【全文書き起こし】シンガポール・ベトナム進出を考えているベンチャー企業向け海外進出セミナー③

斉藤氏:あとは、いくつかおすすめの団体がありまして、1番上のSITFというところについては、DeNAさんも入られているシンガポールのIT系の団体のようなものです。こちらに入られることで、ある程度情報が取れるという風に聞いています。2番目のところは、シンガポールから日本に留学された方の団体でして、こちらの元会長の方と我々は仲良くさせて頂いているんですけれども、非常に日本語も喋れますし、日本に何か恩返しをみたいな方が多いので、かなり力を貸してくれた方が多いです。あとは一番下が、ローカル企業がかなりの数属している商工会議所でして、こちらも比較的力を貸してくれるような形なので一度行かれても良いのかなとは思っています。


ベンチャーキャピタルについてなんですけれども、もしシンガポールとかその付近で資金調達を考えられる方については、我々の方に言って頂ければ、大体30から40ぐらいのVCはアポイントが取れますので、言って頂いて、興味あるVCさんと日程調整をさせて頂いてお会い頂くというのが効率的かなという風に思っています。一例としておすすめのベンチャーキャピタルは、インフォコムというところがありまして、政府系のVCなんですけれども、シンガポールに進出あるいは進出しようとしている会社を対象に、例えば日本のジャフコさんとかグロービスさんなんかと共同で出資をして支援をするというようなVCでして、結構金額もそれなりに出せるというところと、あとはある程度無料でコンサルもしてくれるので、そういう意味だと知っておいて損は無いVCかなという風に思います。では、続いて実際EverConnectの篠原さんにVCを回られた時のお話をして頂こうと思います。

篠原氏:皆さん、こんばんは。EverConnectの篠原です。私の会社自体は東京ベースの会社なんですけれども、シンガポールで色々とご縁ができまして、シンガポールへの進出、移転、それからそこでの資金調達というのを、一緒にトーマツさんからご支援頂きながら活動しているものですから、ちょっと参考になればということで、今日は皆さんに情報をシェアしたいと思います。

まず、そもそも僕達が「なんでシンガポールなの? 」というところなんですけど、僕達はもちろんネットのサービス会社で、僕らのターゲットマーケットというと世界なんですね。一番最初にどこを目指したかというと、もちろんメジャーリーグのシリコンバレーです。ただし、やっぱりいろいろ調べれば調べるほど、集まる額の桁も違うというのはあるんですが、それにしてもビザとか、あるいは設立、そして向こうでのオフィス、人件費、なんていうところに対して時間とコストがあまりにもかかりすぎるので、今この時点で行くべきかどうかっていうのを迷ったところで、僕達は東京に残るべきか、あるいはシンガポールに行けば良いのかっていう、この2択で今考えています。

その中で1月にさっき斉藤さんからご紹介のあったインフォコムさんとお会いする機会がありました。インフォコムのCEOのリンさん(聞き取り不可)という方と仲良くなりまして、彼らがこの3ヶ月ぐらいの間に2回か3回くらい日本に来てるんですね。そこでいろいろと向こうでの支援内容とかもご説明を頂き、それで彼らからどんどん紹介してくれます。要するに彼らはVCではあるんですが、政府100%のVCなので、こっちでいうと経産省の外郭団体がVCの親玉やってますみたいな、そんなイメージなんですね。なので、そこにぶら下がっているVCさんというのをガンガンネットワーキングしてくれます。英語が喋れなくても全然OKだと思います。30秒版と15秒版の自分のピッチを丸暗記して行って、あとはさっきあったようにiPadで進めていけばそれで十分だと思います。

もう1つ、インフォコムの組織のもう1つ斜め下ぐらいの立ち位置なんですけれども、NRFっていう、National Research Foundationっていう大統領・政府直轄の組織がありまして、そこが作っている、日本でいうと創業者支援助成金の投資版みたいなTISっていうスキームがありまして、それは創業何年以内のベンチャーに対して1VCからの投資当たりMAXで588kシンガポールドル、日本円で大体3,800万〜3,900万円ぐらいですね、それぐらいがMAXですっていうのを優先株で出資します。そのVCが出資する金額の一部を政府が負担します。そこの中で負担するので、エンジニアの給料もMAX50%政府が持ってくれますみたいなことがあります。彼らはそれによって、シンガポールに必死に誘致をしたいわけですね。僕らみたいな海外から人材とか金とか企業とかっていうものをどんどん集めて、向こうにエコシステムを作りたいと思っていますので、それにうまく乗っかれると良いかなと思います。いろいろ声掛けとかコンタクトとか頂ければ、私自身ももしご要望があればお手伝いさせて頂きますし、向こうの方でもガンガン紹介してくれます。トーマツさんも向こうに戸畑さんという方とか井上さんという方とか、現地に日本人の方がいらっしゃいますので、一緒に付いてきて頂くことも可能だと思います。可能ですよね? 勝手に言っちゃいましたけど(笑)。僕自身もこの間も2日間でVCを7件、行った朝からインフォコムの人達も「おぉ、来てるのか」みたいな感じで、じゃあここで今夜ミートアップパーティーがあるからここでピッチやろうみたいなのがガンガンあって、夜も何かピッチ回りとかしてたので、すごく有意義でした。それで、僕は実際明後日の夜からシンガポールに行くんですけれども、そんな感じです。

シンガポールに行くメリットとデメリットを簡単にご説明すると、行くメリットは、シンガポールにもしヘッドクォーターを置くんだとすると、税制メリット、それから人件費、それからネットのスタートアップと設備費用、設備というか地代家賃を政府が負担してくれる、なんていうところのメリットがすごくあります、ということ。それから、投資に関して言うと、現地の投資家からシンガポールの法人に対する投資ですと、彼らがExitしていく時の税制負担というのがほぼありません。日本と違ってほぼありませんので、同じ額を出資してくれたとしても、日本と比べてあっちの方がリターンが大きい。だから僕らに出資してくれるメリットも大きい。だから世界から金と人が集まってくる。まあそういうロジックなので、より投資が得やすいんじゃないかと思います。何より僕が一番ありがたいと思うのは、ネットワークがすごいですね。親玉に政府直轄の人達が付いてて、そこのスキームにぶら下がるVCさん達が1列に繋がっているので、そこから縦にも横にも皆さん全部繋がるんですよ、一瞬で。それで全部情報をシェアしてくれて、このビジネスだったらお前んとこだ、お前んとこだっていう風にガンガン勝手に紹介してくれるので、それはすごくあります。ただ反面、デメリットに関して言うと、冒頭の木村さんのところであったように、マーケットが人口として別に大きいわけじゃありません。スマートフォンを9割以上持っているので、それなりにはあるんですが、マーケットがそんなにあるわけじゃないっていうのと、それからさっきのベトナムとかインドネシアとかとは違ってコストはめちゃくちゃ高いですね。家賃で言うと、日本の東京都内より高いと思いますし、向こうにはワンルームとか1Kとかっていう概念があんまり無いんですよ、物件が。なので、向こうのスタートアップは大体シェアルームをしていて、大体1人あたりシェアルームなのに10万円ぐらいすると思います。なので、相当高いです。というところはデメリットといえばデメリットかもしれませんが、まあ何はともあれシリコンバレーに繋がっていればもちろん、元々イギリスの植民地ですからヨーロッパにも繋がっているし、なおかつ、例えばセコイヤでもプラグ・アンド・プレイでシンガポールにブランチオフィスがありますので、あそこからさらに世界に出て行こうっていう方々、英語ベースでやっていこうという方にはすごく良いチャンスなんじゃないかなと思います。こんなところです。

木村氏:いいですか? 篠原さんがこちらのDEMO Asiaというイベントに出展されていたので、そちらの様子をぜひ。

篠原氏:そうですね、トーマツさんとの最初の出会いはDEMO Asiaで出会ったことです。僕達DEMO Asiaに出展しまして、そこでいろんなスタートアップの人達と会いました。ピッチやったりとかイベントやったりとかしていて、向こうで何社ぐらいでしたっけ?すごく多かったですよね。

木村氏:百何十とか。

篠原氏:そうですよね、百何十とかいたんですよ。スタートアップやら学生のサークルの状態、まだ法人化前の状態の人達とかもたくさんいて、はっきり言ってシンガポールだと、アメリカ人の団体に飛び込んでいくのと違って、意外と日本人以外でも5人に2人弱ぐらいの割合で何を言っているかよく分からない人がいますので、自信を持っていけると思います。そこでいろいろなVCさん達からもガンガン来てくれたので、それはすごく良いチャンスでしたね。その前のスタートアップアジアはもっと盛り上がったみたいだし、今度、横井さんのEchelonとかもあるので、チャンスはすごく大きいと思いますね。ガンガンしょっちゅう大きいイベントをやっているっていうイメージです。イベントを利用してそこにVCさん達が来て、そこで投資先を探している感じだと思います。

木村氏:篠原さん、ありがとうございました。

(会場拍手)

木村氏:実務に入る前に少し補足というほどではないんですけれども、このPlug-inというところができたのは最近で、シンガポール政府自体が先ほど斉藤からもありましたように大きく舵を切っていて、以前は重工業とかを誘致する時に優遇税制を付けていたんですけれども、今篠原さんからあったように、最近ではITコンテンツ系の企業が出る時に、なにか政府系のファンドから融資してそのまま助成を出すというような形になっているので、非常にIT系の企業には追い風かなということが言えるかと思います。

あと実務の細かい話に入ってしまうので、その前に非常に簡単になんですけれども、ベトナムで一番困るところで、人材紹介会社というのが困るポイントで、主に出て行かれる時の目的ってオフショア開発だと思うんですけれども、その時ってオフショア開発会社に頼むか、人材紹介会社から直接引っ張るかというところで、このアイコニックさんという会社は日系の方がずっとやられていて、オフショア開発会社の方に直接SEの方を就職させたりしているので、それを直で日本の企業に紹介というのもしてくれるので、行かれる時には覚えておくと良いのかなと思います。ベトナムで日系でオフショア開発というところで非常に有名なのは、バイタリフィさんで、こちらここに書いてあるんですけど、日本の半額以下でスマートフォン開発を行いますということで、日本国内でエンジニアに枯渇感がある中で、非常にいろいろなサービスを展開されています。オフショア開発というと、基本的にこういうのを作って下さいと丸投げするイメージがあると思うんですけれども、現地で一番効率的と言われているのが、向こうの方のブリッジSEと呼ばれる方にしっかりと仕様を伝えて、こちらの方からも1人くらい出る形でそのブリッジSEという方とコミュニケーションを取りながら仕様を詰めていって、しばらくそのブリッジSEの下に何人かプログラマーを付けて開発して、ある程度期間が経ったらまたそこでブリッジSEと摺り合わせをして。このブリッジSEというのは、プログラミングもできるし、しっかりと日本語も喋れる方ですね。普通よりちょっと高いんですけれども、そのやり方が一番効率的だというお話をされていました。

最近私の支援企業でもあるんですけれども、もう1つのパターンとして出てきたのが、直接自ら現地に張り込む、オフショア開発で色々こうやっていきたいというチームの中に自分も入り込んで、住み込むような形ですね。まさにここのスタートアップアイランドのような環境が整っていますので、そこのところに泊まり込みながら張り込んで、直接指揮を執るというパターンが増えてきています。なので、出られる方は参考にされると良いかと思います。

木村氏:この中でシンガポール進出とベトナムということで本日展開をさせて頂いているんですけれども、シンガポール進出を考えていらっしゃる方挙手して頂いてよろしいですか?

(挙手)

木村氏:ではベトナム進出を考えていらっしゃる方。

(挙手)

木村氏:なるほど、分かりました。ありがとうございます。ベトナムの方はオフショアですか?

参加者:飲食業です。

木村氏:飲食業なんですね、失礼しました。今日ちょっとITという視点で話してしまっているので、もう1つ質問なんですけれども、本日IT以外の業態でお越しの方、挙手して頂いてよろしいでしょうか。

(挙手)

木村氏:なるほど、分かりました。IT以外の業種で東南アジアというのも今すごく流行っていまして、ちょっと1つ例なんですけれども、こちらです。向こうに出て成功したと言われている一例で、飲食業ではないんですけれど明治屋さんが向こうに出て成功されていて、なぜ成功したかっていうところのポイントについて話を伺いました。シンガポールはやはりショーケース文化というところはあるんですけれども、ここが成功した理由は、現地の人のニーズを取り込むことができたと。同様の業態で百貨店に近いような業態で前に出られた方は、やはりローカライズというのがうまく出来ないで現地の日本人駐在員に対して商売をしてしまって、結局日本人駐在員がバブルの時は3万人ぐらいいたんですけれども、2010年になるにかけて、どんどんバブル崩壊後減っていってしまって、日本人駐在員が減るのと同時にダメになったんですけれども。明治屋さんは現地にローカライズをして、非常にそこを取り込むことができたと。なので、ちょっとITビジネスと通ずるかは分からないんですけれども、ローカライズですね、現地にしっかり溶け込んでいってサービスを合わせて取り込んでいくというのは、マーケットを取っていく上では当然重要なポイントになるかなと思っています。

ここからは進出の税務を中心とした実務のお話をさせて頂きます。……(続く)

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