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【全文書き起こし】シリコンバレー投資家への上手なアプローチ方法②

この記事は、
シリコンバレー投資家への上手なアプローチ方法①
の続きです。

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アニス氏:
ピッチというのはプレゼンテーションのことです。プレゼンテーション前の準備について話したいと思います。

VC会社の構成をちょっと簡単に説明します。
VC会社っていうのは、一番トップに立っている人達というのはジェネラルパートナーと呼ばれるんですね。VC会社ではCEOとかCTOとかCMOというのは存在しないです。
一番トップに立っている人達は、日本語で共同代表パートナーといって、ジェネラルパートナーと呼ばれるんです。ジェネラルパートナーの人がトップで、その下がプリンシパルで、その下にはシニアアソシエイトで、その下にアソシエイトで、その下がインターンなんですね。こういう順番になってるんですね。

たぶんVC会社に行けば、アソシエイト達に囲まれちゃうんですよ。アソシエイト達に囲まれると、私みたいなジェネラルパートナーまで届くにはかなり時間がかかると思います。
なぜかと言うと、案件の数が多すぎるから。スタートアップの社長として、アントレプレナーとして、ビジネスマンとして、一番頑張らないといけないのは、「アソシエイトを乗り越えて、できればジェネラルパートナーと会って話すこと」。その方が早く自分の持っているものを伝えられるし、早く決めてもらえると思います。だから、その辺は絶対に頑張ってください。

みなさん、自分の技術ってやっぱり世界で一番だと思っているんですよね。自分の持っている技術を誰にも話したくないし、誰にも触ってほしくない。
そこでNDAというものがあるんです。日本語では何と言うかわからないんですけど、英語では、Non-disclosure agreementです。いわゆる、私の技術を見る時にこの技術は誰にも話さないでほしいという契約書なんですよね。それを送ってくるアントレプレナー達がいるんですよ。「話をする前に、NDAにサインをしてください」と。

私、実は1日何百件もの申し込みがあるんですよ。そこで誰かとNDAにサインするわけがないですよね。NDAが来た途端に、「これはダメ」、 見たくもない(“I do not want to see this”)ということなんですね。サインする時間もないから。

だから、VCの方とかエンジェルの方に申し込む時には、NDAという単語自体を言わない方がベストかもしれないです。前に進めると思います。我々はいっぱいアイデアを見てるので、他人のアイデアで会社を作って儲けようとはしていないです。実際その時間もないです。やっぱり謙虚で、見て、良いアイデアだったら投資して、ヘルプしてあげるというのが我々の基本コンセプトなんです。

VCの言語(language)なんですけれども、ビジネスモデルとかタームシートとかシード段階とかシリーズAとかシリーズBとか、それぞれがどういうものかは勉強した方が良いと思います。資金調達する時には、「どれくらい資金調達しなければいけないか」とか、「最初に資金調達したときに、どれくらい会社の株を売らなければいけないか」とかに、気をつけて計算しなければならないです。

簡単な例で言うと、日本から来た社長が私のところに来て、5000万円欲しいといってきたんです。アメリカドルで500K(50万ドル)です。500Kってアメリカでは額的には小さいんですね。私はそのアントレプレナーに、「500Kで会社のどれくらいの株をもらえるのか」と聞いたら、50%と言われました。

実際の会社の評価ってバリュエーションっていうものがあって、その評価によって会社の値段が上がったり下がったりします。1億の評価の会社が、500Kで株の50%を私にくれると言っているんです。
私としては嬉しいですよ。ものすごく嬉しい話です。VCの人達ってアメリカでシャークと呼ばれるんですよね、サメなんですよ。食べてしまうということなんですよね、私はサメではないんですけれど。(笑)でも、ほとんどの人がそうなんです。500Kで50%あげてしまうのは、計算が合わないんですよ。

この会社が大きくなっていくと、シリーズAとかシリーズBとか段階を踏まないといけないんですよね。それが、シリーズAとかシリーズBとかになった途端に、その会社のすべての株を外の人に出してしまってアントレプレナー自身の株が無くなっちゃうんですよ。そうなるとモチベーションが無くなって、その会社は伸びるわけがないですよね。

その計算をした途端に、シャークであれば嬉しいかもしれないですけど、私としては投資はしたくないです。なぜかというと、この社長は実際に計算ができてないということなんです。シード段階で、自分の会社の25%以上は絶対に出してはいけないです。そういう風に会社を作っていかなきゃいけないんですね。だから、どの段階でいくら実際に要求するかによっては、VCとインベスターが引いたりすることが結構あるんですよね。

 次に行きます。「プレゼンテーションスライド作りましょう」ということです。やはりシンプルに作ってほしいです。さっきブランドンも言ってましたけど。

大体45分のプレゼンテーションで15分のQ&Aなんですけれど、もし1時間もあなたがもらえたとすると、あなたはこの世の中ですごくラッキーな人です。1時間というのは結構タフな話なんですね。一番大事なこととして、コミュニケーションしていかなければならないですよね。

それで皆さんは少し言葉の壁もあるんですよね。どのアントレプレナーでも、イスラエルとかロシアからのアントレプレナーが来るんですけれど、皆さんびっくりされるかもしれないですが、いろんな国から来ているアントレプレナーの人達って、やっぱり技術に集中しているので、言葉にそこまで集中してないんです。

だから、皆さん日本人が結構英語で困ることがあるんですけど、どこのアントレプレナーでも同じなんです。皆さん結構言葉で困るんです。でも、そこで自分の意思が一番重要なんです。「私の気持ちを伝えたい」、それをどういう風に伝えるか、その方法を考えないといけないです。

それの第一の方法として、デモを作りましょう。デモを作るのはすごく重要であって、自分のプレゼンテーションで自分の気持ちを表すことが重要なんです。

我々VCとしては、「あなたがどれくらい英語が得意か」は関係ないんです。一番重要なのは、「この会社は実際にやっていけるかどうか」という話、「このアイデアは素晴らしいアイデアかどうか」「この社長がギブアップするかどうか」ということが一番重要なんですね。それを頑張りましょう。

だからデモを作ってください。デモを作るときに、もちろんきちんとデモを完成させられない可能性もあるので、できれば、紙芝居でも準備してきてください。たぶんほとんどの場合は、スタートアップレベルのデモだと、どこかで止まったりするので、そこで残りは紙芝居で終わらせましょうというのが重要なんです。

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プレゼンテーションの構成ですね、どういうストラクチャーで話をしていくかです。第一に、「今の世の中の問題は何か?」ということを考えましょう。

皆さん、最近見てるとほとんどソーシャルネットワークなんです。ソーシャルネットワークも良いんですけど、できればもうちょっと特徴のある考えを出しましょう。実際に何か世界で問題があって、それをどういう風に解決しているか、それを1と2に取り上げてほしいと思います。3番目に一番重要なところは、あなたが持っているそのアイデアをこの世の中でプロダクト、製品として出すときに、そのマーケットサイズが我々にとってすごい重要な話なんです。

これは英語で、TAMと呼ぶんですけど、“total accessible market” なんですね。そのマーケットが100億円以下のものは実際に我々は見ないです。我々のリターン、ROIで考えたら、ここで私の時間を使う必要はないと考えるんです。実際のドメイン、マーケットを見る時に、大きなマーケットが存在して、それをターゲットとして、この会社作ることによってそれの○○%を抑えるという風にアイデアを作り出した方が良いと思います。

4番目に重要なのは、Traction(トラクション)。例えば、ユーザー数がどれくらいいるか。どこの国に、どれくらいのユーザーがいて、これからどういう風に大きくしていきたいか。例えば、あなたの会社が商品を売る会社だったら、どれくらいの会社とパートナーシップを結んでいるかとか、そういうところをできれば書いてほしいんですね。

5番目にチームの説明もして欲しいんです。やっぱりチームがすごい重要なんです。初期段階、シードレベルの会社だと、やっぱり何もないので、実際にプロブレムソリューションはあってもプロダクトまでできてないです。そこでチームがすごい重要なんですよね。

皆さんY Combinatorをご存知だと思いますが、実は3月27日に、そこで66社のプレゼンテーション、2分半くらい見て投資を決めないといけないんですけれども、そこでステージに立っているアントレプレナーの目を見てるんです。そこで全部判断してしまうんですよ。66社見て、6社決めたんですけれども、もう帰ってきた時に自信があるんです、やっぱり。

この66個の会社の中で、6社のアントレプレナーたちの目とか、やりたいこととか、パッションとかは出てくるんですね。「この人達は絶対にWinできる」という風に思って、帰って来て投資を決めてしまうというところは結構あるんです。やっぱり取り合いなので。Y Combinatorのコンペティションは激しいし。

6番目には、やっぱり競争相手のことを良く解ること。皆さんの一番大きな間違いは、ほとんどのアントレプレナーの人がプレゼンテーションを作っている時にコンペティターのことはあまり言わないです。隠してるんですよ。

我々は毎日のようにたくさん会社を見てるので、ほとんどのコンペティターのことをよく理解してるんです。ほとんどのVCが。だからそこで「あ、この人は正直に言わないな」っていうのがあると、良くないです。コンペティターのことをよく理解した社長がやっぱり勝ちなんです。コンペティターが10件、20件あって、「私としてはこういうやり方でこれらを全部潰していく」という案があると、我々的には「この人は信用できる」ということになるんです。コンペティターを絶対に隠さないでください。

7番目、ビジネスモデルなんですけど、これは少し重要度が低くて。シリアスになった時にビジネスモデルを実際に持って来てほしいし、あと最後のファンディングの情報なんです。ビジネルモデルと言っても聞きたいのはどういう風にお金を作っていくかというところなんですよ、実際。マネタイゼーションっていうんですけども、英語では。「どういう風にこのアイデアをお金にしていくか」というところがすごく重要なんです。

そこで特性のある、特徴のあるアイデアを出してください。みんなフリーで最初使わせるとか、少しインプルーブしたら、難しい機能を使ったらお金を要求するとか、あのプレミアムモデルとかはみんな使ってるから、なんか新しいもの出しましょうよ。「みんなソーシャルネットワークやっているから、私もやらなきゃいけない」そういうアイデアはやめましょう。それよりも、みんながやってないことをやるようにしましょう。それが一番重要だと思います。

最後にファンディングです。ファンディングというのは、どれだけ資金を集めてるかという情報です。日本の会社だったら、できれば日本でトラックレコードを作って、日本である程度の資金を集めてからアメリカに行った方が、アメリカのVCたちからみても「日本でWinできたから、アメリカでもWinできる」ということになるんです、実際には。いろんな噂とか、いろんな話があると思いますけども。

例えば日本で資金を集めたらアメリカで資金を集められないとか、そういうアイデアは全くないです。自分の国でもお金集められない人は、アメリカで集められるわけはないです。だから、日本で先に集めて「日本でもWinできたからアメリカでもWinできる」というのは納得できます。

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次にロジスティックスです。

細かいことなんですけれども、絶対に遅れないでくださいね。エクイップメントとバックアップがすごい重要であって、先程言いましたように、その場でコンピューターが立ち上がる時間が5分もかかったりすると良くないので、できればその辺の対策を前もって取ってほしいということです。プリントアウトも持って来た方が良いと思います。やっぱり投資家の人達をイライラさせないことです。いっぱい案件を見てるので、すごく忙しいと思います。できれば1人じゃなくてチームを連れて来るとか、現地の友人を連れて来るとか、そういうことも重要です。

あと、できればちゃんとした格好で来ましょうよ。アメリカでインタビューの時に来る人たちって、しっかりした格好で来ると「この人はちゃんとこのインタビューを大事にしてる」という風に伝わるんです。髪の毛もちゃんとブラッシングしないで来ている人もいるんですけれども、それは格好良いことは格好良いですけれども、その人はこのインタビューをシリアスにしてないってことになるんですよ。実際に言うと。

では、次に行きましょう。
我々はピッチの時に何をメインで見ているかっていうと……..

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