【全文書き起こし】自然エネルギー普及への並々ならぬ思い!菅総理、孫社長ら参加オープン懇談会Part5

自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」の書き起こし/文字起こしPart5です。
今回で最終回となりますので若干長めですが、どうぞ最後までお付き合いください!

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自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」

 

以下本文

<菅総理>
ちょっとそれとも重なりますが、具体的な例をいいますと、今、ガレキの中に相当の木質があるんです。これ阪神(・淡路大震災)の場合はコンクリートだったんですが、今回は津波で、流れてきたものっていうのは軽いですから、木質が多いんですね。実はその木質を活用して、今でも木質だけを分ければ、色々、合板のようなものに使えるだけでなくて、最終的には木質の発電所を……実際に持っている東北の企業もあって、だいぶ採用を受けてるんですが。そういう形のものをいくつかモデル的にやって、じゃあ将来ガレキがなくなったら、山の色んな間伐材の中で使えないものとかにもっていくと。今、実は農水省に、そのことを、案を出してくれということで、先日もある程度の案が出てきました。私はやはり孫さんがすごいな、と思うのは、相手を経産とか何とかではなくて、自治体というものとリンクするというのは、やっぱりすごい「政治家以上の政治家」だなと。

つまりは、このエネルギーは、もう皆さん言われましたように「地域分散型」なんですね。ですから地域の中で、どこに空き地があるか、どこにバイオマスの材料があるか。つまり遠くまで運べないものです。石油などは遠くから、何万キロも先から持ってきますけども、間伐材を1000キロも運んでたら、価値がとてもですね、運べなくなるんですね。ですからやはり地域の中で色んなモデルをつくって、それがより効率的にやれるんじゃないかと。農水はバイオマスだけじゃなくて、小水力ですね。つまり小川のせせらぎを、ちょっとバイパスを作ってやれば、これも昔でいう水車を置くあれですから、ですからそういうものの工夫はまさに自治体と、色んなNPO的な主体、あるいは経済的な主体でももちろんいいんですが、組めば、一番勧めやすいですね。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございます。ネットの方のコメントでも、岡田監督に「さすが世界で戦っただけありますね」と。「日本にとって当然なものが当然でないということが感覚的に分かられるのは、さすが世界で戦われたからではないか」なんていう感想も届いているんですが。

岡田さんからご覧になって、この自然エネルギーの割合を増やしていくためには、どんなことをすればいいかというアイデアございますでしょうか。

<岡田氏>
僕は正直、勉強はしてきましたけど、専門家じゃないのでね、こうするべきだというのはないんですけど。やっぱり今いったように自然エネルギーというのはどうしても分散型にならざるを得ないですし、ということは1人ひとり国民が参加していくことになると。組織的にいうと、そういう組織の方が絶対に強いんですよ。

生物と…なんだっけ、福岡伸一さんってご存じですか?「生物と無生物のあいだ」っていう本を書かれた。あの人なんかと話してると、人間の体は今日と明日と違うと。新しい細胞が生まれて古い細胞が死んでいってると。ところが、新しい細胞ができたからっていって、その細胞と周りの細胞を融合するのにいちいち脳は命令してないと。脳はいろんなビジョンとかコントロールはしてるんだけど、その細胞同士が横の折り合いをつけて、うまくやってるんだと。サッカーのチームと比べるのはアレですけど、サッカーのチームでも監督がすべてコントロールしてるチームって、ある程度いくんですけど、そこから上になかなかいかないんですよ。選手同士が折り合いをつけて判断していく。当然監督がいないと、脳がないと人間死ぬように、ダメなんですけど。

それを自然エネルギーで考えると、自然エネルギーというのはそれぞれの国民っていったらおかしいですけど、企業であったり、民間であったり、折り合いをなしていくと思うんですよ。現状、今、夏の電力不足に向けて輪番制にしている業界もありますし、土日に稼動して水木を休みにしている工場がありますよね。これなんかはその典型だと思うんですよ。色んなことが動き出すんだけど、その時に、上がいろんな…たとえば、自然エネルギーなら「フィードインタリフ」、全量買取制にしてやるとか、枠組みだけは作ってやんないと、どんだけ下で折り合いをなしていっても、脳が全部拒否しちゃうと細胞が死んじゃうように。なんかそういう、今なんか僕がすごくいい感じだと思っているのは、みんな、僕なんかでもすごく節電の意識が高まりましたし、あんだけ僕は環境っていっても電気を使ってましたけど、今みんな意識高まってますよ、みんな。このときにみんながなんかこう、どういったらいいんですかね。「底辺」っていったら怒られるけど、僕らの民間のレベルで折り合いをなしていこうとしているときに、いいタイミングでパンと、枠組みを、それを買い取れると、全量買取制とか、その料金をある程度キープするとか、いろんな仕組みを整えれば、ザッといく。なんかすごくいい感じになってるんじゃないかと今、気はしてるんですけどね。いや、なんもするなってことじゃないですよ。政府があんまり口出すなっていうことを言っているわけじゃないんですけど。

<孫氏>
岡田さんいいこといいますねー。僕は凄いと思った今。

<岡田氏>
なんでですか。

<孫氏>
いやいや、大変いいことおっしゃった。やっぱり脳がね、枠組みだけ、つまり国家がやるべきことは枠組みとして「全量買取制度」とか、というのをビシッとつくって、あとはみんなが勝手にどんどん発電していくように、競争して発電していくように、というのがあるべき姿ですよね。国が命令して「うどん屋さんつくれ」とか、いちいち言わないでも、みんなが競争しておいしいうどん屋さん作ろうとか、おいしいパン屋さんつくろうと。そういうことで、本来電気を起こすことを生業とする小さい中小企業がボコボコ日本中に生まれてくるのがあるべき姿で。

あの…「Eジャパン」って、僕らちょうど2000年ぐらいのときにやりましたけれども、そのときは日本のインターネットというのは99.9%、NTT1社がインフラを提供して、他の民間企業はそこに参入できないという仕組みだったんですね。世界一高かったです、先進国で。そして世界一先進国で通信速度が遅かったです。そういう状況の中で、我々はヤフージャパンという会社を興して、低速の中で、アメリカ人とかからバカにされながら、「そんな低速の日本でインターネット、ヤフーってやれるの?」とバカにされながら、それでも始めたんですけど。だから、日本で1社が独占的にインターネットのインフラを提供するっていう時には、「世界一高い、世界一遅い」っていうのが当たり前で、国民も分からないままにそういうもんだと思い込んでた。ところが、当時僕はブロードバンドやってなかったんですけど、欧米のように開放して競争さすべきだと、という風に当時小渕首相だったんですね。小渕首相に僕は…(司会の声・内容不明)あ、すみません。だからそういう、やっぱり国が仕組みを作って「あとは競争して」というのがあるべき姿だと思いますね。

<司会・藤沢氏>
菅総理、国が仕組みを作って、ということですが。

<菅総理>
そうだと思います。ですから電力も、今9電力が地域独占という形で、これはこれで戦後の色んな時代の中で生まれた体制ですが、もっと色んな形は選択肢として当然ありうると、そしてその中に、いろんな今度は工夫が、あるいは気がつかなかったサービスも生まれてくるでしょうし。ですから、そういう電力事業そのものあり方、かつての国鉄改革、電電改革、私は電力改革という、そういう大きな社会制度の根幹をなすものの改革のまさに議論を始めるものすごいチャンスだと。だから先ほど言いましたように「議論の場」のそれこそ枠組みはできるだけ早く作りますから。その中で大いに議論が、具体的な形で制度変更につながるものであれば、つなげていくようにしたいと思っています。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございます。ネットの、ツイッターの方からの、見ていただいている方が5万人を……高速の方では5万人を超えているそうで、低速の方は数字が見えないので分かりませんが、かなり多くの国民の方々が参加者としてご一緒してくださっていること、大変ありがたく思うのですが。では総理に「うかがいたいです」と。「私たちは自然エネルギーのために一体何をして生きていったらいいんですか」と。ちょっと大きな質問ですが「私たちは何をしたらいいんでしょうか?」と。

<菅総理>
色んな方がいますから、私はね、3年ぐらい前に私の大学の後輩から「わが家は98%電力自給です」と。で、グーグルのアレ(ストリートビュー?)で彼の家を見たら、ちゃんとパネルがあってですね、だからもちろんそういうことが可能な方は、自分の家の屋根が使える方は、そういうふうに本当に実践される方もあってもいいし、それから、やはりそういうなんていいましょうか、先ほど岡田さんはいろんな活動の中でも、私も色んな人から色んなことを教えてもらってます。ですからそういう話を広げていく、そういうことでもいいですし。逆にこの分野は楽しいですからね。私も先ほど言ったように、この分野の話をしたら止まらなくなるんですね(笑)。

<司会・藤沢氏>
はい。

<菅総理>
そういうふうに広がっていくのは、それぞれの、何といいましょうか、それぞれの持っている立場であるんじゃないでしょうか。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございます。あの…。

<孫氏>
あ、あと一つね。こないだ、シャープさんとかね。他の太陽電池を屋根の上につけているメーカーの人から聞いたんですけど、屋根につけただけで、だいたい電気の使用量は2割減るそうです、平均。つけただけで、意識として、ね。自分が、お百姓さんが、農家の人が自分が作ったお米を無駄に食べないでしょう。必ずごはんを残さず食べる。つまり、作ることの大切さを思うと、無駄にごはん粒を捨てない。簡単に残飯を捨てないということで、自分の家で発電するようになると、屋根につけるようになると「見える化」が始まって、いらない電気をちゃんと消して回ると。そういう意識が高まるだけで、平均つけた瞬間から2割下がると。つけた瞬間から。

<菅総理>
(笑)なるほど、分かる。

<孫氏>
だから国民みんながそういう形で、どんどん参加して意識を高めると。それが一番積極的な、先ほどのネガワットに自動的につながる、ということだと思いますね。

<岡田氏>
いいですか。今、菅さんがおっしゃった、その、僕ら環境っていうのをずっとやってるとね、じゃあどこまでやったらいいのか。「二酸化炭素2トンの生活だ」「江戸時代の生活だ」と、いろいろ言われますけど、現実にそんなの測定できないですし、難しいですよね。

よくよく考えていったら、46億年の地球の歴史で環境が一定の時なんて1回もないわけですよね。今、平均気温15度ですけど、50度、60度ってよくあったわけですよね。環境変わっていくのに、生物の我々が適応していったわけですよね。ところが今この200年で急激に環境が変わったために適応する時間がないという。ということはね「環境が危ない」「地球が危ない」というけど、地球は危なくないし、環境は一定なんてないんですよ。だから地球の環境をこのままにしたかったら人間がいなくなれば一番いいわけでね、それだったら本末転倒になるわけで。要は「何かこうしなきゃいけない」なんていうと続かないし、今、孫さんがおっしゃったように、1人ひとりが意識して「あれ?」って気がついたら「これを一回止めてみようか」なんて思うものですよね。そういう意識を……そんな意識広げて何になるのかっていわれるかもしれないけど、やっぱりそういう意識を広げるってことが一番手っ取り早い。遠回りに見えても一番手っ取り早いのかなって、ずっと、こう、環境のことを考えてて思いますけどね。

<司会・藤沢氏>
ということを、今日これがきっかけになって、そういう動きになっていけばいいのではないか、と、司会者の立場で言うことかどうかはわかりませんが、そんな印象を持つわけなんですけれども。そろそろ時間も迫って参りまして、もう少しコメントをご紹介したいなと思うんですけれど、総理に「今このツイッターに集まっている意見、質問はかなり面白い、建設的なものが多いと思いますが、これを生かせる政府主催の意見交換の場のような仕組みは作れないんでしょうか。孫さんならば『やりましょう』とおっしゃると思います。(会場笑)菅総理はいかがでしょうか」と。今日の懇談会の方は我々の、参与の方からの提案で始まったというふうに伺っておりますけども、政府の主催でこのような懇談会を「やりましょう」とおっしゃいますでしょうか、とのことですが。

<菅総理>
やりましょう!(会場拍手)
規模とかなんとかがどうなるかは別として、やりましょう。

<司会・藤沢氏>
そうですか。今回は「自然エネルギー」というテーマでやりましたけど、逆に言うと今度は原子力発電というものをテーマにしたり、復興というものをテーマにしたり、おそらく色んなテーマが出てくるかと思いますが、そういったことも皆さまの声が上がってくれば、そのテーマで意見交換の場を?

<菅総理>
そうですね。特に今日の議論は、皆がやっぱり参加しないと動かない分野ですから、特に私は別の宿題も含めて、広がりを持って、やれればと思います。

<司会・藤沢氏>
はい、ありがとうございます。「やりましょう」という総理のお言葉をいただいたところで、そろそろ時間も迫って参りました。このあたりで、最後にご参加の、こちらにお集りいただいた皆様から一言ずつ、今度は総理に対してではなくですね、ネットで参加してくださってる皆様に対して、一言ずつ、お言葉をいただけたらと思うんですけれども、また枝廣さんからお願いしてよろしいでしょうか。

<枝廣氏>
はい。ありがとうございます。今日は本当にいい機会に参加させていただいたと思っています。先ほどツイッターからの質問で「私たちは何をしたらいいのか」というご質問があったと思います。私は3つ、私たち国民ができる、やっていくべきことがあると思っています。

ひとつは、選ぶことです。たとえば(太陽光発電)パネルを載せる、もしくはペレットストーブ、薪ストーブにする、そういったエネルギー源を選ぶこともできるし「ウチはマンションだからパネルは無理だわ」という方だったら、市民共同発電所に出資をする、もしくはそういったことを積極的にやっている企業の株を買う、あと一番大きな私たちに選ぶことができるのは選挙ですね。政治家を選んでいくということです。2番目は声を出すこと。それは例えば、新聞の投書欄に投稿するとか、ツイッターとかフェイスブックとか、そういったことで私たちの思いを伝えていかなければいけないなと。3番目は話をすることです。周りの人に、今日5万人聞いてくださってるとしたら、20人に話して、その20人がまた20人に話して、その20人がまた20人に話すと、もう国民すべてに行き渡るという。それぐらいの計算になると思いますが、どんどん話していくというのが大事だと思います。

そういった意味でいうと、今回私たちが押し掛けて、こういう会を作ってもらいましたが、国民が、国民のために、国民として、こういった大事なことについて話をしていく。特に自然エネルギーについては、とても大事だと思うので、そういった場を、私たちの方でも作ってやっていきたいなと思います。そういった機会にも皆さんに一緒に参加していただけることを楽しみにしています。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございます。じゃあ岡田さん。カメラの方に向かっていただけると…。

<岡田氏>
どのカメラですか。

<司会・藤沢氏>
こちらです。

<岡田氏>
まあ、僕は富良野で倉本聰さんのところの「自然塾」という環境教育のインストラクターをやってるんですが、そこの最後に、アメリカインディアンの言葉を刻んだ碑があります。そこには「自然は子孫から借りているもの」と。これは実際にある言葉だそうです。地球、自然というのは、ご先祖さまから受け継いだものではなくて、未来に生きる子どもたちから借りているもの。借りているものは壊したり、汚したり、傷つけちゃいけない、という言葉だそうです。そういう意味でで、今日はこうやっていろんな話をして、自分自身にも言ってるんですけど、どっかで、「とはいってもな」という風になります。誰でも。その「とはいってもな」を1回でも少なくしていくことが、そういうことにつながるんじゃないか、と今、自分に言い聞かせています。どうもありがとうございました。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございます。では小林さんお願いします。

<小林氏>
僕自身、この震災のあと、ap bankの活動を通じて被災地に何度か出向きました。先日初めて20km圏内ギリギリのところに、南相馬のエリアに立ち寄らせてもらって、やっぱりそれは本当に、大きな穴があいた虚しさのような、ひずんだ悲しみのようなものをすごく感じて、やはり今回の一連の自然災害とは全然違う、すごい複雑な痛みが、福島の人たちを、そしてあの場所を覆ってるんだということを改めて感じて、僕らはその問題と立ち向かっていかなくちゃいけないんだということを改めて感じたんですけども、しかしやっぱり物事が転じていくときというのは、何かを失ったときがきっかけになるということもあると思います。

だから僕はこの福島のためにも、本当に大きなシフトチェンジが今必要とされていると思います。今この福島に対しての拒絶感で、若い人たちが、これではいけない、色んな声を出そうとしているっていうのが、僕の周りでもかなりあります。それは本当に多様な意見で、すごい過激な行動に出る人もいるし、そうでない人もいます。だけど本当にそういう多様な意見が、この国の中に出てきて、それをつないでいくということが、今、我々がこれからやらなければいけないことだと思って、今日ここにも来ましたし、今日これからの一歩にしていきたいと考えています。ありがとうございました。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございました。それでは孫さんお願いします。

<孫氏>
私は今日総理がこんなざっくばらんで、しかもバイオについてまで、こんなに熱っぽく、原稿を見ずに語れるほど(笑)、というのは、非常にざっくばらんに、見てた人は感じたんじゃないかと思うんですが。さっきツイッターのコメントで、こっちで見てたら「総理が今日は非常に柔らかい顔をしている」というコメントもありましたが、やっぱり1人の人間としてね、国を思う、子どもたちを思う、自然を思う、というのはみんな共通しているんだと思うんですね。

昨日の夜も、こういう場に今日出ます、ということをツイッターで言ったら「政治的な道具に使われるんじゃないか」なんて心配して言ってるコメントもありましたけど、僕はそういうことじゃないと思うんですね。やっぱり国を思うという気持ちは、先ほど菅総理もおっしゃってましたけども、自分がどういう形になっても、将来的にも、ずっと一生、このことについては関わっていきたいということをおっしゃいましたが、今、いろんな政治が、それこそ、大連合あるのかないのかとか、どういう派閥がどうだこうだとありますけど、本来はいろんな政治家の方も、そういう「エネルギー問題どうするのか」とか「原発についてどう思うのか」ということをちゃんと語った上で、そしてその上で、国民がどういう人たちに、自分たちの思いをちゃんとやってくれる人に、後々やってほしいということだと思うんですよね。ですから、政権が将来どういう形になったとしても、この思いはぜひぜひ継続して、先ほどから出てるように、継続して、開かれた形で、国民が自由に意見を言えるような形で、ぜひやって欲しいと思うし、またそうでなければ、せっかくこうやって、やっと国民が語れるようになって、またこれで終わりというふうになったんじゃ元も子もないと思うんですね。

ぜひそういう思いを後々、継続して、この事故が起きた日本で、一日も早く、次の将来のビジョンが明るく見えるように、責任のある形をずっと引き継げるようにして欲しいなと思いますね。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございます。では田坂参与からも一言いただけますでしょうか。

<田坂氏>
本当にもう、まだまだ時間がいただけるものなら、あと何時間でも話をさせていただきたい。本当に興味深い話だったかと思います。あの、あえてこの場を、僭越ながら設けさせていただく、その役割を果たさせていただきましたので、私の思いをあえて申し上げますが、この「オープン懇」という、懇談会という形をとらせていただいたのは、根本には「これから民主主義がどう変わっていくべきか」という私自身の思いがあります。

先ほどからの話は自然エネルギーの話、これは言葉が何度か出ましたけど「分散型エネルギー」という考え方もありますが、言葉をさらに考えれば「エネルギーの民主化」だと思うんですね。ということは、その民主主義のあり方そのものが、実は今根本から問われているんだと。たとえば選挙の日に投票に行くことだけが民主主義ではない。むしろ今日ささやかな試みとしてさせていただいのは、先ほど5万人という数字をうかがって、ありがたいなと思いました。まだまだ直接的な形ではないですけれども、総理という、この国を運営していくその中心に立たれる方の周りに、こういう有識者の方に集まっていただいて、さらにそれを今日は5万人という数字ですが、本当はもっともっと多くの方々に公開し、そこにコメントをいただく。コメントをいただくだけでなく、質疑、その質問や回答をいただく。そういう流れが、その一歩が踏み出せたのかな、と思っております。孫さんが言ってくださったように、まだこれは最初の一歩なんだという思いがあります。そしてここに参加するという、参加民主主義というのは、さらにいえば「行動する民主主義」だと思います。今日もいくつも、明日からでも自然エネルギーの普及に向かって、我々ができること、いくつものヒントをいただいたと思うんですけど、やはり参加するということから、さらに1人ひとりが責任を持った行動をする。そのことによってこの社会のあり方が変わっていくのではないだろうか。

もちろん、今日行わせていただいたオープン懇談会そのものが、ささやかな、本当にささやかな一歩ですけれども、ぜひこれをまた次回以降、総理のお言葉もいただきましたので、時にテーマを変え、もしくはこのテーマで、続けていければと。そしてさらには今日お集まりの方々、坂本さんも含めてですね、またこういう方々とのご縁というものを大切にしていただいて、何かまた大きな動きが生まれていけばと、そんな願いもあります。そのことを申し上げて、私、ささやかな役割でしたけれども、本当にありがたい時間をいただいた、そのお礼を申し上げたいと思います。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございました。それでは福山副官房長官からも一言お願いしたいと思います。

<福山氏>
すみません。少し長くてもいい?(笑)今日はありがとうございました。とてもいい、率直に色んな方がお話をいただける会で、それを全国の国民の皆さんが、ネットで見たり聞いたりできるって、非常に素晴らしいチャレンジだったなと、心から感謝申し上げます。

私は環境問題がやりたくて国会議員になった人間で、よく環境をやると「票にならない」とか「当選しない」とか「そんなことやっても、お前、お金も集まらないぞ」とか、よく言われたんですけど、ずっとやってきて、今日こういう場があること自身が、非常に感激をしています。ただ一方で、この場が、震災があって、原発事故があったから、というのは、少し裏返していうと悲しいことで、今、原発で被災者の皆さんと向き合っている立場でいうと、本当にご苦労をおかけしていますし、臭いも、色もない中で、不安な中にいらっしゃる皆さんに、僕らが今、政府として何ができるのかを、毎日毎日自問自答しながらやっているところで、そのことをいかに未来につなげるかということは、本当に政治の場にいる者としてというか、こうやって公の仕事をさせていただいている者として、やらなければいけないことだなあと改めて今日感じました。

あの、少し感じたんですが、いいイメージを皆さんで共有することが大事だと思います。孫さんの言われたこと、まさにそうで、空いた工業団地に太陽光が全部張り巡らされて、そこに、お金が落ちたら、その地域は元気になるし雇用も生まれると。例えば私が学生の頃には大学生の下宿にはクーラーなんてありませんでした。みんなウチワかなんかで、半分シャツで、暑いなーと言っていました。今の学生マンションは、ほとんど備え付けのところにクーラーがあります。つまり簡単にいうと、10年後とか15年後、それぞれの皆さんが家を建てるときに、必ず屋根にはソーラーがついているという社会になれば、それは当たり前のことに変わります。今は当たり前じゃないから、なんとなくできない理由をいっぱい探しますけど、家つくるときにはソーラーつけましょうねと。そこには燃料電池がちゃんと家にはあって、駐車場には電気自動車が停まっていて、コンセントで、自分の家で作った電気で、自分の車も動くんだと思えば、抵抗のない……なんか、それで環境にも優しいんだと思っているような、そういうライフスタイルをつくっていくんだいうことを国民が共有できれば、僕は、あっという間に広がると思ってるんですね。

固定電話から携帯電話に変わるのに6年ぐらいだったと思います。デジカメに変わるのに、おそらく5年ぐらいだったと思います。情報化社会というのは、いいもので、小林さんがおっしゃったように、あまり肩肘を張らなくで、みんながいいなと思うものなら、あっというまに広がる。そうすると値段も落ちていく。そういうことの基盤を作ったり、サポートしたり、背中を押すのが政治の役割で、決して、後ろから羽交い締めにして「それをやっちゃダメだ、ああだ」というのが、私は政治の役割ではないと思っていて、まさにそういうことをやってほしいと今日皆さんに僕らは伝えていただいたのかなというのを非常に感じます。

それともう1点は、こういったことをやるとレッテル貼りをすぐに日本はします。「あの人は『反原発』だ」とか、「脱原発だ」とか「あの人は原発推進派だ」とかですね、「環境派だ」とか、「それだったら経済のことは考えなくてもいいのか」とか。レッテル貼りをして、どこかで思考を止めてその議論をそのまま押し進めようとします。それは多分、この震災以後変えなければいけないことで、本当にある情報を出して、その中で国民が選択をしていただく。その中で、このエネルギーにずっと僕は関わってきたことでいうと、二言目にはコストの話が出ます。「コストが高くなるからどうだ」と。田中角栄さんが、日本中に道路を張り巡らせて、いいものを、日本中を元気にしようとしたときに、コストのことを考えたでしょうか。未来への、将来にいいことがあると思って、みんな日本列島改造論で、国土に道路を造ること、税金を使うことを納得したんです。これはコストであるとともに未来への投資だと。そしてその投資は、将来、本当に安心して自然に優しい、そしてエネルギーも自給が地域でできる、地域の名産のエネルギーができるための未来への投資だと思うと、投資と思うかコストと思うかで、印象が全然違います。そういう時代に僕らは、今、入口に立ったんだという風に思ってですね、あまりレッテル付けをして、ああだこうだというよりかは、こういう場を日本全国に作ってくれるようなことをできれば、すごく僕は幸せだなあと思います。

最後に、実は1992年にリオの地球サミットがありました。このときに地球温暖化の問題や食糧の問題や飢餓の問題があって、地球は動き出しました。それから来年20年経ちます。人類が進歩してるかどうかはよく分かりませんが、しかし少なくともですね、そういう意識の共鳴みたいなものはあちこちで世界中で起こっていますので、ネットを通じて、そして情報を通じて、こういう動きが、来年のリオプラストゥエンティに向けてですね、日本で動いてるんだというのは、原発の事故を起こした日本としての責任だと思いますので、皆さんにまた色んな意見を聞きながらがんばっていきたいなと今日改めて思いました。本当にありがとうございました。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございました。さあ最後に総理にお言葉をいただこうと思いますが、その前に二つ、総理にご紹介をしたいコメントがございます。一つは質問、一つはコメントでございます。一つは、たくさんご質問をいただき、ご意見もいただいてるんですが、「答えていただけなかった分はどうなるんだ」というお声もいただいておりまして、総理いかがでしょうか、またこういったオープン型の懇談会を催していただく、または今日集まって、出していただいた主要な質問に関しては、総理または官邸の方でご検討いただいて、後ほど、何らかの形で回答していただくということはご検討いただけますでしょうか?

<菅総理>
はい、あのそうさせてください。できるだけ主だったご質問には答えるようにします。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございます。
そして最後にネットのお言葉一つご紹介して、総理のご挨拶をいただきたいと思います。「議論とか討論はいい加減尽くしたんだから、実行することが一番です。ともかくやってみて間違いに気付いたら修正すれば良いことなので、実行力を見せてください。」ということです。ではご挨拶をいただけましたら幸いです。

<菅総理>
先ほどの福山官房副長官からの話で、私顔にですね、ペインティングされたことがあるんですよ、福山くんに。まだ彼が議員じゃない時に、京都のトップスリーの97年、私初めてフェイスペインティングされましてね。そんな色々な流れの中から今一緒に色々な活動しているんですが、今日は本当にいろいろお話を聞けて楽しかったです。特にあの色々な言葉がありましたけど、やっぱり「この地球は子供たちからの借りものだ」ということですね。それからあの「地球の表面に1mだったらわずか1ミリ」ということを言われましたが。私の好きな本に「宇宙からの帰還」という立花隆さんが書かれた本の中で、その月から地球を見たっていうわけですね、偶然の存在とは思えなかったというわけです。考えてみたら地球がもうちょっと太陽に近ければ水は蒸発して水蒸気ですから水はない。もうちょっと遠かったら水は凍って水はない、氷しかない。ちょうどいい所にあって、気圧の関係何とかで水というH2Oが液体という状態にあったと、そしてそれが紫外線を若干防いで植物を発生させた、まあ植物はこれ以上言うと止まらなくなりますから(笑)。これはすごいものですよね。それを見た体験した宇宙飛行士の多くが、やはり絶対の主がいてこの地球を作ったという思いに何人もなってですね、その後そういう宗教の方に行かれたという本を今から20年以上前に有名な本ですが読みました。

やっぱりこの地球というものが、まさに、別に私は宗教的な意味じゃなくて、創造主が奇跡的に創ってくれた環境の中で、植物が生まれ、動物が生まれ、今我々が人間という形で生きてるわけですから。それを考えるとですね、この地球を自分たちでね、それは色々な原因があります、CO2も含め、…(聞き取れず)。もし自分たちで自分たちが住めない社会にしてしまっては、本当にこれは創造主に対して申し訳ないです。私は学生時代に最初にこういう政治欲を感じたことは、やっぱり原爆というものを物理学者が発明してしまったんですね、当時のアインシュタインとかそういう人たちが発明してしまったことを「しまった」と思ったんでしょうさ、多分。パグウォッシュ会議というものを作って、それ以上増やさないとかいろんな活動をされました。私も多少そういうことを大学で学んだ人間ですが、一方でものすごく科学技術というものを好きですし、可能性を感じています。しかし一方で科学技術というものを本当に人間がですね、きちんとコントロールできるのかどうかということに対していつもある問題意識があって、やはりそれをコントロールするには広い意味での政治が、あるいは国民がと言ってもいいんですが、コントロールすることを持たないと。単におもしろいからおもしろいからで技術を発展させた時に、コントロール不能なものを生みだしてしまったのが、一番象徴が原爆、水爆だと思うわけですが。そういうことを考えるとですね、この我々が今議論している問題というのは、本当にあの一番もしかしたら根源的で、しかし一方で一番考えれば楽しいテーマではないかなということも逆に思いました。

これからもテーマが少し変化するかも知れませんが、ぜひ今日ご参加いただいた皆さんにもまたご協力いただきたいと思うし、ネット中継でご覧になっている皆さんにもですね、是非いろんな形で参加をいただければありがたいと思っております。今日はどうもありがとうございました。こちらにもありがとうございました。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございました。それでは時間となりました。長時間にわたるご参加、ネット参加の皆さま、そしてここにお集まりの方々、どうもありがとうございました。それではお開きにしたいと思います。ありがとうございました。

(了)

書き起こし・文字起こし協力:@kobayashinaominさんありがとうございました!

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