【池上彰×上杉隆】『東京ディスカッション第2章』~第二部〜我々市民とメディアのあり方【その④】

(池上氏)はい。こういう最後になったんですが、今日のこの若者、まさに若者たちですよね、これからの政治に非常に大きな関心を持ち、政治に絶望しつつ、だけどどこかに望みがある、或いは何とかしようと思うから、今日ここに来ていると思うんですよ。そういう人たちに、明日からどうすればいいのか、メッセージを。

(上杉氏)メッセージを。私がですか?
(池上氏)そうですよ。

(上杉氏)池上さんからですか?私から?じゃ、最初私から。その後池上さんから。
私のメッセージは、基本的には、情報っていうのは、常に正しいわけではないので、健全に疑って掛かる。その中でいろんなチャンネルのふれる。つまり多様性のある情報をとる。今幸いなことに、いろんなインターネットメディアもありますし、テレビもあるし、ラジオもあるし、新聞もあるし。そして、手前味噌ですけど自由報道協会っていうフリーランスや海外メディア、或いは雑誌のメディアの方を集めたそういう場もありますので、そこのサイトとかですね、もちろんNHKのサイトもニコニコ動画のサイトも見ながら、情報を多様性で集めて自分がこうだと思って、自分が合理的に得られる情報を取ればいいと。その中で間違えても別に気にする必要はないんですね。そのプロではないわけですから。その中でいろんな形のニュースとか日本の社会構造っていうのを見ていくという癖をつけるのが必要なんじゃないかというふうに思います。

(池上氏)はい。
政治をどう変えていくのか、或いは私たちの声をどう反映させるのかという時に、政治家だってありとあらゆることに対して自分なりの政策を持っているわけではないんですね。その党のマニフェストというのがあって、「うちの党としてはこういう政策です」と言ってはいるけれども、それぞれの議員に得手不得手というのもありますし、どうしたらいいかわからない、その時にそこの地元の有権者が訪ねてきて、「こうすべきじゃないの?こうしようよ?」ということによってその政治家の政策が形作られていくという部分があるんですね。これが従来陳情という形で呼ばれていましたが、陳情という形をとりながら、その政治家の政策を形作ってきた、それがさまざまな圧力団体であるんだろうと思うんですね。私たち一人一人がこれは「こうすべきだよ」と言って、政治家の政策を作ってあげる、或いはそれにやりとりをしながら、私たち一人一人がまた高めていく、意識を高めていくということが、実は大事なことではないかなと思っています。政治に声が反映しないと嘆いているのではなくて、それぞれの草の根レベルで政治家の意識を変える、或いは政治家を育てていく、陳情という形をとりながら、政策を形成していく、そういう働きかけが、これから必要なんではないかと私は思っています。

(上杉氏)今、池上さんに対して、やっぱり池上さん番組もってちゃんと発信してくださいっと陳情が来てますよ。
<会場笑い>
(池上氏)そうですか、はい。あの、もう少し・・・、充電をしますので、最初の冒頭から申し上げましたから、明日からイラクに行きますので、

(上杉氏)あ、もう出てますよ。コメント、「イラクへおつかれさまです」

(池上氏)そうですか。ありがとうございます。無事帰ってこられるかどうかわかりませんけれども、とりあえず充電して、アメリカが撤退しようとしてあまりニュースにならないイラクがどうなっているのか、ちゃんと見て来たいということです。

(上杉氏)池上さんも一貫してますよね。ずっとですからね。NHKの時から。私が入局していきなり???言われてますけど、一応内定をもらって、最初の研修の時に池上さんが来たんですよ。その時はまだ記者ですよね。あの時は。その時に記者できて、最初に言ったのは「通信簿を選べ。」と。その時に聞いたのは、池上さんそのときから有給休暇のときかな?有給休暇をとって現場に行って別に取材をとったりするんです。とにかく現場中心だということで、いろいろその後、教育テレビに飛ばされて、子供ニュースとかやってましたが、塞翁が馬で今こうなっているわけですけど、そのときから一貫してるのは、現場に行くっていうのはずーっと口すっぱく言ってますから、また明日からイラクで・・・

(池上氏)はい。あの上杉さんは日本の国内のいろんな現場で飛んでますけど、私はとりあえず今自分の関心があっちのほうにあるので
(上杉氏)ユーゴも行ってましたよね。もう終わりって言ってますけど、今から50分くらい話さなくちゃいけない・・・
(池上氏)ボスニアヘルツェゴビナやサラエボの話ならいくらでも話は出来ますけど、まいいでしょ。それよりやっぱりまずなんとも、何としても日本を何とかしなければいけないというところから始めましょう。
お後がよろしいようで。

(上杉氏)綺麗に収まりましたね。黒と白で綺麗に。一時間延長?
(司会)省略
(吉田氏)池上さん、上杉さん、本日は本当にありがとうございました。第1章からこのお二人には関わっていただき、池上さんは第1章の時、私もちょっと話を聞かせていただきました。「本当は僕の仕事は人から、聞きだすのが仕事で、それを今回させていただくのが楽しみです」というふうなお話を聞かせていただき、すごいどんなコーディネートをされるのか楽しみにしていました。しかし、この3.11があった後のその公示の前日という形で、私どももこの日しかないというので、最後の最後に都知事選の公開討論会をさせていただいたのが、こちら東京ディスカッション第1章でありました。その際には、代役という形になりましたが、上杉さんに本当に出ていただき、あのようにまとめていただきありがとうございました。
「黒いほう」といわれていますが、面白くやはり聞いている人間は上杉さんでもすごいよかった、ほんとに面白いという意見が出ていたと思います。
先ほど、一番最初に第1部のところで、池上さんが最初に言われたことが実は気になってまして、
『今の政治がこういう風に問題があるけれども、その政治を選んだのは誰なのか?私たち、ここにいる皆さんである。だからその責任を持っていかないといけない。』
私も本当にそう思います。私、不思議なのが、政治家個人はいろいろとお話をする機会があるのですきなんですけれども、党とういう形になると随分考えも変わってきて、言い方も変わってきて。私もFace Bookのところで政治のところの欄のプロフィールにNon-Poliですと、良くなければ何でもいいですと書きましたが、ポリシーはあります。しかし、党としてのポリシーは持っていないというようなところです。なんで不思議なのが、皆さん日本人だけなのか、わからなんですけれども、人にレッテルを貼りたがるのか、メディアを見て、何をニュースをみて、すぐレッテルを貼りたがる部分があるかと思います。それをどうやったら変えていけるのかなと思うんですが、一昔は、新聞を結構複数紙読んでいたと思うんですね。新聞って結構各紙偏ってると思うんです。偏っているというかポリシーがそれこそあるという面で、あると思うんですけど、だからこそ、複数その偏っているからこそ、面白くて見方があって、それを複数紙読むからこそ、自分の中のポリシーが出来上がるんではないかなと思っています。上杉さんにいろいろお話もさせていただいて、インターネットというものがなかったら、メディア業界から抹殺されていたんではないかという風に心配になってしまいましので、今日もニコニコ動画さんに来ていただき、まことにありがとうございます。

(上杉氏)Usteamもお忘れなく。ニコニコ8万くらい、7万くらい、あ、4万5千か・・・

(吉田氏)Ustreamも。はい。ありがとうございます。
あとは、多様な意見、というふうなことが出てきたかと思いますけれど、とにかく個々で多様な意見をぶつけるのが大事だと思います。私はもう面白きこともなき政治をおもしろくするのは、私たちがより当事者となって、今も多分当事者だと思うんですけれども、より積極的に携わることなんではないかと思うんです。先ほど電話されては困るという話もありましたが、より関わっていこうと思います。恐らくここに居る方々は、先ほどの吉田が言ったように投票にも行っただろうし、意見もある方だと思うので、是非ここに来ている皆さんは是非、それを周りの人たちに伝えていただきたい。変えるんであれば、やはり僕らは一票しか持っていないですし、その力をより広げるためには、先ほど20台30台でありましたけれども、皆さんが声をかければ、この日本は変わるし、この東京は変わるということが明白なんだと思います。
最後に聞きたい。このような池上さんの授業、上杉さんでもいい、もう一回聞きたいという人は白を、もういいというかたは青を挙げていただければと思います。
いいえと答えたのは6人。
次回、またこのような席を作らせて頂いたら出ていただけますかね?是非よろしくお願いします。

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