけれども、社会制度というものがガチッとあると、悩んだ方、片方に寄せていくわけですよ。ところが、寄せてしまった意見というものが本当に正しいかというと、実はなんかみんな「どこかおかしいな」と思っているっていうことがよくあるわけです。で、そういうものが鬱屈してしまうんだけれども、そうじゃなくて、みんなが持っている意見をそのまま出すという意味では、人間に一貫性を求めすぎてはいけないと思うんですね。
そこで考えたのが、ディビジュアル・デモクラシー(Dividual Democracy)という風に僕は呼んでるんですけど、要するに今まではインディビジュアル(individual)、つまり個人の民主主義だった。そうじゃなくて、個人というのはそもそも語源的にはインディビジュアルというのは、inとdividualを合体したものなんです。inというのは否定の接頭詞で、dividualは「分割できる」という意味です。つまり、「分割できないもの」ということで個人なわけなんですね。
でも、そうじゃなくて、人間ってやっぱり分割できるだろうと。で、分人(ぶんじん)という考え方になるわけです。これは、ドゥルーズ(Gilles Deleuze:フランスの哲学者)って人がエッセイで書いている話なんですけども。人間というのはそもそも分割できるものだと、特に1個の国家に所属しているとかじゃなくて、1個の一貫性を持った人格を持っているんじゃなくて矛盾した存在であると、人間は。1人の人間の中にたくさんの人間がいると。そういう存在であると認めてあげるのも民主主義。つまり、個人が分割可能だという個人の矛盾を認める視点から民主主義を考えないといけない。だから、矛盾したものに投票もするし、意見を後で切りかえてもいい。そういう風な民主主義の投票システムというものがあり得るんじゃないかと。
もちろん、これが、例えば1年後とか5年後とか10年後に、ものすごく現実的に国政に影響を与えるとは、僕はまったく思ってはいないんだけれども、今日はインターネットってものが、この社会システムとか政治システムとかを変える可能性はどれだけあるのかということを議論する場所だから、こういう風なアイデアを披露したわけです。

堀江:
でも、これ、なんかいいじゃないですか。

鈴木健:
いいですか? ありがとうございます。

猪瀬:
どこが?

堀江:
えっ? どこが?

猪瀬:
だから、根拠をもっと説明して。ホリエモンがどのように受け取ったのか、知りたいね。

堀江:
だって、今までの矛盾を全部解決できません?

猪瀬:
どういう風な矛盾を。

堀江:
だって、今まで言ってたじゃないですか。吉田さんとか。

猪瀬:
何を。

堀江:
興味がないことに対しても、人に委任することでそれは解決できるし、自分が興味のあることは主体的に参加できますよね。

東:
いや、僕の個人的な意見。司会の役割を放棄してしゃべると、鈴木健さんの言っていることっていうのは、半分はいいけど半分はダメですよ。

堀江:
なんでダメなの?

東:
だって、個人の主体性ってものを完全に分解すると意味ないもん。だって、個人が個人であることを決めているのは主体性とか抽象的なものじゃなくて、1個の身体を持っているからですよ。つまり、この間、例えば堀江さんが約束したことを翌日「いや、昨日のオレと今日のオレは違うからさ」みたいなことを言われたら、僕たちはすべてのことができなくなりますよ。

堀江:
なんでできなくなるの?

東:
できなくなるでしょ。だって、約束をもちろんしなくなるし、真実っていう概念もなくなっちゃうからね。

堀江:
でもそれは、約束を守る場合もあるし、守らない場合もあるのが普通じゃないの?

東:
いや、だから、その方向で行くんだとしたら、社会とか作らないということしかないですよね。個人というユニットを捨てることはできないと思います。

堀江:
そういう抽象的な議論じゃなくて、面白いし、さっき僕が言った「今までできなかったことができるためのシステム」であることは間違いないんじゃないの?

鈴木寛:
これ、分けるんじゃなくて、一つの身体が三つとか四つとか持つという風に発展させればいいんじゃないの? なぜ、そういうことを言うかというと、熟議をやるときのサポートのツールとしては使えると思う。だから、例えば、市民病院でつぶれそうなところで、看護師さんの給料を下げてお医者さんを引っ張ってきたみたいなときに、僕はその看護師さんに「なんであなたはそれに賛成したのか」と、その組合の委員長に聞いたの。そしたら「私は看護師なんだけど、うちの甥っ子は先週交通事故でここに運ばれたし、私の父はここに長期入院してますから患者の家族でもあるし、自分も将来患者になるかもしれない」と。だから、すべての人というのは、例えば、ユーザーであり、サプライヤーの家族であり、納税者であり、みたいなものを持っていて、そこの中で、現場から離れれば離れるほどある人格というものが強調されちゃうという話になっちゃうんだけど。例えば、ユーザー団体みたいなものになっちゃうとね。だけど、人間というのはむしろそういう複合的な要素の…

猪瀬:
それはよく分かるよ。

鈴木寛:
で、そういうところの、熟議をサポートするというところで…

東:
それはまったくそうで。ただ、結局、無意識の不定形の欲望を拾い上げるってことと熟議に生かすってことはまた全然別で、分けた方がいい。鈴木(健)さんの話だとそれがごっちゃになっていて、熟議をサポートする委任のシステムが、ずっとそのまま無意識の集合知をいかに拾い上げるかというものにスライドしている感じがするんですよね。

堀江:
そしたらなんかまずいの?

東:
まずいですね。

堀江:
なんでまずいんですか?

東:
なんでかというと、人間は集合生物じゃないからですよ。僕たちは単に個体として生き、死ぬときは個体として死んでるわけだから。

堀江:
でもさぁ、自分の中にはいろんなものがあるんじゃないの?

東:
そうなんだけど、そうだったら群体の生物かなんかになればいいのであって…

猪瀬:
それはだってさぁ、それは当たり前のことだから、それは。

東:
僕たちは群体の生物じゃないから。

堀江:
全然群体の生物でもいいんじゃないの?

東:
だから、それだったら人類とは別の世界とかに行けばいいのであって。それはそれでいいと思いますけど、取りあえず人類は群体じゃないから。

猪瀬:
堀江さん、なんか抑圧されたの、なんか。

堀江:
なんで、なんで?

猪瀬:
なんで、そんな風に言うわけ? 

堀江:
えっ、どうしてですか。

猪瀬:
あんたは1個しかないよ、そんなものは。

堀江:
いや、1個の中にいろんなものが…

猪瀬:
考え方がいっぱいあるっていうだけであって、いろんな理解を持っているだけで…

堀江:
だから、それを分解すると…

猪瀬:
分解するって言ったって、それは個人は個人で…

堀江:
いや、でも票別に分解するのはいいんじゃないの? さっきみたいな意見は。何を否定してるんですか?

東:
すごい簡単ですよ。つまり、集団として人々が何を欲望しているのかという無意識を拾い上げるときには、例えば堀江さんの中の半分くらいがAという意見で、3分の1くらいはBという意見で、残り6分の1がCとかっていうようなことでもいいと思いますよ。それを集計することによってある種の全体が分かるから。けれども、1人の堀江さんという人間を相手にするときに、1回1人にするということでやって…

猪瀬:
1回、決算してもらわないと困るよ。

東:
そう、決算…

鈴木健:
ちょ、ちょっと言いたいんですけど。僕が今ここで話したのは、投票システムとしてそういう風な民主主義の投票システムを作ったらどうだという話であって、日常生活のありとあらゆるところで個人性をまったく抹消するとは一言も言ってませんよ。すべての社会生活のすべての約束を守るかどうかもすべて個人性を抹消するなんて、一言も言ってませんよ。

堀江:
なんで、個人性とかの話が出てくるのか全然分かいんですけど。

濱野:
逆に質問したいんですけど、というかネット上でひろゆきさんが実は質問してるんですが、1人100票持って100人の人、それぞれ専門を持っている人に投票するっていうのは何が違うのかっていう。

鈴木健:
それは単にケタが違うだけで、別100票でも1000票でもいいわけです。それが小数点になると無限に見えてくるんだけど、実際にはどこかで切らなきゃいけないから。

濱野:
伝播することの意味はどこにありますか? さっき堀江さんも言ったように自分が専門じゃないものを、逆にその人に任せるってことができるっていうのはポイントになっているのは分かるんですけど。

鈴木健:
要するに、伝播する意味っていうのは、例えば、僕は宇宙について詳しくないんだけど堀江さんはちょっと詳しそうだなと思って委任するってことがあるわけです。でも、堀江さんも本当の宇宙の専門家じゃないわけで、そうしたら…

堀江:
いや、専門家だよ。

鈴木健:
いや、そうだけど、実際に指を動かしてロケット作って飛ばすところまではやってないじゃないですか。

堀江:
いや、やってるよ。

鈴木健:
やってる?

堀江:
やってるよ。なんでさ、なんでやってないと思われてるわけ、オレって。作ってんだよ。

吉田:
まあ、まあ。

鈴木健:
もうしわけない。じゃあ、やってるとしましょう。例が悪かっただけで。

堀江:
ちょ、ちょっと待ってよ…

鈴木健:
じゃあ、堀江さんがもっと宇宙のことに詳しいと思っている人がいるわけですよね。その人に対してさらに委任すれば、さらに精度が高まるわけですよ。で、例えば、堀江さんはやっていると、じゃあ、堀江さんが尊敬している宇宙研究者がいるわけですよね、その人に50票委任して…

東:
ただね、鈴木健さん、すごくまじめに言うと、どうせまた堀江さんとかに専門用語とか使っても分からないって言われることを前提にしゃべりますけど、基本的に功利主義とカント主義で全然違って、つまり、快楽、全体として快をどれだけ増大するかっていったら、例えば、すごい簡単な話、これは一番有名なパラドックスなんだけど、人間の目って二つあるわけですよ。で、もし完全に、まったく移植の失敗がない状態で網膜を移植できる技術が僕たちの世界で開発されたとしたら…

堀江:
網膜は移植できるんじゃないの?

東:
いやいや、だから、そうじゃなくて。まあ、とにかく混ぜっ返さないで。

(笑い)

東:
で、眼球を移植できる技術が、

猪瀬:
網膜は移植できないよ。

東:
だから、眼球でもなんでもいいんですよ、もう。つまり、目が二つある人間が1個1個目玉を分けたら2人が片目ずつ見えるようになるじゃないですか。っていう技術が仮に開発された場合、人類全体として一番得なのは、抽選かなんかして全盲の人に対して片目ずつあげることなんですよね。これは明らかなんですよ。人類全体の利得の増大っていう意味では。でも、僕たちはそれをやらないですよね。なんでやらないのか。なんでやらないのかということを考えなくちゃいけなくて。なんでやらないのかというと、さっきの人間は個体だからということと関係しているんだけど、つまり、それぞれの人間を単独で主体として扱ってて、主体と主体をまたがる功利っていうものを比較することはできないという前提で僕たちの社会は動いているんです。

堀江:
でもそれって物理的なものだからじゃ…

東:
これは物理的なものじゃなくて、人間の倫理の原則として集団の功利をどう高めるかっていうことと、それぞれの個体の決定権をどう与えるかってことは、全然別の原理なんですね。基本的には人間社会は、例えば、堀江さんを殺して鈴木健さんに財産をすべて与えた方がこの人類全体にとってよかったとしても堀江さんを殺すことは我々はしないわけですよ。なんでなのか? それは人類全体にとっての得とかなんとかっていうよりも、堀江さんのものは堀江さんのものだと、例えば、絶対に堀江さんの財産を多くの人たちに分け与えた方が得だとしても、我々はそこには手を出さない。そういうルールで我々は動いているわけですよね。だから、結局、その、なんていえばいいかな。…分かっていただけますか?

濱野:
もっと簡単に言うと、鈴木(健)さんの話だと、なんかその専門家は詳しそうだからちょっと頼もうかなってときに、そんなライトな頼み方でいいのかとか、そういう問題なんじゃないですか。もっと、全人格的に信頼したときに普通は人に何かを任せたりするものであって、そこでいろいろ分かれちゃったりなんかすると、そもそもそれってなんか大丈夫なの?っていう不安感が今、鈴木(健)さんにぶつけられているのかな、という気がしたんですけど。

東:
だから、鈴木(健)さんが言ってるのは、みんな目玉を交換した方がいいんじゃないの、っていう話に最終的につながるんですよね。

堀江:
それって、言い過ぎなんじゃない?

東:
これは原理の問題だから。

吉田:
権力を、こう、なるべく流転しましょうということなんじゃないですか。僕は聞けば聞くほど、今の民主主義っていうか、民主主義の原則と何が違うんだろうという風に思ったんですけど。つまり、なるべく権力、まあアドホックな主権という風に言いましたけど、なるべく主権の居場所を散らしてそれを回す、いろんな人に回すようにして、それで社会全体の均衡を取りましょうと。

堀江:
なんで。そんなめんどくさいこと考えなくてもいいんじゃないの?

鈴木健:
今言ったことがまさにそうで、ダイナミクス(力学・力関係)なんですよ、要するに権力って固定化しちゃうからその固定化を崩すためには、例えば、鈴寛さんとかもいろいろ頑張っていると思うんですけど、崩すためにいろんな知恵を働かせなきゃいけないんだけど、そんなことしなくても制度自体を決められる制度、メタ制度というものがあってそこにちゃんとみんなが投票とかで決められれば、いろんな制度にフレキシブルに変えられるわけですよ。

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