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Skype創業者が語る「起業家精神とビジネスの秘訣」Part2

スカイプ創業者ニクラス・ゼンストローム氏の講演
「起業家精神とビジネスの秘訣」の書き起こしPart2です。

USTREAM動画
niklas2~Q&A

聞き間違い、わからなかったところ等ありますがご容赦ください。
(ご指摘歓迎いたします)

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学生:
エレベーターでお会いした時にお話しようとしたのですけれど、介助の者が勇気がなく、そのまま乗り過ごしてしまったのですけれど…ちょっと起業という面ではなくて「Skype」について質問させていただきたいと思います。 (補足:車椅子の学生の代理で付き添いの方が発言していた)見ての通り障害がありまして、立命館の大学が京都にあるのですが、毎回東京に住んでおりまして通うことが出来ない為、二クラスさんが開発しました「Skype」を利用して立命館と中継をして授業を受けております。
そういったこともありまして、現在財団から助成をいただいて、在宅療養者のインターネットテレビ電話を利用した社会参加についてということで、主に「Skype」などの研究と言いますか、利用した社会参加について研究をしております。

そこでお聞きしたいことなのですけど、日本以外でこういった障害者や高齢者のコミュニケーションについて「Skype」等を使った研究等をご存知でしたら教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

ニクラス:
まずは「Skype」の利用者の方ということで使っていただいたお客様ですのでありがとうございます。
実際に今質問をして下さった方みたいに、私どものサービスを使って研究をしていらっしゃる方、お勉強をしていらっしゃる方というのは沢山いらっしゃいまして有用なものだということはわかっております。そして、こういったテクノロジーを使った遠隔地との教育、やりとりをやっていらっしゃるという事例もございます。
私自身はおっしゃったような研究、「Skype」を使った具体的などういった研究が進行しているかというのは知りません。あるかもしれませんし、手元にはそういった情報をもっておりませんので、もしできればそういった「Skype」を使った研究資料等がありましたら個人さんのほうでご存知であればと思うのですが…いかがでしょうか。

イワタ氏:
United Nations、国連の正式なコミュニケーションツールとして「Skype」は採用されましてそういう営利事業をしていく一方で非常にローコストなコミュニケーションツールとして、世界中のかなり広いエリアになってしまうのですけれども、サポートする会社としての側面はもっています。
「Skype japan」のイワタです。

司会:
ありがとうございました。
はい、そうですね、また沢山、手が挙がっています。ではその前の彼。

学生:
どうも素晴らしいご講義をありがとうございました。慶応大学2年の小林と申します。
先ほどご講義の中で起業家は勇敢になってリスクをとっていきなさいというご進言があった訳ですけれども、社会のほうでそれをサポートするということも大事だという風にもおっしゃっておられました。
ご経験から教えていただきたいのですけれども、ご自身が初めの頃に、何か失敗をなさったとき、そこからまた頑張って次にいこうという風になさったそういった局面におきまして、何らかの社会的サービスもしくはシステムがあってそれが可能になったということがあればそれをまず教えてください。

日本に関しましては、日本の社会なのですけれどもリスクをとるような人間に対しては非常に厳しいという見方もあるかと思います。つまり1回失敗した人にあまり寛容ではないというような印象を受けるのですけれど、ご自身からみてそういった人たちを助ける為の何かのサービス、システム、理想的なものというのはどんなものかというのがあればそれを教えていただきたい。こういうシステム、サービスがあればリスクがとれる環境になるよというようなことを教えてください。

3つ目の質問ですが、もしかしたらちょっと馬鹿みたいという風に思われるかもしれませんが、私実は「Skype」のヘビーユーザーでありまして、いつも使わせていただいているのですが、いつもいわゆる無料で使わせていただいておりますので、それで使っている際に似たような感じの広告とかあまり見かけないのですけど、どうやって利益を上げていらっしゃるか、その辺についても教えてください。

ニクラス:
では、最後の質問が一番お答えが簡単なので、そこから始めさせていただきますが、実はユーザー様のある一部分の人が「スカイプイン」・「スカイプアウト」というようなサービスを使ってくださっていまして、まあ6%なんですけども、そこから私どもは利益を得ております。そういったビジネスモデルに元から私どもは考えておりましたので、そこのところで利益を上げているというようなのが現状です。もちろん広告収入というものもあります。

2つ目のご質問ですけれども、この問題は文化的な側面というのもすごくあると思うのです。何か試してみて、もし駄目だったら周りがそれに対してネガティブな反応をしてしまう、そういった見方をされてしまうということでありますが、とにかくそういった風土というか文化なので仕方がないのですので、それに打ち勝っていく勇気というものをつけていかなければいけないし、失敗してもいいじゃないかというような、そういった新たな文化をつくればいいと思います。あともうひとつは規制、法的な縛りの問題もあろうかと思います。
例えばある会社があって、この事業はもう辞めにしようかという風に決断した場合、何らかの格付けが下がるとか色んなことがマイナスに働いてしまうというのが現状であろうかと思いますし、ある人が会社を興してそれでそれをクローズしたというような時に、その同じ人は別の会社の役員になってはいけませんとかそういういろんな規制がいろんな国によって色々あるわけですが、概ねいえるのは大体の国、この規制当局というのは大企業に優しく小さい企業にはなかなか厳しいということであろうかと思います。
そこを変えていく必要があろうかと思いますが、起業をするのも割と簡単にできるという環境をまず整備しないといけないと思いますし、あとはそのやった会社がうまくいかないなという風に思ったら、割と簡単にクローズできるそんな環境、そういった規制というものに変えていく必要があると思います。

あとは一番初めのご質問ですが、完全に理解したかどうかちょっとよくわからないのですけれども、お答えしていきたいと思いますが、私自身の経験ですけれども、間違えて何かうまくいかなかったという場合は、まず若い頃に間違いはしろと、失敗は若い方がいいというのがまずひとつだと思います。
あとはその失敗の規模ですけれども、早期で小さい間違いの方がいいと思いますので、後々まで引きずって大きな間違い、大きな失敗にならないように気をつけようということだと思います。

司会:
ありがとうございました。はい、まだ手が挙がっていたと思いますが、では今度そちらの女性。

学生:
ご講義ありがとうございました。私はタケウチハルカと申しまして、経済学部の2年生です。
質問なのですけれども、先ほど二クラスさんがおっしゃったように、何か起業をされる場合にもチームをつくってその人たちと協力して活動をされるものだという風におっしゃっていたと思うのですけども、何かリスクを負ったイノベーティブなアイディアを実行に移そうという場合に、投資家の方ですとかそのチームのメンバーに理解を得られないとそういったことを実現することはできないかなと思います。
私は今学生NPO団体のほうで、プロジェクトリーダーのほうをやらせていただいているのですけれども、その際に、何かイノベーティブなアイディアを実行を移そうとする場合に、チームのメンバーに何か説得力をもって協力を呼びかけなければならないと思うのですけれども、どういった形で説得し実行に移していくのかというところと、チームのマネジメント方法など教えていただけたらと思います。よろしくお願いします。

ニクラス:
ご質問の意図はリーダーシップという話だと思うのですけれども、リーダーというものは、常に自分の何か発想とかアイディアがあったらその周りの人に同意してもらうように説得する、それが仕事のようなものだと思います。その時に大事なのは、その相手ですね、相手の立場というものを考えて相手の視点にも立って、そして同意してもらうように導いていくというのがとても大事ではないかなと思います。
リーダーになる人という人は、常に常に周りの人を説得して納得してもらってというのの繰り返しだと思います。ですから短い時間でアドバイスというのはなかなか難しいのですけど、大事なポイントとしては、その相手の言いたいことというのにも耳を傾けてあげる、そして相手の視点にも立つというのが大事だと思います。一番もしかしたら大切なのは、相手にインスパイヤーする、インスピレーションを与える、感動を与えるということかもしれません。

司会:
はい、それでは続けていきたいと思いますが、ではそちらの。

学生:
慶応義塾大学2年のタグチです。
「Skype」は今でも成長している企業だと思いますが、何故ご自身で上場するのではなく「eBay」に売却されるという方法を選んだのか、その判断の過程を伺いたいと思います。

ニクラス:
私どもが「Skype」をつくったそもそものその創業の目的というのは、長期的に持続可能な会社をつくっていこうということでありまして、スタンドアローンでやっていければという風には思っていましたが、ある時点で買収の提案というものがもちあがりまして、その時に検討した際に、じゃあ自分たちでこのビジネスを続けていくのだったらいくらぐらいかかって、上場ありきでこうやるとどうだとかいうような計算をいたしまして、またその時間軸のところも考えていかなければならなかったので、いわゆるタイムバリューで時間という価値というものも計算に考慮して決めていきました。
当時ですと、将来的に上場するということの価値と当時提示された金額というものを鑑みまして、その時に売ったほうがいいなという決断に至りました。
1年前にコンソーシアムを組みましたので、今は上場準備をそこでやっております。

司会:
ありがとうございます。ではそちらのほうからもひとり。

学生:
「Skype」のP2Pプログラムを立ち上げたそのビジネスモデルについて教えていただきたいのですけれども、そもそもの、その前に「Kazaa」で音楽のソフトのダウンロードというのをやっていらっしゃった訳ですが、それを受けて「Skype」を立ち上げられたということであります。
私自身が中学時代にアメリカで過ごしていたときに、その時の印象というものが当時ある訳ですけれども、ご質問はこの「Skype」に関して、P2Pプログラムを立ち上げたこの辺の経緯を教えてください。

ニクラス:
「Kazaa」ソフトは当時ですと、効率の良い形でデジタルのものを配信し、また検索するのに一番いいテクノロジーだという風に思いました。だからといって音楽という分野にこだわるつもりはその時はありませんでしたので、当時もう「Napster」が非常に大きく成長していましたので、むしろビデオ、イメージの分野でこの技術をつかっていきたいなという風に思いました。
当時は利益のビジネスモデルとしましては、広告収入を得るということがまずひとつで、あとはその音楽を見てくださる人がペーパービューの形で1回1回でお支払いくださる、もしくはサブスクリプションという形で定額をお支払いくださるということで考えました。

でも当時は、時期尚早でありまして、レコード会社とうまくそこがすり合わせができませんでしたが、その10年後になりますけれども、今年新しい音楽の配信サービスということで「RDO」ですね、新しいその会社を立ち上げましてサービスを提供するということになりまして、これは定額でこの会費をお支払いいただいて聴いていただくというシステムになっています。

司会:
それでは、会場からあと1つ2つで最後にしたいと思いますが、ではこちらの。

学生:
素晴らしいスピーチありがとうございました。
いくつもの会社を、いわゆるクリエイティブなまたイノベーティブな革新的なアイディアをもとに立ち上げておられるわけですけれども、ご質問はそのアイディアの部分であります。そういった素晴らしいアイディアというのはどうやって発想というか、思い浮かぶのでしょうか。どんな状態もしくはどんな環境で、このクリエイティブなイノベーティブなアイディアというのは調整されるのか教えてください。

ニクラス:
色んな要素がコンビネーションとしてあると思うのですけど、まずオープンマインドであるという、発想を柔軟に持つというのが大事だと思うのです。
あと必要なのは、ある既存のやり方とか何かがあって、それについて何でこんなやり方をしているのだ、何でこうなっているのだろうと、疑問をもつというのがもう1個の要素だと思います。そして、その現状をみて、じゃあ別のやり方はないの?代替案はないの?という風に自問自答していくということだと思います。

あと私の場合は周りの人たちの協力なしには無理だという風に思っております。ですから、周りの人たちとの協力をもとに色んなものを試してみる、テストをしてみる、そしてチャレンジしてみる、挑戦してみる。それをお互いにやるのですね。やっぱりひとりだというのはちょっと無理だと思います。

それに加えて言えることは、とにかく何事にも熱意をもって対応するということ。パッショネートであるということですね。プラスそこに受けて分析する、非常に冷静に状況を分析するというのも大事だと思って、そういう風なことでいわゆるグッドアイディアというのは出てくると思いますが、こういった色んな要素があるとは思いますけど、とにかく柔軟性をもってオープンなマインドで色んなものを見ていくという、その視点というのは大事だと思います。

司会:
ありがとうございます。まだ会場から手も挙がっているのですが、インターネットでも実は事前にご質問を受け付けていましたので、その中からひとつだけピックアップしてゼンストロームさんにお聞きしたいという風に思います。

事業を通じて世の中をどのように変えたいと思っていらっしゃったのかというポイントですが、ひとつは「Skype」の事業を通じて世の中にどんな影響を与えようという風に当初お考えになっていたのか、2つ目は、現在取り組まれている事業を通じて世の中をどう変えてみたいという風にお考えになっているのか、その2点についてお聞かせください。

ニクラス:
まずは「Skype」を起業したときのビジョンなのですけども、その当時はですね、沢山の人が随分高いお金をかけて実際に通信をしていた、コミュニケーションをしていたと。電話会社、通信会社が1分いくらというような単位で随分と高いお金をとっているなという風に思いましたので、ここで大事だったのは、みんな他人とコミュニケーションをしたいという風に思っているのに高いと。
ですからぜひその要求を満たすためにソフトウェアを開発して、できれば無料もしくはすごく安い形でコミュニケーションが出来るような世の中に変えたいなという風に思った、それが当初の発想であります。というのは、皆誰でもお友達や家族や、またビジネスパートナー等々とコミュニケーションをしたい、それが皆の目的だと思ったからです。

現在の私どものやっているビジネス「ATOMICO」ですけれども、やはり変化を世の中にもたらしたいともちろん思っているわけですが、むしろ、今沢山の会社が何か変化をもたらしたい、何かクリエイティブにやりたいと思っている。そうした会社をぜひ奨励したい、助けたい、そして夢を実現させたいという風に思っているというのが私の今の状態でありまして、市場、世の中に対して大きなインパクト、影響力を与えるというのは、むしろその私たちがサポートしていくそういった新しい企業だという風に思っております。

司会:
ありがとうございました。まだまだお聞きしたいことが沢山あるかと思うのですが、時間のほうが参りましたのでこの辺でクローズにしたいと思います。

今日皆さんの熱心な質問をお聞きして、ここに集まっている学生の多くの皆が今の日本の社会とか企業とかビジネスに対して、必ずしも満足していないということで、満足していないということは逆にいい兆候かな、それを変えたいという思いがどこかにあるのだということをすごく強く感じました。それと同時にゼンストロームさんのお話を聞いて、自分もできるのではないかという、そういう希望とやる気が以前に増してでてきたのではないかなと、そんな風に思っています。

長時間に渡り今日は我々に答えていただきまして、本当にありがとうございました。

(拍手)

(了)

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