【全文書き起こし】自然エネルギー普及への並々ならぬ思い!菅総理、孫社長ら参加オープン懇談会Part3

自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」の書き起こし/文字起こしPart3です。
※内容が長いので、5~6回に分けてアップ予定です。

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自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」

 

以下本文

<司会・藤沢氏>
ありがとうございました。大人の責任、まさにそれについてここからも語っていきたい、語り合っていきたいと思うんですけども。

ツイッターで参加してくださっている皆さんからもたくさんコメントをいただいております。ご発言に対する共感であるとか、あとまた少しご紹介をここでしておきたいと思うのですけども。「日本は明るすぎる気がします。電気を使う広告も多すぎる。分母である電気の供給よりも分子である電気の使用量を減らすことを考えてほしい」という声。また「こういったインターネット中継のツイッターでの懇談会すばらしいですね。直接民主主義実現への糸口になると思います」また「テレビでは放送しないのですか?」という声もいただいております。そしてまた「こういった討論会に現職総理が参加するとはユニークですね。ツイートは総理もご覧いただくのでしょうか?」ということですが、こうやった形でお伝えしていきたいと思っております。「資料を後でダウンロードできるようにしてほしい」とのことですので、これも検討していきたいと思います。今5人の方々からメッセージ、提言をいただいたわけですけれども、ツイッターでご参加の皆様、今ご提言をいただいた皆様へのご質問もどんどんお寄せいただければと思います。また専門家の方がいらっしゃらないという声も入ってきております。ぜひ専門家の方、今のご提言に関して、また総理のお話に関して、ご意見ご質問ありましたらご遠慮なくどんどんお寄せいただければと思います。

さあそれでは総理から、今5人の皆様のご提言に対する、質問・ご意見・お答え等いただきたいと思いますがいかがでしょうか?

<菅総理>
本当にありがとうございました。私もほぼ皆さんの言われた事と同感ですので、あまりあの普通だったら反論するとかですね、あまりあの反論という形ではなくて、せっかくの機会ですから少しだけ、私のような立場というか、政治家というものを長年経験した立場で、少し日本のこのエネルギー政策の決定、今は私が責任者ですが、それが今後の変化も含めて、あるいはこれまでの事も含めて少し持ち上げてみたいと思います。

実は私30年前に初当選した時に、機会があってアメリカのウインドテストセンターというところに行きました。そしたらいろんな風車が回っていて「発電したものをどうするんですか?」と聞いたら「電灯線に入れます」と。そうするとメーターが買うときはこっちに回っているものが、売るときはこっちに回るからですね、それで自動的にお金が出入りすると。早速日本に帰ってきて「そういうのはどうなってる?」と聞いたら、「いや、日本には電気事業法という法律があって、そういう一個一個とかそういうものは買えません」と。「東京都のごみ発電ぐらい大きいものであれば買ってもいいんですが」という。非常にハードルが高いんですね。

それからもう一つ、非常にこれは行政の問題なんですが、科学技術庁というのが当時ありまして、今は文部省と一緒になりました。同じくカルトピア計画という研究をしていました。私は非常に興味を持って国会でも質問しました。結論的にどうなったか、今から30年前ですよ。結論的に「全く採算性が無いから駄目だ。」という結論なんです。つまり、行政がやらなかっただけじゃなくて、わざとやってみたら「やっぱり駄目でした。」と言って潰したんですね。三宅島に東電が外国から買ってきた半径20メートルぐらいの大型の風力発電を2基持っていました。私、行って、そのはしごに登りました。それも同じです。数年たったら「やっぱり駄目でした。」つまり、行政に一つの方向があったんです。つまりは日本の場合は、ある時期から原子力は進める。原子力を進めるうえで結果として邪魔になるものは出来るだけ外していくと。私は30年前そういう実感をしてから、それはずっと感じていました。ですからこの全量買取制の問題も、もうこの分野でやってる、たとえば福山くんなんか昔から言ってましたし。何故出来ないんだと。いろいろ理屈を言います、周波数が変わるからとかいろんな理屈を言います。しかしそんな事はね、孫さんとこに頼めばなんとかってなるんだから・・・(笑)。出来ない理屈ばっかり山のように持ってくるんですね。ですからこれをどうやったら突破できるかなんです。まぁ、総理大臣だからお前やれと言われるのはまさにその通りなんですが、実は結構分厚い。そういうものに対してですね、構造が出来上がっているものですから。それを変える事が出来るかどうかというのは、まさに今これが変えられなかったら、また10年ぐらいはですね変な話ですが動きません。

で、国会でも3月11日にその法案を出したんですが、私も経産大臣から関係の担当者に「何とか早くしろ」と言っているんですが、なかなか動かないんですね。私はまああえて皆さんにお願いしたいのはですね、この自然エネルギーは皆さまが言われたようにね、幸いにしてというか、大きな会社が100万キロワットのドーンと3つ作るとかじゃなくて、それこそ5キロワットとかよほど大きくてもせいぜい1000キロワットくらいのものをあちこちあちこちに作る、まさに「国民参加型エネルギー」ですから「国民参加型エネルギーを国民に解放しろ。」ということをですね、ぜひ、まさに投票券と同じように「エネルギーに参加する権限を与えろと。」それにはですね、全部作って、それで売り先まで全部考えて何とかしろというのは普通の人にはできないわけですから、そういう事で考えればちゃんと配電するメーカーが一定の価格で買って配電するというのは当然の事なんです。そんな事を少し申し上げてみました。

そんなことで私も行政の責任者という立場もありますけども、やはりあの、もう1つだけ言えば、どなたかがおっしゃっていましたが皆さんの中で。「省エネ」という言葉はやや消極的に聞こえるんですが、先日も東大の学長をされた小宮山先生と話したんですが、つまり今からは20世紀はエネルギーの使用量とGDPの増大がほぼ並行していたと。しかし21世紀はエネルギーの使用量全体量を下げる事が逆にきちんとした形を取れば、生活の質を決して下げるのではなくて上げることになるんだと。あるいはイノベーションとして産業、経済社会にもプラスになるんだと。

つまり、今の行政の発想、関係者の発想は「安定供給」という言葉を、小宮山先生がその先日の会議で「なんで安定供給、安定供給と言うんだ」と。私は一瞬えっと思ったんですが。つまり「安定供給というのは供給に前提が入っていると。供給量を減らすんだと。減らしても大丈夫な技術や社会を作れるんだと。だから安定供給というと何かね、今供給している物を減らしたら危なくなりますよというですね。そういう潜在的なといいますか、現状維持の言葉じゃないか。」と言われて、私もやや「あ、なるほどな」と思ったんですが。そういうこの、かなりの広がりで単に政治の場だけでない広がりで、こういう形が広がっていますので、やはりそういう形に変えていくには、私からのご覧になっている皆さんへのお願いでございますが。みんなが投票するのと同じように自分たちにも電力を作らせろと。そしてそれをちゃんと売る事が出来るようにしろとですね、そういう輪が広がっていけば、私は政治が多少変化しても逆戻りはしないんじゃないかと、皆さんの話を聞きながらそんな思いを持ちました。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございます。いかがですか?ご意見ございますか?

<孫氏>
いや、素晴らしいですね。本当におっしゃるように、そのエコポイントってありましたけれども、あれテレビ買っても何買ってもエコポイント付いてたような気がするんですが。なんでテレビ買っても何買っても「エコポイント」なんだろう?。それこそですね、省エネをするようなLEDの電気を買ったらエコポイントが付くっていうならまだわかると。だから、新しい「省エネエコポイント」みたいなのをね、もう1回こう仮にやるとしたら、そういう風にちゃんと意図を持ってしないといけないんじゃないかなという風に、同じ省エネ促進するのでもですね、そう思いますし。

あと、今総理おっしゃったように、国民が発電をする権利があると、作ったらそれをちゃんと売れるということが保障される権利があるということがあって初めて誰でも、農家でも電気を作れるし、中小企業でも電気を作れると。大企業は自家発電とかしてますけども、中小企業ではなかなか自家発電て言ったって結局売り先がないと。買ってくれるところがなければですね、やりようがないということで、やっぱり開かれた制度にするということは絶対必要だと思いますね。

<枝廣氏>
最後におっしゃったその「省エネ」ということで、「増え方を減らしましょう」ということで「省エネ」って使われてきているような気がするんですね。そうではなくて元々その使う、つまりその原単位をよくしましょうという意味で「省エネ」って言われているけど、たぶんこれから日本がやっていかないといけないのは、元々使うエネルギーそのものを減らす、なので「少ない」という字の「少エネ」ですね、省くではなくて。エネルギーそのものを減らしていく、でその時に、それが出来た時にそれこそエコポイントでもいいし、それを買い上げるとか。それはつまりエネルギーを作り出してるのと同じですから、それだけのエネルギーを作らなくて済むということは。これアメリカの環境で有名なエイモリーロビンスがこの省エネで作り出したエネルギーを「ネガワット」と呼んでいるんですね。普通は「メガワット」と言いますよね。

<菅総理>
ネガ?なるほど。

<枝廣氏>
ネガ、つまり使わなかったエネルギー、それは作り出したエネルギーと同じだと、「ネガワット」ということを言っていて、それをもっと積極的にやりたいなということと。

あと総理に1つ教えていただきたいのは、国のリーダーとしてそういうことを進めたいという思いがあり、多くの国民が自然エネルギーを進めてほしいと思っており、しかし動かない。そのどうような形で私たちの思いとか声を「見える化」すれば、政治もしくは官僚もしくは国の中心でやっている人達に届くのでしょうか?例えばデモを昨日やってましたね、デモとかツイッターとか署名とか、いろいろなことで私達活動をしているんですけど、何が見えると政治家もしくは官僚は動くのでしょうか?

<菅総理>
一番やはり私なんかも議員をやっていてですね、知っている人から言われるのは結構効きますね。あるいはやってこられてですね、別に家にデモをかけるではなくてですね、私が1年生議員の時にですね、例えば元々知っていた人がですね、石垣島のですね、白浜のところを埋め立てて飛行場と作るのを何とか止めてくれと言われて、これは楽しそうだからちょっと行ってみようと思ったらですね、向こうの運動をしている人に3日ほど拉致されて大変いい経験をしましたが。やっぱり知っている人に言われるというのは人間結構考えますから。だから皆さんが知っている、あるいは知っていなかったら知り合ってですね、「あなたはどう思います?」と言ってですね。あなたの個人でなくても党でもですね。そういうのは結構効きます。逆に言うと、そういうものをある種の組織的に、アメリカでもそれはいわゆる「ロビー活動」としてありますけども。一番わかりやすいのは知っている人にですね、国会議員でもなんでも言っていくと。

逆に官僚組織というものはもちろん中でいろんな議論をしてますけども、同じ官僚組織の中でもいろいろな考えの人がいるんです。しかしその中で全体の方向性が決まると、それとちょっと違う考え方の人はなんとなくいつの間にかすーっと本流から外れていくと。そこに1つのある種の力学が働くわけで。逆に言えば、こういうことが本流になると、もっとそこが力を持つと。だから例えばよく言われる環境省がだからという言い方はあれですが、やはり環境省とか農林省とかバイオマスとかですね、そういうものが、もっと私は最近農林省の皆さんに今からのエネルギーの官庁は経産省から農林省に移るくらいの気持ちでやってくださいよと言うんですが、そういうこの大きなですね変化が、それも政治家であると同時に国民世論で変わってきますね。

<司会・藤沢氏>
はい、ありがとうございます。国民の声を高めるということによって政治は動くというようなお話なのかと思うのですが。こちらの方で、少しネットの方からいただいているご質問にも総理の方でお答えいただきたいと・・・

<菅総理>
ちょっとその前に、今石垣島のことで「拉致」という言葉を使いましたが、ちょっとこれは適切ではなかったので訂正させていただきます。

<司会・藤沢氏>
ありがとうございます。ネットライブなので何が飛び出すかわからず、総理自らご訂正をいただくことになりますがご容赦くださいませ。

さあ、いくつかのご質問をいただいております。この場では、比較的自然エネルギーというものをどんどん進めていきましょうという声もあがっているわけですけれども、もちろんそこにある懸念というものを示される方もいらっしゃるわけです。いくつか纏めてご紹介しますので、総理の方でまとめてまたお答えいただければと思いますが。

「この自然エネルギー、自然公園内の環境を壊す懸念がある地熱発電、今更ダムなんて開発できる土地が少ない水力発電、風がやんだら終わりの風力発電、本当に大丈夫ですか?」という声。また「今震災で家計、国家財政、そして日本経済が疲弊している時に付加価値の少ない電力にコストをかけることは懸命でないと思います。方向性は正しいと思いますが長期的にじっくり取り組んでいくことではないでしょうか。」そしてまた「風力発電、太陽光発電は広大な設置面積が必要で、平地の少ない日本では近隣住民とのトラブルが発生するという意見へのお答えをお願いいたします。」また「原発の地元は雇用がほしい。だから原発にしがみつく。自然エネルギー実用化が原発の地元に新たな雇用を生み出すという希望が出てくれば、原発の地元が新エネルギーの時代の推進力に変わっていく、そういう政策は打ち出せるのでしょうか?」また「安全な原発技術を開発することは、総理あきらめるということなのでしょうか?」こういったご質問が来ておりますがいかがでしょうか?

<菅総理>
先程孫さんが示された、このヨーロッパの風力がものすごい勢いで、ドイツの例ですが、これ太陽光ですが増えておりますが、私も数年前ドイツの森に森林を調べに行ったときにですね、まあ田舎というかそういうところに、ものすごくパネルがあるんですね。ですから私は日本のような立地であっても、買取価格が適正であれば、自然にというか個人の意欲によってどんどん広がっていくと。それだけは間違いなく言えると思います。

それから原子力の安全性ということは、今当然しっかりやらなければいけません。ですから私も言っているのはですね、今まで化石と原子力にウエイトを置いてきた原子力政策ないしはエネルギー政策を、もう2本の柱を加えて、その2本の柱がどんどん広がっていけば、結果として化石にも原子力にも頼らないという選択が可能になると。ですから政治の立場というのは先程どうやったら変わるんですか?と言われましたが、最終選択はやはり国民の皆さんが選択されるので。しかし行政の責任は、選択できるようにやはりもう2つの柱を積極的に進めていくと。少なくとも過去30年くらい原子力に使ったお金やエネルギーに、いわば相当するくらいのいろんな力をですね、そういう2つの分野に使っていくと。

私はその中で、選択がですね、どういう選択が可能かっていうことが場合によっては10年後、さらには20年後の皆さんに選択ができるようにするのが今の政治の責任じゃないかなと思ってます。

<司会・藤沢氏>
今のお話に関連してかと思うのですが、メディアの方からもご質問を頂いています。・・・Part4に続く

【全文書き起こし】自然エネルギー普及への並々ならぬ思い!菅総理、孫社長ら参加オープン懇談会Part4

書き起こし・文字起こし協力:@kobayashinaominさん、@gcynさん、ありがとうございました!

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