児玉龍彦氏が政府に怒りの訴え!@H23.7.27衆院厚労委員会 Part2

以下Part1続き

児玉龍彦氏:第2番目です。
私の専門は小渕総理の時からいわゆる内閣の抗体医薬品の責任者でして、今日では最先端の研究支援ということで30億円をかけて、抗体医薬品にアイソトープを付けてガンの治療にやる、すなわち人間の体の中にアイソトープを打ち込むということが私の仕事ですから、内部被曝問題に関して一番必死に研究をしております。そこで内部被曝がどのように起きるかということを説明させていただきます。

内部被曝というものの一番大きな問題がガンです。ガンがなぜ起こるかというと、DNAの切断を行います。ただし、ご存知のようにDNAというのは二重螺旋ですから、二重螺旋の時には非常に安定的です。これが細胞分裂をする時は、二重螺旋が1本になって、2倍になり4本になります。この過程のところがものすごく危険です。そのために妊婦の胎児、それから幼い子供、成長期の増殖の盛んな細胞に対しては、放射線障害は非常な危険を持ちます。

さらに大人においても増殖の盛んな細胞、例えば放射性物質を与えると髪の毛、それから貧血、それから腸管上皮の、これらはいずれも増殖分裂の盛んな細胞でして。そういったところが放射線障害のイロハになります。

それで私共が内部に与えた場合に具体的に起こるので知っている事例をあげます。これは実際にはですね、1つの遺伝子の変異ではガンは起こりません。最初の放射線のヒットの起こった後に、もう1個の別の要因でガンの変異が起こるということ、これはドライバーミューテーションとか、パッセンジャーミューテーションとか細かいことになりますが、それは参考の文献は後ろに付けてありますのでそれは後で、チェルノブイリの場合や、セシウムの場合をあげてありますのでそれを見ていただきますが。

まず一番有名なのはアルファ線です。
プルトニウムを飲んでも大丈夫という東大教授がいるというのを聞いて、私はびっくりしましたが。
アルファ線は最も危険な物質であります。

それはトロトラスト肝障害というような格好で、私共、肝臓医はすごく良く知っております。要するに、内部被曝というのは先ほどから一般的に何ミリシーベルトという形で言われていますが、そういうものは全く意味がありません。Ⅰ131は甲状腺に集まります。トロトラストは肝臓に集まります。セシウムは尿管上皮、膀胱に集まります。これら、体内の集積点を見なければ全身をいくらホールボディスキャンしても全く意味がありません。

トロトラストの場合もこれちょっと小さい数字なので、大きい方を後で見てほしいのですが。これは実際にトロトラストというのは造影剤でして、1890年からドイツで用いられ、1930年頃から日本でも用いられましたが、その後20~30年経つと、肝臓ガンが25~30%に起こるということが分かってまいりました。

最初のが出てくるまでに20年というのがなぜかと言うと、最初にこのトロトラストアルファ線核種なんですが、アルファ線は近隣の細胞を障害します。その時に一番やられるのはP53という遺伝子です。

我々は今ゲノム科学というので人の遺伝子を全部配列していますが、一人の人間と別の人間は大体300万箇所違います。ですから人間は同じとしてやるような処理は今日では全く意味がありません。いわゆるパーナライズドメディスンといわれるやり方で、放射線の内部障害を見る時にも、どの遺伝子がやられて、どういう風な変化が起こっているかを見ることが原則的な考え方として大事です。

トロトラストの場合では第一段階ではP53遺伝子がやられて、それに続く第2、第3の変異が起こるのが20~30年かかり、そこで肝臓がんや白血病などが起こってくるということが証明されております。

次にヨウ素131。これはヨウ素はご存知の通り甲状腺に集まりますが、甲状腺への集積は成長期の甲状腺形成期がもっとも特徴的であり、小児に起こります。

しかしながら1991年に最初、ウクライナの学者が甲状腺癌が多発しているというときに、日本やアメリカの研究者は、ネイチャーにこれは因果関係が分からないということを投稿しております。なぜそう言ったかというと1986年以前のデータがないから統計学的に有意だということが言えないということです。

しかし統計学的に有意だということが分かったのは、さきほども長瀧先生からお話しがありましたが、20年後です。20年後に何が分かったかというと、86年から起こったピークが消えたために、過去のデータがなくても因果関係があるということがエビデンスになった。いわゆるですから疫学的な証明というのは非常に難しくて、全部の事例が終わるまでだいたい証明できないです。ですから今、我々に求められている「子どもを守る」という観点からは全く違った方法が求められます。

そこで今、行われているのは国立のバイオアッセ―研究センターという化学物質の効果をみる、福島昭治先生という方がずっとチェルノブイリの尿路系に集まるものを検討されていまして、福島先生たちが、ウクライナの医師と相談…集めて、500例以上の、前立腺肥大のときに手術をしますと膀胱もとれてきます。これを見まして検索したところ、高濃度の汚染地区、尿中に6ベクレルパーリッターと微量ですが、その地域ではP53の変異が非常に増えていて、しかもその、増殖性の前癌状態、我々から見ますと、P38というMAPキナーゼと、それからNFカッパーBというシグナルが活性化されているのですが、それによる増殖性の膀胱炎というのが必発でありまして、かなりの率で上皮内の癌ができているということが報告されております。

それでこの量に愕然といたしましたのは、福島の母親の母乳から2から13ベクレル、7名で検出されているということがすでに報告されていることであります。

次のページお願いします。われわれアイソトープ総合センターでは、現在まで毎週700km、だいたい1回4人ずつの所員を派遣しまして、南相馬市の除染に協力しております。南相馬でも起こっていることは全くそうでして、20キロ、30キロという分け方が全然意味が無くて、その幼稚園ごとに細かく測っていかないと全然ダメです。

それで現在、20キロから30キロ圏にバスをたてて、1700人の子どもが行っていますが、実際には南相馬で中心地区は海側で、学校の7割は比較的線量が低いです。ところが30キロ以遠の飯館村に近い方の学校にスクールバスで毎日100万円かけて、子どもが強制的に移動させられています。

このような事態は一刻も早くやめさせてください!

今、一番その障害になっているのは、強制避難でないと補償しないと。
参議院のこの前の委員会で当時の東電の清水社長と海江田経済産業大臣がそういう答弁を行っていますが、これは分けて下さい!
補償問題という線引の問題と、子どもの問題は、ただちに分けて下さい。
子どもを守るために全力を尽くすことをぜひお願いします!

それからもう一つは現地でやっていますと、緊急避難的除染と恒久的除染をはっきり分けて考えていただきたい。

緊急避難的除染をわれわれもかなりやっております。例えばここの図表にでています滑り台の下、滑り台の下は小さい子どもが手をつくところですが、滑り台から雨水が落ちて来ると毎回濃縮します。右側と左側にずれがあって、片側に集まっていますと、平均線量1マイクロのところですと、10マイクロの線量が出てきます。それでこういうところの除染は緊急にどんどんやらなくてはいけません。

それからこういう様々なコケが生えているような雨どいの下、これも実際に子どもが手をついたりしているところなのですが、そういうところは例えばですね、高圧洗浄機を持って行ってコケをはらうと2マイクロシーベルトが0.5マイクロシーベルトにまでなります。だけれども、0.5マイクロシーベルト以下にするのは非常に難しいです。それは建物すべて、樹木すべて、地域すべてが汚染されていますと、空間線量として一箇所だけを洗っても全体をやることは非常に難しいです。

ですから除染を本当にやるというときに、一体どれぐらいの問題がかかり、どれぐらいのコストがかかるかということをイタイイタイ病の一例であげますと、カドミウム汚染地域、だいたい3000ヘクタールなのですが、そのうち1500ヘクタールまで現在、除染の国費が8000億円投入されています。もしこの1000倍ということになれば一体どれほどの国費の投入が必要になるのか・・・

ですから私は4つのことを緊急に提案したいと思います。

第1番目に、国策として食品、土壌、水を、日本がもっている最新鋭のイメージングなどを用いた機器を使って、もう半導体のイメージング化は簡単です。イメージング化して流れ作業にしてシャットしていって、やるということでの最新鋭の機器を投入して、抜本的に改善してください!これは今の日本の科学技術力で全く可能です。

2番目。緊急に子どもの被曝を減少させるために、新しい法律を制定してください!私のやっている、現在やっているのは全て法律違反です。現在の障害防止法では、各施設で扱える放射線量、核種などは決められています。東大の27のそのいろいろなセンターを動員して南相馬の支援を行っていますが、多くの施設はセシウム使用権限など得ておりません。車で運搬するのも違反です。

しかしながらお母さんや先生達に高線量のものを渡してくるわけにはいきませんから、今の東大の除染では、全てのものをドラム缶に詰めて東京にもって帰ってきています。受け入れも法律違反、全て法律違反です。このような状態を放置しているのは国会の責任であります。

全国には、例えば国立大学のアイソトープセンターというのは、ゲルマニウムをはじめ最新鋭の機種を持っているところはたくさんあります。そういうところが手足を縛られたままで、どうやって、国民の総力をあげて子どもを守れるでしょうか?これは国会の完全なる怠慢であります!

第3番目、国策として土壌汚染を除染する技術を、民間の力を結集して下さい!これは例えば東レとかクリタだとかさまざまな化学メーカー、千代田テクノルとかアトックスというような放射線除去メーカー、それから竹中工務店などさまざまなところは、放射線の除染に対してさまざまなノウハウを持っています。こういうものを結集して、ただちに現地に除染研究センターを作って、実際に何十兆円という国費をかかるのを、今のままだと利権がらみの公共事業になりかねない危惧を私はすごくもっております。

国の財政事情を考えたら、そんな余裕は一瞬もありません!

どうやって除染を本当にやるか。七万人の人が自宅を離れて彷徨っているときに国会は一体何をやっているのですか!(怒)

以上です。

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