【全文書き起こし】バイアウトからの逆算、誰があなたの会社を買うか?①

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合田氏:
今日ってスタートアップ系の人ばかりじゃなくてM&Aの専門家とかっていたら困っちゃうんですけど、いたりします?スタートアップの人がほとんどだって思っちゃっていいですか?じゃあスタートアップの方がほとんどで、ちなみにMBAホルダーの方は?結構いますね…。MBAホルダーの方は「そこは違う!」っていうのは少し黙って頂いてですね、こういう非常にラフな見方で、スタートアップの人はその会社の戦略とかそういうのを見て、自分のバイアウト先になるかどうか考えてもらえればいいかなって思います。

最初に会社の話ばっかりするのはいいですが、会社の作り方というか、日本以外で登記されてる方っていますか?場所どこですか?(会場から発言)セイシェルってすごいですね。ちょっとそれは初めて聞きました。逆にそこら辺は教えてください。要するに、会社を作る場所を日本にするのは全然構わないんですけれど、日本にした場合はいくつかの選択肢が取れなくなる場合があるので、その話を最初ちょっとしたいなと思います。そのあとスタートアップ系の話を少しして、会社の話はみなさん、あまりにもバックグラウンドがバラバラだと思うので、ピンポイントでこの会社って話をするのは極めて難しいと思うので、見方の話をして、その前にマクロの方で、そもそもこういう市場に入らないと、基本的にIPOにしろバイアウトにしろなかなか対象になりづらいという話をしたいなと思います。

最初に私の自己紹介ですが、何人かの方は知ってらっしゃるかもしれないですけど、もともと東芝におりまして、僕はどちらかというとアライアンスとかコンプリートマーケティング系の専門でして、東芝で家電を中国で作って持ってきて、村田製作所で技術営業をやったあとに、通信分野の全社戦略みたいなのをやって、どこの市場で何が伸びてくるかだとか、村田製作所って会社はみなさんの持っている電子部品に大体入っているので、非常にマクロに左右されるんですね。グローバルのトップシェアも何個かあったので、どうしてもその動きを見てたってのはここです。Nobotの方に転向しまして、KDDIグループさんにバイアウトしたんですが、ここでマーケティング事業部長で海外展開と提携系をやりました。KDDIグループでは広告会社のmedibaという会社にバイアウトされて3月末までいまして、海外戦略部で、海外展開の戦略を決めて、その時点で辞めたんですね。現在はいくつかの会社に関わりながらやってるというイメージでございます。

ということで、非常に良い会社だったんですが、ちょっとKDDI系の方がいらっしゃると若干話しにくいなって感じです。(笑)M&Aのプロの方結構いらっしゃると思うんですけど、ちょっとスタートアップ向けですので、ここはちょっとご容赦いただいて、某コンサルティンググループの方もいらっしゃるのでちょっと怖いなと思いながら話を進めたいなと思います。

財務諸表とかそういう話も良いんですが、まず会社を作る話を最初にさせて頂きたいなと思います。

最初にまず会社を作る、日本で作るっていうのは良いんですが。ごめんなさい、マダガスカルについてはちょっと知らなかったんですけど、多分みなさんが取れる選択肢ってこれぐらいあるのかなと。1つはデラウェア、シンガポール、あと香港あるいはケイマン、あるいは日本だと。あと特に製造関係とか物流でものすごい大量に仕入れて売却するようなことをやろうとする人は、多分結構な形でブルネイっていう選択肢が出てくると思います。
ちょっと皆さんがお詳しかったら恐縮なんですが簡単に説明しますと、デラウェアはいいですよね、アメリカで登記しているのは大体ここが多いと。香港に関しては、結果的に中国は大きいですけど、特に華南地区と呼ばれる、広東省系ですね、そこに展開する場合は香港に作った方が便利だと。ケイマンていうのは日本では結構少ないんですけれども、先週、先々週かな、台湾系の人とか中国系の人とか聞いてると大体スタートアップはケイマンで作っている場合が多いです。なので、多分日本で、アメリカで何かやろうって考えてない人は多分ケイマンで作ったら本当はいいかもしれない。

あとシンガポール。シンガポールに関しては、最近作られる方が多いんですが、メリットは多分3つくらいあると思うんです。1つは、会社が非常に簡単に作れるっていうのですね。規制がほとんどない。2つ目がシンガポールにかなりシードの投資家がいて、お金を出してくれるということ。3つめが、香港とかもそうなんですけど、基本的に、シンガポールって非常に国が小さいですから、そこの国に来て何かをやろうっていうよりは、そこをハブにして何かをやってくれることに非常にモチベーションが高いんですね。

なので、シンガポールと、あともう1か国、タイ。東南アジアに関してはタイとシンガポールと、韓国も一部あるんですけど、その国に来てその国から出ていくことに対して、インセンティブが政府から出ます。ただし、シンガポール人の経営者を1人置いとかなきゃいけないとか、自分が駐在しなきゃいけないとか、いろんな理由があって、多分これはどちらかと言うとモノを扱う、例えば消費財を扱いますとか、そういったモノを扱う時に、シンガポールを拠点にするっていう形か、あるいはアメリカのことをあまり考えないで意識しないでITを展開しようと思ったら、シンガポールという手はひとつあります。

あとブルネイなんですけど、ここはご存知のように石油でほとんど食ってるような国ですので、税金が、所得税、会社の法人税の前に役員所得を取ってから、法人税と言う形になってます。結論から言うと、法人税をほとんど払っていないという形になるので、台湾で大体2400~3000社で、中国で2000社近くはここで登記してると。ただ日本の会社っていうのは追随者って感じですので、みなさんが何かやられるうえではブルネイっていうのは1つの選択肢になるだろうなと思います。

じゃあ、あとこれを少しだけまとめておきます。ちょっと個人的な独断と偏見なんですが、デラウェアで会社を作るっていうのは一体何の目的があるかっていうと、基本的にアメリカで投資を受けたいのであればデラウェアですね。

例えば日本でつくった会社がものすごく優秀な会社であれば当然ながら投資は受けられるんですけども、最初の段階で、スタートアップでアメリカで投資を受けるのは極めて困難という形だと思うので。アメリカで投資を受けたいのであればデラウェアで作っておくと。なぜならアメリカの弁護士は大体デラウェア法をよく知ってるからというところです。最初からなぜアメリカで投資を受けたいのかっていうのは、投資額が極めてでかいからですよね。例えば日本だったら1億のところを、必ずしもじゃないですけどアメリカで10億出してくれると。日本発でサービスの国際展開はできなくはないですけども、やっぱり日本語っていう壁、あるいは英語っていうメディアの壁と投資額の差から言って、1回アメリカに持ってってアメリカでボンとぶちあげるのが、多分グローバルで勝つのは比較的簡単。なので、アメリカでとなった場合に、デラウェアとかあるいはカリフォルニアでもいいんですけど、アメリカで登記されてないと非常に投資を受けるのが難しいという欠点がありますので、これはたぶん覚えておいた方がいいのかなと。日本に関しては、日本で投資を受けて、日本でIPO・バイアウトするなら日本で作るのが当たり前ですけれど、もうこれはいいですね。

あと、シンガポールに関して。シンガポールとケイマンに関しては2つあるんですが、これは英語っていうところが極めて大きくて。結局、日本でやってる上では何の問題もないんですけど、海外から投資を受けようと思ったら、全部文章日本語ですってなると判断がつかないので。

これはちょっと私も独断と偏見なのでみなさん忘れて下さっても良いんですけれども、会社を作るならやっぱりケイマンかシンガポールで作っておかないと、後々の伸びシロに結構問題が出るか、1回日本でぐぐっとでかくして、じっくり成長させて持ってくっていうパターンを取らないと、日本の中でやる分には良いんですけども海外に出てく分にはちょっと難しい部分があるかもしれない。これ英語ってところが結構肝ですね。はい。で、ブルネイと。ここはいいです。ちょっと飛ばします。

少し補足資料なんですけど、これは言語別に、「どこが一番経済力を持っているか」っていうのをグラフにしたものなんですけど、なんだかんだ英語を使ってる人間がGDPのほどんどを握ってる。簡単に言うと、バイアウト先になるってことです。あるいはIPOをするところになる。ということで、英語で会社の法規を作ってあるとか、そういうのはこの点では結構有利かなというのは1つあります。必ずしも日本語がだめだと言っているわけじゃないですよ。

あともう1つ大きいのが、これはSVSでもお見せした資料なんですが、実効税率が日本は40%超えてるんですけれど、やっぱりシンガポールだと安いですよね。おお、低い!みたいな。こういうの詳しい方いらっしゃると思うんですけど、基本的に会社の価値って税引後の利益で決まりますよね。ってことは、同じ売上、同じエクスペンスでも、税金が安い方が企業価値はでかいというのはいいですかね。簡単に、全く同じ条件だから日本にあったのとシンガポールにあったのじゃシンガポールの方がその会社の価値は高いという形に理論上はなるってことですよね。ただし、足元の市場は日本の方がでかいとかいろんな話は出てきますけど。なので、実効税率というのは必ずしも無視できないということはちょっと考えといた方がいいかなと思います。

もう1つ会社を作る上で、この黄色いところなんですけど…ちょっと相続税に関しては僕は貧乏人なんで大した意味はないんですが、やっぱり相続税がない国ってのがあるんですよ。話が少しズレるんですが、相続税がない国ってのはだいたい財閥がでかいですよね。相続ができるんで。なので、インドネシア・シンガポール・香港…シンガポールはちょっと微妙ですけれど、マレーシアとかインドネシアとか、タイランドも財閥がどーん!と幅をきかせていると。逆に言うと、場合によっては財閥が買ってくれる先になってくれるんですけれども。それはちょっと置いておいて、いずれにしろ相続税がないってことは財閥が結構ある可能性がある国ってことなんですね。

あとキャピタルゲイン税。これがないって実は結構素晴らしいです。例えばみなさんが今後会社どうされるかわからないですけど、仮にキャピタルゲインを得た時に、例えば、仮に1億円手に入ったとしたら、1億円の20%取られたら結構痛くないですか?2000万とか。フェラーリくらい買えちゃいそうな税金をとられちゃったら腹立ちますよね。そう考えると、キャピタルゲイン税が20%と全くないっていう違いは結構大きいなと。ただし、ちょっと話を混乱させたくないんで1つだけ言っておくと、シンガポールでも多分僕らは日本人なのでキャピタルゲインを得たら多分課税されますが、シンガポール人だったらキャピタルゲイン税はないですね。キャピタルゲイン税に関してはややこしいので一旦これくらいにしておきます。

次、最初にスタートアップの定義だけしちゃいたいのですが、……(続く)

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